

都道府県医師会社会保険担当理事連絡協議会が3月26日にWEB形式で開催され、本年6月施行の令和8年度診療報酬改定の具体的内容について説明が行われた。
冒頭あいさつした松本吉郎会長は、30年ぶりに3%超のプラス改定を実現した今回の診療報酬改定について、「純粋に財源を上乗せする、いわゆる真水での対応となったことは、高市早苗内閣総理大臣を始め、関係大臣や国会議員の先生方に地域医療の窮状をご理解いただけた結果」との認識を表明。
また、都道府県医師会や郡市区等医師会の先生方が、医療が置かれている厳しい現状や医療政策への更なる理解を求めたことが大きな原動力となったとした上で、「医療界がまさに一体、一丸となって対応した結果である」と強調した。
さらに、「インフレ下での『道しるべ』となる極めて重要な改定となった」として、全ての関係者に謝意を示すとともに、改定内容が非常に複雑で膨大な量となっている点に触れ、今回の協議会の参加者に対して、改定内容の周知への協力を求めた。
続いて、事前に収録した動画により、茂松茂人副会長と長島公之・江澤和彦・黒瀨巌各常任理事がテーマごとに分かれて、改定内容のポイントなどを解説。
外来では、賃上げに向けた評価の見直しのポイントとして、(1)ベースアップ評価料の評価体系の変更、(2)ベースアップ評価料の対象職種の拡大(事務のみを行っている事務職員や40歳未満の医師・歯科医師・薬局薬剤師が追加)―を挙げた。
(1)では、外来・在宅ベースアップ評価料について、①令和7年度以前からベースアップ評価料を算定して、継続的に賃上げを行った医療機関②それ以外の医療機関―では異なる評価となる点や、令和9年度は令和8年度の2倍の額とする段階的な評価となる点などに言及。
外来・在宅ベースアップ評価料の診療所の届出が昨年7月時点で約4割だったこともあり、今回は令和6、7年度分が初・再診料本体に組み込まれず、令和7年度以前から継続的に賃上げを行っている医療機関とそれ以外の医療機関で扱いが分かれたとした上で、まだベースアップ評価料を届け出ていない医療機関に対して「今後、日本医師会からベースアップ評価料の分かりやすい資料を提供するので、改定に合わせて6月から算定可能となるように5月中の届け出をぜひ検討し、賃上げの原資としてご活用いただきたい」と呼び掛けた。
この他、①賃金改善計画書が不要となった②実績報告に加え、新たに中間報告が必要となる③届出様式が簡略化された―ことなどを紹介。
物価上昇への対応としては物価対応料が新設され、初・再診料に上乗せされるとし、令和9年度は令和8年度の2倍の額が算定できる点を指摘した。
初診料については、本体自体の見直しはないとした上で、初診料に関わる各種加算のポイントを説明。具体的には①機能強化加算に大きな見直しはない(施設基準にBCPの策定等が追加されたが、大きな負担なく対応できる)②医療情報取得加算と医療DX推進体制整備加算が廃止され、電子的診療情報連携体制整備加算に統合された③特定機能病院等から紹介された患者に対する初診を診療所等で行った場合の評価「特定機能病院等紹介患者受入加算」が新設された―点を挙げた。
再診料の見直しでは、物価賃金への対応として本体が引き上げられることを始め、①時間外対応体制加算は名称が変更され、増点となる②地域包括診療加算と認知症地域包括診療加算は評価体系が変更される③医療情報取得加算は電子的診療情報連携体制整備加算に統合される―点なども解説。
外来医師過多区域に関する対応では、医療法上の実効性を持たせるための経済的なディスインセンティブとして、改正医療法に基づき、「地域で不足している医療機能の提供等に係る都道府県知事の要請に応じず、その結果、保険医療機関の指定が3年以内とされた医療機関」について、機能強化加算や地域包括診療加算等の算定等が不可となったとした。
生活習慣病管理料(Ⅰ)については、点数の適正化はなかったものの、「原則として、必要な血液検査等を少なくとも6カ月に1回以上は行うこと」が要件とされたが、自院で検査していない場合でも、健診等の結果を活用することで差し支えないとの通知が出ていることを紹介。
同管理料(Ⅱ)については、包括範囲から除外されて併算定が可能となった医学管理料等が大幅に増加したことに触れた。
また、同管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の共通の見直しとして、①糖尿病を主病とする患者について、糖尿病の薬剤以外の薬剤は在宅自己注射指導管理料の算定を可能とする②患者と医療機関の負担を軽減する観点から、療養計画書の患者署名が初回から不要になった―ことを説明。
同管理料の加算である外来データ提出加算については、名称が「充実管理加算」に変更となり、「脂質異常症」「高血圧症」「糖尿病」といった主病ごとの提出データが簡素化されるとともに、継続的に受診する患者の割合等に応じて三つの加算が設定されたとした他、地域包括診療加算や地域包括診療料に「外来データ提出加算」が新設となったことも紹介した。
特定疾患療養管理料では対象となる疾病について、消化性潰瘍(かいよう)のある患者への投与が禁忌である非ステロイド性抗炎症薬の投与を受けている場合には、「胃潰瘍及び十二指腸潰瘍」の対象から除外される点のみが変更となったと解説。
処方箋(せん)料では、一般名処方加算1・2の点数が引き下げとなった経緯について言及し、厚生労働大臣と財務大臣による大臣合意に基づくものだとした上で、「財務省や中医協の支払側委員は処方箋料の点数自体を処方料と同額とすることを主張していたが、その点は回避できた」と説明した。この他、一般名処方加算の対象にバイオ医薬品が追加されたことにも触れた。
長期処方・リフィル処方箋については、その対応が可能である旨の院内掲示の対象に、特定疾患療養管理料など、かかりつけ医機能を有する医療機関で算定されるような医学管理料が追加されたとした。
この他に、(1)小児科外来診療料・小児かかりつけ診療料の見直し、(2)地域支援・外来医薬品供給対応体制加算の新設、(3)連携強化診療情報提供料の見直し、(4)療養・就労両立支援指導料の見直し、(5)オンライン診療の施設基準の見直し、(6)「遠隔電子処方箋活用加算」の新設、(7)遠隔連携診療料の評価の拡大―といった項目を解説。
在宅医療では、物価高騰・賃金上昇への手当てとして、①再診料が包括されている「在宅患者訪問診療料」の点数が引き上げとなった②外来と同様に、物価対応料が上乗せされる―点などを説明した他、在宅医療DX情報活用加算は「変更なし」とした。
連携型の機能強化型在宅療養支援診療所の見直しに関しては、具体的には、普段から訪問診療を行っている医療機関による24時間の往診体制を「月4回以上」確保していない診療所は、往診料の緊急往診加算や在宅ターミナルケア加算等の点数について、通常の在支診の点数を算定することなどを挙げた。
入院医療では、物価・賃金対応を踏まえた入院料の引き上げや、入院料本体に上乗せとなる物価対応料などについて解説した他、継続的な賃上げに係る取り組みを実施していない医療機関の入院料が減算となることなども指摘。
動画解説の終了後、長島常任理事は補足として、生活習慣病管理料において「外来データ提出加算」が「充実管理加算」に変更となる点に言及。「現行の外来データ提出加算について、医療機関の負担が非常に大きいため、ほとんど算定されていない現状を踏まえ、今回の改定で提出を求めるデータが簡素化され、医療機関の負担が大幅に減ることで、算定する医療機関が増えることが予想される」とした上で、「点数だけ捉えると下がったように見えるが、実際としては多くの先生方にとってプラスになる」と訴えた。
さらに、これまで算定の割合が低かったことを踏まえ、今回の改定で算定を検討してほしい項目として、(1)ベースアップ評価料、(2)医療DX関係の点数、(3)充実管理加算―を挙げ、「ぜひこの機会に算定を検討いただきたい」と要望した。
最後に、閉会のあいさつを行った茂松副会長は、今回の改定も内容が複雑になっているとし、「都道府県医師会の担当役員の先生方においては、会員の皆様に各地域でしっかりと周知いただきたい」と改めて呼び掛け、協議会は終了となった。
| お知らせ |
|---|
都道府県医師会社会保険担当理事連絡協議会の映像並びに資料は日本医師会ホームページのメンバーズルームに掲載されていますので、ご活用ください。https://www.med.or.jp/japanese/members/flv_movie/20260326syaho/ ※日本医師会ホームページ内のメンバーズルームに掲載しているため、日本医師会会員用アカウント(ユーザー名、パスワード)が必要となります。 |

都道府県医師会社会保険担当理事連絡協議会の映像並びに資料は日本医師会ホームページのメンバーズルームに掲載されていますので、ご活用ください。

