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令和3年(2021年)12月28日(火) / 「日医君」だより

第30回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会

 第30回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会が12月24日、日本医師会館でWEB会議により開催された。

 冒頭あいさつした中川俊男会長は、全国的に低い水準の感染状況であるものの、東京都では新規感染者数の増加傾向が見られ、各地で散発的なクラスターが発生していることを危惧。国内初のオミクロン株の市中感染が確認される中、年末年始で人の移動が増えることから、感染が低い地域においても慎重な対策を継続することが必要であると強調した。

 また、新型コロナワクチンについて、12月1日より、18歳以上で2回目の接種から8カ月以上経過した人への追加接種が開始され、日本医師会が全国知事会との共通認識の下で求めてきた接種間隔の柔軟な短縮も、医療従事者や高齢者施設の入所者等が6カ月、その他の高齢者が7カ月とすることが認められたとして、追加接種が円滑に進むよう協力を求めた。

 当日の議事は、(1)新型コロナウイルスワクチンの追加接種(3回目)、(2)新型コロナウイルス感染症対応人材ネットワークの件、(3)新型コロナウイルス感染症の検査に係る保険収載価格の見直、(4)その他―についてであった。

 (1)では、まず、大坪寛子厚生労働省大臣官房審議官が、新型コロナへの対応に謝意を示すとともに、ワクチンの確保・供給に尽力し、追加接種が前倒しされた医療従事者や高齢者施設の入所者等への前倒しも検討していく意向を示した。

 続いて、鶴田真也厚労省健康局健康課予防接種室長が、追加接種について、12月16日のワクチン分科会を経てモデルナ製が特例臨時接種に位置付けられたことを挙げ、1、2回目の接種がどのワクチンであっても、ファイザー及びモデルナのどちらのワクチンも使用可能であると説明。2月に開始を見込んでいた小児への接種については、ワクチンの輸入が2月となり、早くても来年3月以降の開始となるとした。

 その上で、追加接種用のワクチンについて、12月から来年3月までに4,800万回分を配分する供給スケジュールを示し、医療従事者や高齢者等の前倒し接種に必要な分は確保されていることを強調。来月以降のワクチン輸入に関しては見通しが立った段階で配分計画を公表するとし、接種間隔が8カ月経過となっている一般の人への前倒し接種についても、輸入量を見定めて検討していくと述べた。

 なお、前倒しに該当する「高齢者施設等」の範囲については、障害者施設やデイサービスの類型も含まれ、病院・診療所の入院患者についても希望があれば前倒しの対象となるとし、施設類型が該当すれば年齢の制限はないことを補足した。

 追加接種用のワクチンの供給を考慮し、モデルナの接種体制の整備を求めるとともに、モデルナの正しい情報を発信するため、自治体からの接種案内にリーフレットを同封するとした。

 更に、モデルナは1バイアルから15回分は使用するよう要望。1つの医療機関で複数のワクチンを扱えるようになったため、間違いが起きないよう、時間帯・曜日で分けるなどの工夫が必要であるとし、特に、小児用ワクチンは大人と取り扱いが異なることから、小児の接種体制の構築に当たっては大人と切り分けるよう注意を呼び掛けた。

 質疑では、追加接種に関するリーフレットの改善を求める意見や、11歳と12歳で接種量が異なるケースもあり得ることから、対象を学年で考えるよう求める意見が出された。

 (2)では、釜萢敏常任理事が、厚労省からの補助を受け、日本医師会が各病院団体と一緒に「新型コロナウイルス感染症対応人材ネットワーク」を立ち上げたことを概説。事業期間は令和5年度末までで、主に1.人材育成事業(研修開催状況の情報提供、財政支援の基準、研修及び修了の認定方法等)、2.人材確保事業(派遣医師の登録、派遣ニーズとのマッチング、派遣等)―について、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、全国自治体病院協議会、全国医学部長病院長会議、日本慢性期医療協会から推薦された実務を担う委員で構成する運営委員会で検討していくとした。

 (3)では、松本吉郎常任理事が新型コロナウイルス感染症の検査に係る保険収載価格の見直しについて、12月8日の中医協で、政府方針に基づき、臨時的に12月31日に前倒しして引き下げることが決まったことを報告。PCR検査は、現行の委託1,800点、委託以外1,350点がともに700点となるが、実勢価格が700点以内に収まっているのか事前に厚労省に確認し、委託検査については令和4年3月31日まで1,350点とする経過措置を設けるなど、逆ザヤが生じて医療機関が困らないよう強調した上で、やむなく了承したことを説明した。

 質疑では、年末年始に備えてキットを購入していた医療機関では既に逆ザヤが生じているとの指摘や、新型コロナ対応において重要な検査が、診療報酬改定(令和4年4月1日)より前倒しして半減されることを危惧する意見が示され、中川会長は、「感染再拡大の兆しのある今、非常に不適切であり、緊急に厚労省と協議したい」と応じた。

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