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令和4年(2022年)10月14日(金) / 「日医君」だより

第36回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会

 第36回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会が10月11日、日本医師会館でWEB会議により開催された。

 冒頭のあいさつで松本吉郎会長は、今夏の第7波による未曽有の感染拡大に言及。医療現場において大変な負荷が掛かる中で、都道府県医師会の医師達が、お盆等の休診期間中の発熱外来等での患者受け入れなどに大きな役割を果たしたことについて改めて謝意を述べた。

 また、8月19日には、加藤勝信厚生労働大臣に「今般の感染拡大を踏まえた今後の対応に関する要望書」を直接、手交したことにも言及。その中で、「新型コロナウイルス感染症に係る現行の支援の継続」を要望した結果として、病床確保料については、令和4年度の「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業」が、10月以降も当面の間の継続が決定されたことを紹介するとともに、「今後も全国の医師の新型コロナウイルス感染症への取り組みがしっかり評価されるよう、引き続き厚労省に要請していく」ことを強調した。

 当日の議事は、(1)新型コロナウイルスワクチン等(厚生労働省より)、(2)COVID―19JMAT保険の改定、(3)令和4年度新型コロナウイルス感染症対応 休業補償制度および医療従事者支援制度―についてであった。

 (1)では、協議会に参加した厚労省の大坪寛子審議官、高城亮健康局予防接種担当参事官室長、松岡輝昌健康局結核感染症課参事官、金光一瑛予防接種対策推進官から、1.新型コロナウイルス感染症の国内発生動向2.国内の新型コロナワクチンの接種状況3.オミクロン株に対応した新型コロナワクチンの接種体制確保4.オミクロン株対応ワクチンの接種対象者及び接種の開始時期5.新型コロナワクチンの接種体制の整備・接種の実施―等について、説明が行われ、都道府県医師会からのワクチンに対する質疑について回答した。

 3.では、基本的な考え方として、毎年、年末年始に感染が流行していることを踏まえ、令和4年中に全接種対象者が接種可能となる体制を整備することが必要であるとした上で、接種対象者は、初回接種を完了した12歳以上、最終の接種から5カ月以上が経過した全ての住民であるとされた。また、接種開始時期については、令和4年9月20日より順次開始し、BA.4-5対応型ワクチンの接種は10月13日より開始する予定とされ、ワクチンの種類及び供給については、10月13日以降もBA.1対応型ワクチンを破棄することなく使用し、接種可能なワクチンを使用して速やかに接種を促進するとされた。

 更に、ワクチン接種に必要な費用については、引き続き国が全額負担するとのことであった。

 5.については、"ワクチン接種対策費負担金"について従前通りの内容で令和4年度末まで、"ワクチン接種体制確保事業"、"新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金"についても、従前どおりの内容で延長されるとの説明が行われた。

 (2)では、猪口雄二副会長が、COVID-19JMATの登録及び損害保険の改定について説明。具体的には、保険金支払いの対象である「入院」の範囲を、令和4年9月26日からは、「医療機関に入院した方」「宿泊療養施設・自宅療養者の内、重症化リスクの高い方」に限定する一方、派遣活動中に新型コロナウイルスに感染した場合に支払われる「感染一時金」については、変更がないとした。

 (3)では、猪口副会長が、令和3年1月に創設された「日本医師会休業補償制度」について、まず、第7波の影響で加入する医療機関が増加(約12,000機関が加入)し、それに伴い、2年度通算で掛金の2倍を超える保険金の支払いが生じていることを説明。その状況を踏まえて、保険会社と交渉を重ねた結果、1.休業日数2.医療機関に係る支払限度額―の2項目のみを令和2年度契約と同条件に戻し、制度の存続を図るとした。

 また、「医療従事者支援制度」については、1.令和3年度制度では、約17,000の医療機関・約116万人の医療従事者が加入し、保険料は補助金を含め11億6,000万円となっている2.第6・7波の影響で感染者が急増し、令和4年9月末現在で約13億円の保険金の支払いが生じており、今後、更に増える見込みであるとともに、最終的には保険料を大幅に超える保険金支払いが生じる見通しである―ことを概説。

 そのため、引受保険会社は、現在の掛金では補償内容を維持することは困難であるとされ、契約者である日本医療機能評価機構としても制度運営が困難との結論に至ったために加え、現下の新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえると、制度創設時の目的は十分に果たしたと考えられることから、募集をいったん休止し、今後の状況を見ながら次の制度を検討していくことになったことを説明した。

 総括を行った松本会長は、新型コロナウイルスへの対応と絡めて、「日本のかかりつけ医のあり方を批判する声が一部にあるが、未知のウイルスへの初期対応においては各国で苦慮している。日本の医療はG7各国との比較しても、死亡者数・重症者数を低く抑えることができている」と強調。今後、ワクチン接種推進について、必要とあれば1日100万回接種を実現する体制づくりが重要になるとして、改めての協力を求めた。

 また、10月末が期限とされている診療検査医療機関に対する診療報酬上の特例については、関係省庁と延長に関する折衝を続けていることを明らかにするとともに、医療側としても、その延長のためには、1.診療・検査医療機関の更なる拡充2.かかりつけ患者以外の患者の受け入れ3.休日夜間の対応―が重要になるとの認識を示した。

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