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令和8年(2026年)11月5日(木) / 日医ニュース

「地域医療情報連携ネットワーク~災害医療における活用について~」をテーマに開催

 「防災推進国民大会(ぼうさいこくたい)2026」が10月17、18の両日、鳥取県で開催され、17日には「日本医師会セッション」が行われた(事前収録動画)。
 同大会は国民の防災に関する意識向上を目的として、防災推進国民会議の他、防災推進協議会、内閣府の主催により行われているイベントである。様々な省庁、地方自治体等の公的機関、団体、企業、非営利法人が出展、セッションを行っており、今回で11回目となるが、日本医師会は毎回出展を行っている。

平時からの体制整備が重要―松本会長

 「地域医療情報連携ネットワーク~災害医療における活用について~」をテーマとして行われた日本医師会セッションは、藤原慶正常任理事の司会で開会。冒頭あいさつした松本吉郎会長は、今回のテーマを選んだ理由について、「災害時においても、地域の皆様に必要な医療を継続して提供していくためには、医療機関や薬局、その他関係者が平時から連携し、必要な情報を共有できる体制を整えておくことが重要と考えたためである」と説明。その上で、本日のセッションが平時から構築してきた地域の医療連携を災害時にどのように生かしていくのか、多くの示唆を与えるものになることに期待感を示した。
 引き続き四つの講演が行われた。
 長嶺由衣子厚生労働省政策統括官付医療情報連携担当参事官室長は、全国医療情報プラットフォーム(以下、全国PF)の概要を説明する中で、オンライン資格確認の災害時モードについて、令和6年能登半島地震の際に3万件を超える利用があり、大変役立ったとの声が寄せられていることなどを紹介。「全国PFの最大のメリットは、標準化された情報が共有されているため、被災により保険証やお薬手帳を紛失した場合でも、医療機関などが医療情報を確認できることにある」と強調した。
 また、災害時に通信や電源が落ちてしまった場合、全国PFは使えなくなるのではないかとの懸念に対しては「被災地で使用できなくなったとしても、情報共有できる体制が整ってさえいれば、広域搬送を受け入れた医療機関で利用することはできる」と説明。災害時には全国PFに加えて、既存の災害医療体制やバックアップの手段を組み合わせて使用することが大事になるとした。
 その上で、今後については、今冬から全国展開を始める電子カルテ情報共有サービスなどを利用しながら、平時にも災害時にも医療を安心して受けることができる体制整備に努めていくとの考えを示し、理解と協力を求めた。
 渡部愛日本医師会総合政策研究機構主任研究員は、地域医療情報連携ネットワーク(以下、地連NW)のメリットについて、患者側には「初診時でも迅速で適切な治療が可能になる」「重複検査が防止できる」などが、利用する施設側には「患者の問診時間が短くなる」「紹介・逆紹介時の事務負担が軽減される」などがそれぞれあると強調。2025年時点では全国に276のネットワークが存在し、病院3500施設弱、診療所約1万3000施設で画像情報や診療情報の連携等に使われているが、現在は国からの補助金の減少などの問題もあり、その数は横ばいの状況にあるとした。
 また、地連NWは災害時にも活用が可能であり、その好事例として「秋田・山形つばさネット」をコロナ禍において利用し、適切な治療が行われたことを紹介した。

全国PFと地連NWを上手に組み合わせた運用を―長島常任理事

 二つの講演を踏まえて指定発言を行った長島公之常任理事は、「全国PFは全国に張り巡らされた細い管であるのに対して、地連NWは地域限定の太い管である」と指摘。「それぞれに得意なところと不得意なところがあるが、この二つを地域の事情や課題に合わせて上手に組み合わせることが、平時ばかりでなく、災害時にも重要になる」とした。
 辻田哲朗鳥取県医師会副会長/NPO法人おしどりネット理事長は、県内全域の医療機関をつなぐ「おしどりネット」の仕組みの概要を説明。(1)診療所と病院の連携が深まることで、県民に継続的な医療を提供できる、(2)災害時においてもサーバーに情報が共有されているため、インターネット環境さえ整っていれば、避難所など、医療機関以外からも情報の参照が可能―といったメリットがあるとして、その意義を強調した。
 その一方で、今後の課題については「参加機関数の停滞」「運用・維持費用が高額」といったことがあると指摘。「その解決のためにも県行政や県民の理解を深めることが不可欠になっている」と述べた。
 横山邦彦白山石川医療企業団副企業長は、石川県全域をカバーしている「いしかわネット」について、「コロナ禍での経験を踏まえ、広域避難者が多かった令和6年能登半島地震においてもスムーズに活用することができた」とする一方で、透析情報の確認ができなかった点が課題であったと指摘。その解決策として、今年7月からはスマートフォンのアプリを使って、患者自身に情報を携行してもらう取り組みを始めたことを紹介。さらに、今年4月からは登録した患者情報を救急隊も閲覧可能としていることなども報告した。
 その上で、「これらの情報基盤を有事でも活用するためにも、有事に使用するシステムは平時に使い慣れたシステムでなければならない」と強調。そのため、平時から基盤を整えておくことが重要になるとした。

災害時でも必要な医療が提供できるよう努める―茂松副会長

 最後に総括並びに閉会のあいさつを行った茂松茂人副会長は、日本医師会としても本日の内容を災害医療対策や医療DXの取り組みに生かし、災害時にも国民に切れ目なく必要な医療を提供できるよう、引き続き努めていくとした。

お知らせ
 防災推進国民大会(ぼうさいこくたい)2026 日本医師会セッション」を収録した動画は同大会のホームページの他、日本医師会公式YouTubeチャンネルにも掲載しています。ぜひ、ご覧ください。
 防災推進国民大会2026公式ホームページ:https://bosai-kokutai.jp/2026/
 日本医師会公式YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/watch?v=COmaVeAJ53Q

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