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令和3年(2021年)6月5日(土) / 日医ニュース

認知症の予防とは?

 高齢化とともに認知症患者が増えている。最大の危険因子が、加齢であることを考えると必然とも言える。
 認知症の大部分を占めるアルツハイマー型認知症は、いまだ根治薬がないため、認知症施策推進大綱に示されているように「共生と予防」が重要とされている。
 ここで言う「予防」とは、「認知症にならない」ではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味である。違和感を覚える先生も少なくないと思うが、現時点での治療の限界を示している。
 現在の研究は、「前臨床期」「軽度認知障害(MCI)」に関心が向けられているようである。つまり、認知機能の低下はないが、脳内では既に変化が現れている時期、認知症の診断はつかないが、軽度の認知機能の低下を認める時期である。新薬の開発により、認知症の早期診断が根本的な治療につながる可能性があるからである。
 MCIは、1年後には10数%が認知症にコンバートするとされているが、最近はリバート率がそれよりも少し高いのではないかとも言われている。つまり、MCI全てが認知症に進展するのではなく、改善するケースもあると考えられている。
 認知症の「予防」は、疫学調査、動物実験などから、糖尿病、高血圧などの生活習慣病の予防、運動不足の改善、社会参加による社会的孤立の解消や役割の保持などが発症を遅らせる(予防)可能性が示唆されている。認知症医療は、新しい局面に移りつつある。

(榮)

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