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令和7年(2025年)5月28日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース

財務省財政制度等審議会「激動の世界を見据えたあるべき財政運営」について

 松本吉郎会長は5月28日、前日の27日に財務省の財政制度等審議会が「骨太の方針2025」に向けて「激動の世界を見据えたあるべき財政運営」、いわゆる「春の建議」を取りまとめたことを受けて記者会見を行った。その内容について、これまでに議論の過程で数度にわたり会見を行ってきたが、「非常に腹立たしく何度でも反論したい思いである」と述べた上で、特に見解の異なる提案に対して、改めて日本医師会の考えを説明した。

 まず、「基本認識」の項目で、「財政の健全化とは、そうしたリスクを回避し、持続可能で豊かな社会を実現するための努力にほかならない」と記載され、「そうしたリスク」として、「道路等のインフラの管理や医療等のサービスの提供が滞ることで国民生活に支障をきたすこと」などが挙げられていることに対して、高額療養費制度の見直しの議論や、地域医療支援病院の診療休止の報道も例に挙げ、「近年の税収増を必要な社会保障の充実にしっかりと充ててこなかったため、このような事態が起こっている。既に国民生活に支障を来し、医療の提供が滞っている」と強調した。

 次に、「関係者からの見え方」の項目で、「主なステークホルダーの目線に立って見たときに、それぞれに一定の納得感が得られるものである必要がある」との記載があることに対しては、「医療・介護関係者から全くもって納得感が得られていない机上の空論である」と批判した。

 更に、「疾病管理のあり方(生活習慣病)」について、生活習慣病の患者の疾病管理に関する診療報酬の算定要件の厳格化が提案されたことに対しては、「医師は患者の状態を見ながら対応を行っており、医師が判断することが基本であり、重要である」とした上で、「5月16日の会見でも述べた通り、こうした内容は中医協で議論されるべき内容であり、財政審が言及すべきではない」と指摘した。

 その上で松本会長は、「日本医師会では、これまで何度も述べてきた通り、高齢化の伸びに加え、賃金上昇と物価高騰、更には技術革新等への対応が必要であるとして、その主張を繰り返してきており、今後も繰り返していく」と訴えた。

 また、国民医療を守る議員の会の決議や「医療・介護・福祉の現場を守る緊急要望」をもって、石破総理には2度にわたり医療機関の窮状を直接訴えていることを改めて報告。

 更に、6月4日には国民医療推進協議会を開催し、医療、介護全体の総意として決議を取りまとめ、政府、与党等に要望を続けていく予定であるとし、「骨太の方針2025」の策定に向けて精力的に活動していく意向を示した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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