閉じる

令和4年(2022年)3月20日(日) / 日医ニュース

パンデミック対策の行方とかかりつけ医

 コロナウイルスパンデミックでは、中国のような強権国は都市封鎖を含む行動規制、病床転用、医療従事者の徴用など医療のコントロールが容易であった。
 わが国でも、パンデミック時における国家の権限強化を求める声がある。一方、世界一の超高齢国でありながら、強権的規制なしで人口比での死者数が極めて低いことも事実だ。
 コロナウイルスワクチンをいち早く開発した米国、ロシア、中国、インドはいずれも軍事大国で、国家補助によるワクチン開発は安全保障政策の一環だ。日本の国家安全保障会議で審議する事項に感染症パンデミック対策の文言は無い。今後のパンデミック対策は病床、医療人材の確保はもちろん、安全保障に関わる緊急事態法制の整備も検討対象になるかも知れない。
 気になるのは、今回の感染症パンデミックでの経験から、国民健康保険団体連合会がかねてより提言している英国型の家庭医制導入に加え、財務省もかかりつけ医制度化の必要性を強調し、発熱等診療・検査外来、ワクチン接種、自宅待機者の健康観察などをかかりつけ医に担当させることを提案している。
 行政がコントロールしやすい、地域における登録制やかかりつけ医の制度化は緊急事態法制整備など憲法絡みの議論は不要で、国民には分かりやすい。
 彼らの思惑どおりに事が進められないためにも、今後ますます日本医師会の組織力を高めることが不可欠だ。

(撥)

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる