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令和4年(2022年)1月27日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース

新型コロナウイルス感染症の現況について

 中川俊男会長は1月26日、記者会見を行い、新型コロナウイルス感染症の現況に対する日本医師会の見解を説明した。

【まん延防止等重点措置について】
 34都道府県にその適用範囲が拡大された「まん延防止等重点措置」については、複数の民放のニュースネットワークの世論調査の結果において、約6~7割の方が評価していること、また、会食や旅行を控えようと考えるかという質問では約9割の方が『控える』と回答していること等を紹介。「この結果からも、多くの方がオミクロン株の感染拡大を深刻にとらえ、しっかりと感染防止対策を継続されていることが分かる」とした。

【国内の感染状況について】
 国内の感染状況については、(1)厚生労働省の1月12日から18日までの1週間の全国の新規陽性者数は、20歳代以下が半数以上(56%)になっている、(2)厚労省の調査では、保育所やこども園で調査対象となった全国約31,000施設のうち、全面休園している施設は、1月13日の14都道府県86カ所から、1月20日には27都道府県327カ所に大幅に増加している―ことなどを説明。「子どもの感染は、子ども本人がつらい思いをするだけでなく、保育所、幼稚園、放課後児童クラブや学校で、保育士や教員に感染が拡がり、休園、休校することになれば、エッセンシャルワーカーである保護者が業務に従事できなくなる」として、保育士や教員が濃厚接触者になった際には、ワクチン2回接種済みで、無症状で検査陰性の場合は、待期期間の更なる短縮を考えることを提案した。

【医療現場の声~日本医師会「地域医療対策委員会」における議論より】
 医療現場の声に関しては、日本医師会「地域医療対策委員会」(1月21日)での各都道府県の委員からの報告を基に、各地のコロナ対策(1.医療機関の対応状況2.通常医療とコロナ医療との両立3.保健所機能等4.抗原定性検査キット)を紹介。

 1.では、都市部ばかりでなく、コロナの主戦場は発熱外来に移ったとの共通認識や、発熱外来を担う診療・検査医療機関が感染者のリスク評価を行い、リスクのある人にはその医療機関や地域で健康観察・治療を行い、重症化を防止して保健所の負担を軽減していることを報告。その上で、地方部にも感染が広がり、医療提供体制がぜい弱な地域では病床の逼迫度合いが更に進んでいることを説明した。

 2.では、もともと冬場はコロナ以外の救急患者が多い中、救急搬送困難事案の急増を指摘し、「非コロナ疑いの事案の割合が高く、コロナ以外の救急医療が圧迫されつつある」とした上で、コロナ医療とコロナ以外の通常医療の両立が崩れれば、医療崩壊に至るとして危機感を示し、地域の実情を踏まえて、病床を柔軟に運用する必要があるとの考えを示した。

 また、3.では、既にパンクしているという地域もあり、医師会が当番制で患者の状態を確認したり、県の入院調整本部に医師会役員が参加している地域もあると紹介するとともに、「地域医師会が一緒にやろうと申し出ても、できるだけ保健所が自分達で完結しようとするところもある」として、全国の保健所に対して、感染情報を共有し、医師会と共にこの事態を乗り切ろうと呼び掛けた。

 更に、4.では多くの委員から、抗原定性検査キットの不足を指摘する意見が出されているとして、政府に対して、検査キットの緊急増産を求めた。

【厚生労働省の事務連絡(1月24日付)】
 厚生労働省から1月24日に発出された事務連絡「新型コロナウイルス感染症の感染急拡大時の外来診療の対応について」に関しては、もう少し明確にした方が良い点として、4点を明示。その第一として、「診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する等の場合」と、「外来医療のひっ迫が想定される場合」などの記載に関しては、「具体的にどういう状況かを明確にし、一般の方や、地域医療の現場、行政が混乱しないようにして欲しい」とした。

 第二に「一般の方が、自ら実施した抗原定性検査の結果をもって、遠隔診療でも医師の確定診断が可能」としていることに対しては、一般の方が自ら正しく検体を採取するのは容易ではなく、判断も難しいことから、最終的な判断は医師が行うことを明確にするよう求めた。

 第三としては、「検査をせずに臨床症状で判断をするということの重み」について言及。「必要な患者に対して、可能な限りきちんと診察して差し上げたいというのが現場の医師の切実な想いである、診療業務はひっ迫してはいるが、患者が必要とされる対面診療をとことんまですることが医師の責務であり、地域の医師はそのために全身全霊で頑張っている」と地域の医師の実情を説明し、今回の事務連絡は、感染の爆発的な拡大に対しての緊急避難的な外来診療の対応であるとの認識を示した。

 その上で、政府に対しては、(1)抗原定性検査キットを医療機関に優先的に供給する、(2)今回の事務連絡は、医療提供体制のひっ迫が決定的に迫って来たときの対応を例示したものであり、地域の実情に応じて柔軟に対応して良いということを明確にするとともに、頑張っている医療現場に対し、ぎりぎりまで最大限の支援をする、(3)可能な限り感染者数を抑制するためにも、ワクチンの供給を更に加速する―ことを強く求めるとともに、ウイルスが変異しても基本的な感染防止対策は変わらないとして、手洗い、換気、三つの密を避けることの重要性を一貫性をもって繰り返し広報することを要請した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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