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令和4年(2022年)11月5日(土) / 日医ニュース

関係者と連携を図り「同時期の流行」という難局を乗り越えていく決意を示す

関係者と連携を図り「同時期の流行」という難局を乗り越えていく決意を示す

関係者と連携を図り「同時期の流行」という難局を乗り越えていく決意を示す

 政府の新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォースが10月13、18日と相次いで一部非公開で開催され、今冬の新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時期の流行に備えた対応等について議論が行われた。
 会議に参加した松本吉郎会長は、関係者と連携を図り、難局を乗り越えていく考えを示した。

 新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォースは、今冬、新型コロナウイルス感染症について、今夏を上回る感染拡大が生じる可能性があることに加えて、季節性インフルエンザも流行し、より多数の発熱患者が同時に生じる可能性があることを踏まえ、9月8日に取りまとめられた「Withコロナに向けた政策の考え方」の中に示された「基本的考え方」に則り、限りある医療資源の中でも高齢者・重症化リスクのある人に適切な医療を提供するための保健医療体制の強化・重点化を進めていくため、設置されたものである。
 10月13日に総理官邸で開かれた1回目の会議には、松本会長が現地で、茂松茂人副会長と釜萢敏常任理事がWEBでそれぞれ参加した。
 会議の冒頭あいさつをした岸田文雄内閣総理大臣は、まず、9月にWithコロナに向けた新たな段階への移行の全体像を示したことを踏まえ、同時流行の可能性に対して、先手を打って対策の準備を行う必要性を強調した。
 具体的には、全体像に示された新たな療養の考え方を国民と改めて共有し実行に移すことや、新型コロナワクチンの接種及びオンライン診療を始めとする外来等の保健医療体制の更なる拡充を進めていくことを説明。そのためにも、同タスクフォースの参加団体の連携と協力が不可欠であるとするとともに、「国民の皆様への対策の周知・広報についても、一丸となって進めていきたい」と述べた。
 引き続き、同時流行に関する対応について事務局より説明が行われた後、医療関連団体〔日本医師会の他、日本薬剤師会、日本小児科医会、日本病院会(四病院団体協議会代表)〕、アカデミア、経済団体、地方自治体がそれぞれ意見を述べた。

最も重要となるのは診療・検査医療機関

 松本会長は、まず、「同時期の流行が起きた時、最も重要となるのは診療・検査医療機関である」と強調。診療・検査医療機関については、日本医師会が、これまでも繰り返し都道府県医師会や郡市区医師会に対して、(1)地域を取りまとめて診療・検査医療機関を増やし、また、公表率を100%に近づけること、(2)診療時間外や休日、連休や年末年始での診療体制の強化、(3)陽性と判定した自宅療養患者への診療、(4)かかりつけの患者以外への対応―を要請してきたことを紹介した。
 更に、松本会長は、「各地域の医師会、医療機関にも、懸命にご尽力頂いている」と述べた上で、超高齢社会であることから、重症化リスクのある患者を多数診ている医療機関も多く、自身の診療所では発熱外来ができないケースもあることを説明。そうした事情も踏まえ、同時期の流行への対応として、地域医師会等によるセンター方式が打ち出されたことに感謝の意を示した他、発熱外来への財政支援も重要とした。
 また、これらと併せて、感染者、患者を増やさないためにもコロナワクチン接種の推進や、国民に向けた医療のかかり方及び行動変容に関する広報活動にも日本医師会として取り組んでいく姿勢を示した。
 その上で松本会長は、「国民の生命と健康を守ることが第一であり、患者さんを適時、適切に医療につなげていくため、日本医師会としても、本日ご参集の各団体を始めとした関係者と連携を密にしながら、全力で難局を乗り越えていく」との決意を示した。
 10月18日には2回目のタスクフォースが厚生労働省で開かれ、松本会長、茂松副会長がWEBで参加した。
 当日は、冒頭、厚労省事務局から、(1)感染が落ち着いている、(2)感染者の増加が見られ同時流行(又は新型コロナ/インフルの感染拡大)の兆しが見える、(3)同時流行(又は新型コロナ/インフルの感染拡大)により医療のひっ迫が懸念される―という三つの状況に応じて、リーフレットやSNS、ネット広告、テレビCM等、さまざまな媒体を用いて国民向けの周知・広報を11月から実施していく意向が示された。

同時期の流行下であっても地域の医療機関を受診することが基本

 引き続き、出席団体からそれぞれの取り組みや、今後の広報方針等について意見が述べられた。
 松本会長は、まず、定例記者会見を通じ、早期のワクチン接種推進と基本的な感染防止対策の継続の意義を説明してきたことを報告。同時期の流行に備えた呼び掛けとして、コロナワクチンの効果や、インフルエンザワクチンとの同時接種が可能なこと等を解説した動画を、日本医師会公式YouTubeチャンネルで10月5日より既に公開していることを説明した。
 一方、前回会議で、一定条件を満たせば、電話やオンラインでのインフルエンザ診療と薬の処方が認められるとされたことに対して、単に同時期の流行下の標準的手段とするのではなく、「地域の実情に応じて行われるべき」とし、地域の医療機関を受診することが基本であるとの認識を改めて強調した。
 更に、国民への呼び掛けに当たり、「政府が示した案は、あくまでも同時期の流行により今夏を超える感染拡大が起きた場合の取り組みであるということを国民に理解してもらえるようなPR方法であるべき」と指摘するとともに、日本医師会としては10月14日付で、都道府県及び郡市区医師会に対し、同時期の流行を見据えた発熱外来の一層の拡充を要請したことを報告した。
 最後にあいさつを行った加藤勝信厚労大臣は、同時期の流行に向け、適切なメッセージを国民に発信するとともに、同時期の流行下では重症化リスクの高い方への適切な医療提供が重要になるとして、引き続きの協力を求めた。

第8波、新型コロナ・インフル 同時期の流行に対するご協力のお願い
 常日頃は発熱外来やワクチン接種等、 新型コロナウイルス感染症の患者さんの対応や、他の通常医療の分担にご協力頂き、ありがとうございます。
 今冬は、第8波や、新型コロナウイルス感染症で療養中の患者さんが多数いる状況で季節性インフルエンザが流行する、同時期の流行が懸念されています。会員の先生方には、下記の事項につきまして、引き続きのご協力をお願いいたします。
●診療・検査医療機関により発熱外来を担うとともに、自治体ホームページでの医療機関名の公表
  • 貴院の構造等の理由により時間的・空間的分離が困難、あるいは、がんや人工透析等の重症化リスクを抱える患者さんを感染から守るため、診療・検査医療機関の指定を受けられない場合もあり得ます。そのような場合には、地域医師会等による地域・外来検査センターや地域医師会と行政とで取り決めた医療機関等の発熱外来にご協力下さい。
  • 現在、新型コロナウイルス感染症の患者さんに対応されていなくとも、従前は季節性インフルエンザの患者さんを診療されていた場合には、発熱外来診療体制への参加をご検討下さい。
●他の医療機関との連携の下、診療時間外(準夜帯、土曜日午後等)や休日、連休・年末年始での発熱外来の実施
●貴院で陽性と判定した自宅療養患者さんへの健康観察・診療の実施
●先生をかかりつけ医にされている方以外の感染(疑い)患者さんへの対応

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