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令和3年(2021年)2月20日(土) / 日医ニュース

ワクチン接種―円滑な接種遂行のため、会員の先生方のご協力を―

※掲載の情報は2月10日現在のものです。最新の情報は日本医師会ホームページ等でご確認願います。

 新型コロナウイルスワクチンに対する国民の期待が高まっていますが、わが国ではこれほどまでに大規模な予防接種を実施した経験がありません。接種を希望する方が安心して全国どこでも速やかに予防接種を受けられるよう、接種体制を構築しなければなりません。
 接種体制の構築のためには、全国各地域で自治体、医師会、医療機関の状況はそれぞれ異なるため、全国一律ではなく、自治体と地域の医師会が協議しながら、地域の実情に応じて、柔軟に整えていくことが重要です。会員の先生方のご協力をお願いいたします。

(1)ワクチンの種類、配送、接種順位等

 政府は、全国民分の新型コロナウイルスワクチンを確保するとしており、予防接種法の臨時接種の特例に位置付けられ、接種費用は国が負担します。
 日本では、当面、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ3社のワクチンが接種可能となる見通しですが、ワクチンによってはこれまでと異なる流通方法、保管方法が必要です。また、いずれのワクチンも筋肉注射で2回接種とされています。
 まずはファイザー社製のワクチンが供給される予定であり、接種医療機関は同社のワクチンに対する接種体制の構築が求められますが、今後、他社製のワクチンが導入された場合には改めて接種体制を検討する必要もあります。
 ワクチンの配送は、現場の医療機関を熟知している医薬品卸売業の関係者との連携と協力が不可欠です。このことから、2月2日に日本医薬品卸売業連合会とワクチン移送の準備状況について情報共有と意見交換を行い、今後更に連携を強化することで一致しました。
 接種の優先順位は、医療従事者等、続いて高齢者、基礎疾患がある方などの順で厚生労働省から示されています。高齢者施設の従事者については、高齢者に対する接種と同時期に接種を開始する方針が示されていますが、医療機関と関連する施設では、医療従事者等と同時期の接種が可能です。
 医療従事者等は基本型接種施設及び連携型接種施設、あるいは都道府県、市町村または医師会等の医療関係団体が設置する接種会場で接種を受けることになります。
 医療従事者とその他の方の接種体制は異なり、医療従事者に対する接種体制が住民接種にも応用できるとしても、医療従事者に対する最適な接種体制と住民接種の体制の構築は別に検討することが求められます。
 住民接種は、原則、居住地の市町村で接種を受けることとしていますが、やむを得ない事情がある場合には、居住地以外の市町村で接種を受けることもできます。
 ワクチン接種には「集団的接種」と「個別接種」があります。「集団的接種」は特設会場や病院、個別接種は診療所、病院などで実施されます。地域の実情に応じて適切に組み合わせた柔軟な体制の構築が必要です。
 また、「集団的接種」の会場における接種体制のためには、多くの医師の関与が必要であり、新型コロナウイルス感染症に対する医療と、コロナ以外の医療への影響を少なくする取り組みが求められます。
 住民接種は、普段の健康状態を把握しているかかりつけ医で安心して接種を受けられることが重要です。日本医師会は、かかりつけ医がかかりつけの患者さんへの個別接種が容易に実施できるよう、国に接種体制整備のための財政支援とワクチンの安定供給を要請しています。

(2)接種費用の請求、医療機関での業務フロー

 接種費用の請求については、接種を受けた方の居住地の市町村に対して行うこととなりますが、居住地以外の医療機関で接種を受けた場合の支払い事務手続きは国民健康保険団体連合会(国保連)が代行することとしています。
 このため、居住地以外で接種した場合の接種費用の請求と支払いの仕組みとして、日本医師会と全国知事会との間で集合契約を締結し、接種医療機関は、この集合契約に参加することとなります(図1)

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 接種事業へ参加するための具体的な手続きについては、ワクチン接種契約受付システム〔ワクチン接種円滑化システム(以下、V-SYS)の機能の一つ〕に必要事項を入力して委任状を作成し、取りまとめ団体(ご所属の郡市区医師会)にご提出頂きます。各医療機関からの委任状を受け取った郡市区医師会は再委任状を各都道府県医師会に提出、都道府県医師会が再々委任状を日本医師会に提出することで集合契約への参加が完了します(図2)

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 医療機関がワクチンを入手するためには、自院で接種が可能な量等をV-SYSに登録し、その情報を踏まえて、市町村が医療機関へのワクチン分配量を割り当てます。
 住民には居住地の自治体から接種券(クーポン券)が送付されます。接種を希望する方はV-SYSの公開サイト上で、医療機関リストや接種可能なワクチンの種類を確認し、医療機関に予約をして接種を受けることになります。
 実際に接種を行う際には、接種場所にかかわらず、接種対象者の予診と接種不適当者、要注意者の選別をしっかり行うことも重要です。
 副反応については、国内外の臨床試験等でどのようなものが起こり得るかの確認が行われているところですが、ワクチン接種と因果関係が明確でないものも含めて、接種部位の痛みや、頭痛・倦怠感・筋肉痛等の有害な事象が見られたことが論文等で発表されています。
 既に接種が開始されている国では、まれな頻度でアナフィラキシー(急性アレルギー反応)が報告されています。
 なお、新型コロナワクチンの接種についても、健康被害が生じた場合には、予防接種法に基づく救済の対象となります。
 また、ワクチン接種の進捗状況や有効性・安全性の検証のために接種記録を迅速に収集することが重要となりますので、この点に関してもご協力をお願いします。

※図1、2は厚生労働省作成

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