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令和5年(2023年)2月15日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース

新型コロナウイルス感染症の現況等について

 松本吉郎会長は2月15日の定例記者会見で、(1)コロナの類型変更と加藤厚生労働大臣との意見交換、全国知事会との意見交換会、(2)マスクの着用―について説明した。

 (1)では、まず、1月27日に政府が、新型コロナを5月8日から感染法上の位置付けにおいて新型インフルエンザ等感染症から外して、5類感染症に類型変更することとした決定について、「5月8日から全てがガラっと変わるわけではなく、段階的にコロナと通常医療の両立を維持できるよう、医療現場でその受け入れの準備等を進めていく」と説明。その前提として、1.現在コロナ医療を行っている医療機関における継続支援2.診療・検査医療機関以外の医療機関での感染対策への支援―を挙げ、日本医師会としても、患者の負担とならず、医療現場の混乱も来さないような対応を政府に要請しているとした。

 次に、類型変更については、今後3カ月程度の準備期間を置いた上で、5月8日からの類型変更後の医療提供体制等への影響を緩和するための期間を設け、必要な準備を進めながら段階的な移行を行うことなどを念頭にした、政府によるロードマップの提示が3月上旬を目途に行われる予定であることを紹介。それに先立ち、1月19日に岸田文雄内閣総理大臣に面会し、段階的な移行によるソフトランディングになるよう、要請したことを改めて紹介した。

 また、2月7日に非公開で行われた加藤厚労大臣と医療関係者との意見交換会において、釜萢常任理事が、特に外来について、約4万2000の診療・検査医療機関の受け入れ能力をしっかり維持できることが重要と主張したことを説明。更に翌日の2月8日には、全国知事会と共に、「それぞれの地域において必要な医療を提供することができるよう、受入病床を急激に減らすことなく、十分な数を確保するため、病床確保料等を始めとした支援を継続すること」などを内容とする共同声明を取りまとめたことを紹介し、「これまでの医療提供体制をできるだけ崩さないよう、しっかりと継続して対応することが大事であると考えている」と述べた。

 (2)では、今後の感染防止策に関する考え方として、マスク着用については、2月10日の「新型インフルエンザ等対策推進会議 基本的対処方針分科会」での審議を踏まえ、政府の「新型コロナウイルス対策本部」において、「令和5年3月13日から、マスク着用は個人の判断が基本」となることが示されたこと及び、医療機関を受診する際、医療機関・高齢者施設などを訪問する際、通勤ラッシュ時といった混雑した電車やバスに乗る際などには、マスクの着用を推奨するなどとした方針が決定されたこと等を説明。

 その上で、日本医師会として、「そもそも疾患がある方が通院・入院される医療機関や、重症化リスクが高い高齢者が暮らす介護施設等については、そこに来院・来所される方、仕事をされるスタッフを含めて、感染のリスクを低くし、安心して過ごせるようにすることが重要と考えている」との考えを示した。医療機関・高齢者施設等においては、感染すると重症化や死亡事例に繋がってしまう点について、感染対策の継続に対する理解を求めるとともに、マスク着用への協力を要請した。

 最後に、松本会長は、「類型が変更になったからといって、引き続きコロナウイルス感染症の感染力は強く、罹患する人によっては深刻な状況を及ぼす可能性があることに変わりはない」と強調。一人一人が感染しやすい状況を避けるための基本的な感染防止対策を継続することや、健康上の懸念などからマスクを着用する方を尊重することの重要性も指摘した。

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 会見に同席した釜萢敏常任理事は、直近の国の審議会等での議論を紹介した上で、そうした場で示された資料などを踏まえると、科学的なエビデンスに基づきマスクの効果や感染対策上の意義は明確であるとの認識を示すとともに、医療現場や高齢者・介護施設の現場においてはマスク着用が引き続き重要になると説明した。

 また、マスク以外の感染症対策についても同様に、医療現場や高齢者・介護施設の現場では行っていく必要があるとした他、医療機関を受診する方等には、その他の場面では個人の判断を尊重するという形になったとしても、他の方にうつさないという観点からマスクの着用をお願いする形になるとの見方を示した。

 更に釜萢常任理事は、新型コロナウイルス感染症について、エンデミックのレベルが高い国と低い国の差が大きいことを説明。わが国においては後者を目指すべきだと強調し、今後も主張を続けていくとするとともに、そのためには、感染症対策の緩和の手順や速度について、段階を踏んで都度様子をチェックしながら慎重に対応していくことが大切とした。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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