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令和2年(2020年)8月5日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

新型コロナウイルス感染症の病院経営への影響―医師会病院の場合―(確定版)を公表

 松本吉郎常任理事は、6月24日に速報値を報告した新型コロナウイルス感染症の拡大が医師会病院の経営に与えた影響について、このほど、数値等が確定したため、改めてその内容を報告し、国に対して更なる支援を求めた。
 調査結果の主な内容は、以下の通り。
 日医による「医師会共同利用施設設立状況等調査結果(2019年4月1日現在)」を基に、統廃合や入院を中止した2病院を除いた72病院に対して、日医ホームページから調査票をダウンロードし、メールで回答する方式にて実施。調査期間は6月5日から7月3日、回答数は58病院、回答率は80・6%。
 そのうち、同感染症入院患者数「あり」は14病院(24・1%)、同感染症患者のための病床数「あり」は28病院(48・3%)であり、半数近くの病院が病床を確保していた。
 「総件数・総日数・総点数」については、入院、入院外ともに、3月、4月、5月と月を追うごとに対前年比のマイナス幅が拡大しており、2020年3~5月通期(以下「通期」)での対前年同期比は総件数マイナス17・2%、総実日数マイナス13・6%、総点数マイナス8・9%となった。
 入院では、通期で総件数がマイナス13・9%となり、入院外では、通期の総件数がマイナス17・7%、総実日数がマイナス17・9%と大きく落ち込んだ。
 また、同感染症入院患者の有無による比較では、「あり」の病院の方が総件数、総実日数、総点数の落ち込みが大きく、通期で、入院総件数の対前年同期比はマイナス16・6%であった。
 入院外では、通期で、同感染症入院患者の有無にかかわらず、総件数、総実日数が前年に比べて2割近く減少した。
 「初診料、再診料、電話等再診」については、通期の対前年同期比が、初診料でマイナス36・5%、再診料または外来診療料でマイナス23・8%であり、初診料算定回数が最も減少した2020年5月では、ほとんどの病院で初診料算定回数が減少しており、かつ、初診料算定回数が20%以上減少したのは、同感染症入院患者「あり」の病院の全て、地域医療支援病院の約9割であった他、2020年3~5月の間に、電話等再診を行った病院は77・4%、行わなかった病院は22・6%であった。
 「損益の状況」については、通期で、医業・介護収入の対前年同期比は、全体でマイナス10・1%、同感染症入院患者「あり」の病院でマイナス11・3%であった。医業収入の内訳別では、入院診療収入の寄与が大きいが、療養病床60%以上の病院以外では、外来診療収益のマイナスの影響もみられた。また、2020年5月の医業収入対前年同月比はほとんどの病院でマイナスであり、約6割の病院では10%減少している。医業利益率は医業収入の減少が影響して、全体で2019年3~5月のマイナス1・3%から、2020年の同期はマイナス12・0%と大きなマイナスとなった。
 同感染症入院患者「あり」の病院の医業収入は2020年5月には対前年同月比マイナス19・2%となり、医業利益率は2019年3~5月のマイナス6・4%から、2020年3~5月にはマイナス21・5%と、15・0ポイント悪化し、入院患者「なし」の病院も黒字から赤字に転落。医業利益率の悪化は、医業収入の減少に伴い、固定費である給与費率が上昇したためであるとした。
 1施設当たり医業利益は、同感染症入院患者「あり」の病院で対前年同期比6100万円悪化。救急・周産期・小児医療機関で院内感染防止策を講じ、入院患者を受け入れた場合には最大で5000万円が支給されるが、一月分の悪化分もカバーできず、この他の支援や入院患者自体には診療報酬の上乗せもあるものの、継続した支援が必要であることが明らかになった。

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