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令和3年(2021年)10月20日(水) / 日医ニュース

地域で育む総合診療医

勤務医のひろば

地域で育む総合診療医

地域で育む総合診療医

 当院は鳥取市南部に位置した340床の自治体病院で、「ひとと地域をケアで包む」を合言葉とし、全国と同様に地域医療崩壊と超高齢社会に対応するため、2010年から総合診療科を設置している。
 2013年には院内独自で「地域ケア病棟」を設置した。これは「治す医療」と、その人らしく尊厳をもって生きられるよう「支える医療・介護」の双方が実践可能な入退院支援体制の整備を目的としており、現行の地域包括ケア病棟の先駆けと言える。
 更に、2015年には在宅療養後方支援病院となり、『絆ノート』を作成して、安心して在宅療養ができるための地域での医療介護連携のツールとしている。
 また、『絆ノート』の中には、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の項目を設け、かかりつけ医やケアマネジャーなどとの話し合いを行える機会を設けている。
 同時期に医師会と行政に働き掛けを行い、地区医師会の中に在宅医療介護連携推進室を設置し、地域包括ケアシステムの推進を開始した。多施設多職種協働を推進するための地域包括ケア"絆"研修3回シリーズの研修会の開催、ACPを中心とした住民啓発活動などを現在まで継続して行っている。
 2021年には『わたしの心づもり』(ACPノート)を刷新したが、鳥取市を中心とした鳥取県東部圏域と兵庫県北部(香美町、新温泉町)で構成する「因幡・但馬麒麟のまち連携中枢都市圏域」で、住民一人ひとりの考えや価値観が同じ生活圏の中で引き継がれていくことを期待している。
 総合診療医に求められる役割は多岐にわたる。疾患を限定せず、所属施設にとどまることなく、生活圏域を活動の場として、多施設多職種協働の中心的役割を担っていくことが、時代が求める新たな医師像であり、総合診療医の目指すべき姿と考えており、現在、9名体制で地域の総合診療医を育成している。

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