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令和5年(2023年)12月20日(水) / 日医ニュース

医療経済実態調査の結果に対して、診療、支払両側から見解が示される

医療経済実態調査の結果に対して、診療、支払両側から見解が示される

医療経済実態調査の結果に対して、診療、支払両側から見解が示される

 中医協総会が12月1日、都内で開催され、11月24日に公表された医療経済実態調査の結果に対して、診療、支払両側から見解が示された。
 24日に報告された医療経済実態調査の結果では、新型コロナに関する診療報酬上の特例や補助金及び掛かり増し費用等の影響を排除した令和3、4年度の損益率は、一般病院はそれぞれマイナス5・6%、マイナス6・8%、一般診療所はそれぞれ6・0%、6・9%。コロナ後の平均をとると、一般病院でマイナス6・4%、一般診療所は5・6%で、コロナ前の平均を下回っていること等が示されていた。

経営状況の厳しさを指摘し、必要な財源確保を求める―長島常任理事

 当日、診療側は診療側委員連名による資料を提出。医科に関する見解については、長島公之常任理事が説明を行った。
 長島常任理事は、まず、コロナ禍における診療報酬上の特例やコロナ補助金は一過性の収益であり、これまでの感染対策経費の増加、追加的人員の確保などの診療体制の整備に活用していることや、全ての医療機関が特例、補助金の対象となっているわけではないことを説明。令和6年度診療報酬改定の議論はこれらの影響を除いて行うことが大前提であると主張した。
 損益率(コロナ関係補助金を除く)については、令和4年度の分布を見てみると、一般病院の7割弱、一般診療所の約3割が赤字であったことに言及。「物価高騰、賃金上昇が続く中、現状、コロナ特例は大幅に縮小されてきている。今後特例が廃止となり、更に収益が下がることがあれば、赤字施設の割合が更に増え、地域の医療提供体制が維持できなくなる。そもそも経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)な診療所では、倒産が相次ぐ恐れがある」として、危機感を示した。
 また、費用については、病院、診療所共に上昇し、特に、物価高騰を反映して水道光熱費の伸びが顕著であるとするとともに、紹介手数料が大きく上昇していることに関しては、医療業界における人材確保の厳しさの現れであると指摘。併せて、メディカルスタッフ(看護職員、看護補助職員、医療技術員)の平均給与に関しては、病院、診療所共に各職種で増加が見られたが、他産業の賃上げが進む中、医療従事者の賃金を引き上げ、サービスを提供する人材を確保していくための原資を確実に担保することは、従業員が他産業へ流出し、人材確保が厳しくなっている折も踏まえれば急務と言えるとした。
 その他、令和4年度の診療所の院長給与についても触れ、平均値、中央値、最頻値それぞれの乖離(かいり)が大きく、分布に偏りがあるが、これらは自由診療の比率が高いと思われる一部の高額のデータが平均値を押し上げていること等が考えられると指摘。「実態を正確に把握するためには、中央値と最頻値を重視するべきである」と述べた。
 その上で、長島常任理事は医科、歯科、薬局を代表して、「今回の実調の結果からも医療機関等は、コロナ前と比較しても厳しい経営を強いられていることが明らかとなった。質の高い医療を継続的に提供し、物価高騰・賃金上昇を支える対応を行うためにも十分な原資が必要である」と強調。その実現のためにも令和6年度の診療報酬改定が担う役割は非常に重要であるとした。
 一方、支払側は松本真人健康保険組合連合会理事が医療経済実態調査の結果に基づいた分析結果を説明。「医療機関等の経営は堅調と言える」とするとともに、経営状況を判断する際には、コロナ関連の補助金等を含めて判断することが妥当と主張した。

医薬品価格の平均乖離率は約6・0%

 当日の総会では、令和5年医薬品価格調査(薬価調査)並びに令和5年度特定保険医療材料価格調査(材料価格本調査)の速報値についても報告がなされた。
 医薬品については、令和5年9月取引分について、販売サイドから11月2日までに報告があったものを集計したもので、平均乖離率は約6・0%となっていた〔前回(令和4年度)の7・0%よりも縮小〕。
 一方、保険材料価格については、令和5年5~9月取引分(ただし、ダイアライザー、フィルム、歯科材料、保険薬局調査分は令和5年9月取引分のみ)について、販売サイドから11月8日までに報告があったものを集計したもので、平均乖離率は約2・5%となっていた〔前回(令和3年度)の3・8%よりも縮小〕。

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