閉じる

令和3年(2021年)9月20日(月) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

コロナ感染症下の医師会臨床検査センター・健診センターの2020年度医業経営実態調査結果を公表

日本医師会定例記者会見 8月25日・9月1日

コロナ感染症下の医師会臨床検査センター・健診センターの2020年度医業経営実態調査結果を公表

コロナ感染症下の医師会臨床検査センター・健診センターの2020年度医業経営実態調査結果を公表

 松本吉郎常任理事は、新型コロナウイルス感染症が2020年度に医師会健診センター、臨床検査センター、健診・検査センター複合体の経営に与えた影響について調査した結果を報告。健診センター全体の事業利益率は前年度より0・7%減少し、緊急事態宣言の発出が3カ月以上にわたる東京、埼玉、神奈川、大阪、及び兵庫の13施設では、事業利益率が半減していることなどを明らかとした。
 本調査は、2021年6月21日に、健診センター66施設、臨床検査センター50施設、健診・検査センター複合体45施設に対して調査依頼文書を発出し実施したものであり、回答率は健診センター68・2%、臨床検査センター58・0%、複合体80・0%の合計68・3%であった。
 健診センターと臨床検査センターの両方を回答した複合体は32施設で、健診センターのみ回答が3施設、臨床検査センターのみ回答が1施設であったため、健診センターを80施設、臨床検査センターを62施設として集計している。
 調査結果の主な内容は、以下のとおりとなっている。
【健診センターの集計・分析結果】
 健診センター80施設のうち、新型コロナウイルス感染症の症状がある者へ保険診療でのPCR検査の採取、測定を実施している施設は11施設であり、収益への寄与では、「大きく寄与している」「まあまあ寄与している」「全く影響はない」が、それぞれ3施設(27・3%)であった。
 6月時点におけるワクチン接種に関しては、31施設(38・8%)の健診センターが接種会場として実施しており、医療従事者等の派遣や支援を実施しているのは33施設(41・3%)となっている。
 昨年6月の前回調査では、2020年5月の事業収入が対前年比59・1%減に落ち込むなど厳しい状況であったが、今調査では健診センターの存続について、「存続する」と回答したのは74施設(92・5%)で、「存続するか否かについて検討している(もしくは検討したことがある)」と回答したのは5施設、「存続しないことが決まっている」と回答したのは1施設であった。
 市町村国保や地域の自治体で実施している特定健診やがん検診は、健診センター単体、検査センターとの複合体においても前年度に比べて大きく減少。健診センター全体の事業収益では、2019年度、2020年度ともに若干の収益を上げており、2020年度の事業利益は微減にとどまっているものの、事業収入のうち、健診部門の収入は3億8900万円の減収で、医師会からの繰入金等の「その他の収入」で補っている状況となっている。
 2020年度の健診センター全体の事業利益率は、前年度より0・7%減少しており、緊急事態宣言の発出が3カ月以上にわたる東京、埼玉、神奈川、大阪、及び兵庫の13施設では、半減している。
【臨床検査センターの集計・分析結果】
 検査センター62施設のうち、新型コロナウイルス感染症の症状がある者へ保険診療でのPCR検査の採取、測定を実施している施設は41施設であった。
 また、収益への寄与では、「大きく寄与している」14施設(34・1%)、「まあまあ寄与している」13施設(31・7%)、「影響はあまりない」11施設(26・8%)であった。
 ワクチン接種実施への協力に関して、医療従事者等の派遣や支援を実施しているのは28施設(45・2%)となっている。
 昨年6月の前回調査では、2020年5月の事業収入が対前年比35・4%減に落ち込んでいたが、今調査では臨床検査センターの存続について、「存続する」と回答したのは50施設(80・6%)で、「存続するか否かについて検討している(もしくは検討したことがある)」と回答したのは9施設、「存続しない方向で検討している」と回答したのは1施設であった。
 各検査の実施件数は、実施件数が多い生化学(Ⅰ)検査が前年度に比べ全体4・3%減、単体2・5%減、複合体6・7%減であった。微生物検査は、前年度に比べ単体0・9%増であったものの、複合体では9・7%減で、大きく落ち込んでいる。
 事業収益率は、前年度と比べて増加しているが、緊急事態宣言の発出が3カ月以上にわたる東京、埼玉、大阪、及び兵庫の12施設においては、事業利益率が8割以上減少していることが明らかとなった。
 記者との質疑応答で今後のあり方を問われた松本常任理事は、「地域医師会の健診センターや検査センターは医師会共同利用施設の原点と考えており、地域の会員支援のためにもしっかり守っていきたい」との姿勢を示した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる