日本と諸外国の
医療水準と医療費

海外ではどのような
医療の仕組みになっているのでしょうか。
私たちにとっては当然と思っていることも、
それぞれの国では異なった状況になっています。

イギリスでは
まず決められた医師を受診

海外では、医療機関へのアクセス、医療費の決め方など、日本とは異なった仕組みとなっています(表5-1)。
例えばイギリスでは、患者ごとに決められた医師にまず受診しなければなりません(登録制)。医療サービスは税方式で運営されており、原則として無料ですが、緊急でない場合は2~3週間以上待たされることもあるようです。
また、ベトナムでは医療費を前払いしないと入院ができません。

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保険制度 外来患者自己負担 かかりつけ医の登録制の有無
(法的義務含む)
イギリス 9割を占める公的(税財源)、および1割の民間自費医療サービスが両立 公的は原則無料(処方箋料等の少額負担あり) 有(登録診療所のみ受診可)
アメリカ 公的な医療保険は「メディケア」と「メディケイド」のみ 保有する保険により年間免責金額、定額負担、負担割合等が異なる 無(保険毎に受診可能な契約医あり)
フランス 公的皆保険(民間保険は二階建て部分をカバー) 3割負担(償還式)。かかりつけ医を通さずに専門医を受診した場合は7割負担(婦人科・小児科・眼科・歯科は除く) 有(かかりつけ医を登録する制度はあるが、紹介状なしに他の医師を受診することができる)
ドイツ 皆保険。公的(90%)、および民間医療保険(10%)の両立(公的保険は選択可能) 原則無料(2013年より自己負担廃止) 無(法的義務はないが、90%がかかりつけ医を持つ。家庭医中心診療に参加しているのは、人口の5%程度)
スウェーデン 税方式による公営の保険・医療サービス 料金はランスティング(広域自治体)が独自に決定。自己負担の上限がある 地区診療所を家庭医として登録
日本 公的皆保険 原則3割負担(自己負担額の上限あり)、3歳以下は2割負担

(厚生労働省「OECD加盟国の医療費の状況」を基に作表)

表5-1 海外の医療保障制度

アメリカは医療格差社会

アメリカの公的医療保険は、65歳以上の高齢者と障害者などを対象とする「メディケア」と、低所得者を対象とする「メディケイド」のみ。この2つでカバーされない現役世代は民間医療保険が中心です。いわゆる「オバマケア」により、公的医療保険に入っていない人々は民間の保険会社への加入を義務付けられましたが、受診できる医療機関が限られていたり、いまだ無保険者も多く、所得により受けられる医療には大きな格差があります。在ニューヨーク総領事館のホームページによると、アメリカの医療費は日本に比べて非常に高額で、一般の初診料だけで150~300ドル*の請求を受けると言われています(アメリカでは原則、病院が医療の価格を決定しています)。
*1ドル110円換算で1万6,500円〜3万3,000円(2019年3月25日現在のレート)

盲腸(虫垂炎)の治療費(都市別)

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順位 都市 費用 入院日数
1 ニューヨーク(アメリカ合衆国) 152.2~440.9万円 1~3日
2 パリ(フランス) 22.1~97.3万円 3日
3 マドリッド(スペイン) 48.6~91.8万円 4日
4 ロンドン(イギリス) 74.1万円 2日
5 ローマ(イタリア) 69.2~73.1万円 3日
6 ジュネーブ(スイス) 27.8~70.5万円 3日
7 バンクーバー(カナダ) 66.7万円 3日
8 シンガポール(シンガポール) 34.9~43.6万円 3日
9 デュッセルドルフ(ドイツ) 35.7万円 3日
10 (一般例)(日本) 30.0万円 6~7日

「世界の医療と安全2010」(東京海上日動作成)より抜粋

国によって費用負担が変わるよ