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令和2年(2020年)5月8日(金) / 「日医君」だより / プレスリリース

「緊急事態宣言」の延長を受けた日医の見解について

 横倉義武会長は5月7日の緊急記者会見で、5月4日に行われた安倍晋三内閣総理大臣の記者会見において、5月31日まで緊急事態宣言を延長することが発表されたことを受け、日医の見解について報告した。

 まず、横倉会長は、4月28日の日医定例記者会見の時点で、医療崩壊を起こさないために同宣言の延長が必要であるとの立場を示してきたことを紹介するとともに、「今回の政府による同宣言の延長の判断は、医療崩壊を防ぐために必要な判断である」と評価。

 その上で、(1)基本的対処方針と医療提供体制の維持、(2)PCR検査体制、(3)出口戦略、(4)緊急事態宣言の解除基準、(5)医療用衛生用品の国産化、(6)マスク等防護具の今後の見込み―についてそれぞれ日医の見解を説明した。

 (1)では、感染の第2波に備えた医療提供体制を更に整備していくとともに、同対処方針に"医療、国民生活・国民経済維持の業務を支援する事業者等にも、事業継続を要請する"と書かれていることから、「医師会は引き続き国民に必要な医療の提供を継続するように努めていく」と述べた。

 (2)では、「現在、全国の地域医師会でPCR検査センターが設置され始めており、今後も検査体制の強化を図っていく」とした他、テントや車両一体型によるPCR検査センター設置のデザインについて、日医総研で企画・設計し、都道府県医師会に提示していることを紹介した。

 また、唾液を使用したPCR検査の研究が進められていることに触れ、医療従事者の感染リスクを減らすことが期待できることから、加藤勝信厚生労働大臣に同日午前、実用化に向けた申し入れを行ったとした。更に、研究のための試薬キットについては、島津製作所から提供の申し出があったことを明らかにし、謝意を示した。

 (3)では、例えば、肺炎が疑われる患者には抗ウイルス薬、重症化した患者には特例承認される見込みのレムデシビル等を使用するなど、「治療方針を確立していくことが出口戦略につながっていく」と強調した。

 (4)では、5月14日に政府が緊急事態宣言の解除基準を示す予定となっていることについて、「経済的損失を抑えることも大事だが、釜萢敏常任理事が参画している政府の専門家会議の中で、医学的見地からきちんとした根拠とともに基準を示したい」との考えを示し、その際には、4月18日に設置した「日本医師会COVID-19有識者会議」の意見も参考にしていくとした。

 (5)では、同対処方針に、"政府は、事態の長期化も念頭に、マスクや抗菌薬の原薬を含む医薬品、医療機器等の医療の維持に必要な資材の安定確保に務めるとともに、国産化の検討を進める"との記述があることに触れ、日医が4月20日に梶山弘志経済産業大臣に、同感染症の診療における必需品等の国内生産を支援するため、「日本物づくり企業合同対策本部(仮称)」の設置を求める要望書を提出したことが反映されたものとの見方を示した。

 (6)では、政府が、1週間以内に備蓄が尽きる見通しの医療機関のうち、新型コロナ患者受入医療機関やPCR検査のための検体採取を行う病院・診療所に対し、国から医療用物資の緊急配布を行っており、5月中旬以降も継続されること等を説明した上で、「日医でも、必要な物資を速やかに現場に届けることができる仕組みづくりに取り組んでいる」と述べ、医療用物資等の不足感解消のため、政府と顔の見える関係を構築しながら、協力していくとした。

 横倉会長は最後に、5月を「新型コロナウイルス感染拡大防止"継続"月間」と位置付け、「国民と一体となって拡大防止のための努力を継続していく」と強調した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)

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 引き続き詳細な項目について解説した釜萢常任理事は、緊急事態宣言を全都道府県で継続することについて、一部の都道府県を解除した場合、「感染の見られるところからそうでないところに人が移動することによって、感染が各地に拡がってしまうという懸念が大きい」と述べ、今後一部の都道府県を解除する場合でも、人の移動についてのしっかりとした対策を行い、政府の専門家会議で合意するという手順が必要との見方を示した。

 また、今後の方向性を考える上で、明確な指標や数値を求める声が強いことについては、「十分に承知している」と述べる一方、専門家会議では、さまざまな指標を総合的に見ており、指標ごとに実態把握までのタイムラグが異なることから、一律に判断することが難しい状況を説明。

 更に、「医療提供体制に関する評価や判断ができるのは、それぞれの都道府県レベルである」として、国が各種判断をする際の都道府県との緊密な情報交換の必要性を強調した。

 PCR検査については、5月中に国により同感染症のためのシステムが稼働し、陽性率を把握できる予定であることを紹介し、入院者の退院のための検査等の取り扱いについて、状況が改善されることに期待感を示した。

 同常任理事は最後に、わが国のPCR検査数が諸外国比べて少ないとの指摘があることに対し、「検査を増やす必要があることは日医も前々から強く主張してきた」述べるとともに、4月2日に軽症者の宿泊施設や自宅での健康管理ができるようになった段階で、病床についての状況が大きく変わったことを強調。「幅広くPCR検査が実施できるように全力を挙げていく必要がある」とした他、抗原の迅速診断への期待感も示した。

◆問い合わせ先:日本医師会健康医療第二課 TEL:03-3946-2121(代)

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