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令和4年(2022年)9月5日(月) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

新型コロナウイルス感染症の感染状況を受けて

日本医師会定例記者会見 8月23日

新型コロナウイルス感染症の感染状況を受けて

新型コロナウイルス感染症の感染状況を受けて

 松本吉郎会長は、引き続き第7波の感染状況に強い危機感を示すとともに、医療機関・保健所等の業務負担軽減のための日本医師会の動きについて説明した。
 松本会長は、まず、第7波の感染状況について、全国的に上昇または高止まりしており、対応する医療提供体制においては、救急搬送困難事案の増加や医療従事者の(感染等による)欠勤割合の増加など大変厳しい状況の中、全力で患者への医療提供に取り組んでいることを強調。「日本医師会からも、地域の医師会や医療機関に対して、休日や夜間などの受診窓口の確保について更なる協力の要請を継続しているが、これに応える形で各地の医師会や医療機関においては、ドライブスルー方式の臨時発熱外来の開設等、行政と連携しながら懸命に医療提供体制を築いて頂いている」として、感謝の意を示した。
 また、解熱鎮痛剤の需要が高まり、医療現場からアセトアミノフェン製剤等の不足を訴える声が届いていることを受け、日本医師会として厚生労働省に対して改善を求めていることを説明。「コロナだけでなく、一般医療を含め医療提供体制に大きな負荷が生じており、今後の更なる深刻化が懸念される」と危機感を示した他、学校等において新学期がスタートすることの影響を注視する必要があるとした。
 医療機関や保健所等の業務負担の増加への対応については、8月2日に厚労省において、全国知事会長の平井伸治鳥取県知事と共に、「感染者の全数把握に代わる仕組みを求める緊急申し入れ」を後藤茂之厚労大臣(当時)に行い、現場の負担軽減に資するよう入力項目の簡素化などを政府に要請したことを改めて紹介。こうした要請を踏まえ、重症化リスクの低い患者の発生届について、7項目のみの入力を可能とする簡素化がなされたことを報告した。
 一方で、依然として医療提供体制の逼迫(ひっぱく)は待ったなしの状況となっていることから、全数把握となっているHER―SYSの入力項目の削減に続く対応方策の検討や抗原定性検査キットの医療機関への優先供給等、今後の対応について、8月19日に加藤勝信厚労大臣と面会し、「今般の感染拡大を踏まえた今後の対応に関する要望書」を提出したことを報告した(2面参照)。
 その上で松本会長は、それらの要望について政府にスピード感をもった対応を求めるとともに、「特にHER―SYSによる全数把握の運用については、早急に検討をして頂きたい」と強調した。
 会見に同席した釜萢敏常任理事は、まず、現在HER―SYSによって医療機関が発生届の提出を行っている理由について、(1)感染者に対して、国あるいは地方自治体が確実にフォローを行うために必要な情報を入力する、(2)感染状況の把握に役立てる―という目的があることを説明。これらを踏まえ、事務負担を軽減する新たな仕組みの方向性についての日本医師会の考え方を解説した。
 (1)では、フォローアップに確実に役立てていく観点から、報告の対象をこれまでよりも大幅に狭め、重症化リスクの高い人に絞っていく必要性を指摘。重症化リスクが高いとされた人の情報の入力に関しては、「医療機関として責任をもって確実にやらなければならない」と述べた他、対象者の絞り方については今後の協議になるとした。
 (2)では、事務負担の効率化には、さまざまな工夫の余地があるとの見解を示し、参考事例として三重県における定点把握の先進的な取り組みを紹介。また、民間の検査機関のデータ利用、インフルエンザのような定点観測等を挙げた。
 釜萢常任理事は最後に、感染者数の全数把握を即刻やめれば指摘されている問題等がすぐに解決するというわけではないことや、公衆衛生上の評価分析に資する内容を保持しながらの定点医療機関の選び方などには課題があることに理解を求めた上で、「医療現場の逼迫は非常に厳しい状況であるため、なるべく早い段階で方針決定の検討が進むことを望んでいる」とした。

 なお、岸田文雄内閣総理大臣は8月24日、オンラインで記者会見を行い、発熱外来や保健所における更なる負担軽減策を公表。全数把握に関しては、日本医師会などからの要望を受けて、発熱外来や保健所業務が極めて切迫した地域においては緊急避難措置として、自治体の判断により、患者届出の範囲を、①65歳以上の人②入院を要する人③重症化リスクがあり、コロナ治療薬の投与または酸素投与が必要と医師が判断する人④妊婦の人―に限定することを可能にするとした。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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