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令和6年(2024年)3月6日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース

令和6年度診療報酬改定について

 松本吉郎会長は3月6日の記者会見で、前日5日に厚生労働省から令和6年度診療報酬改定に関する告示・通知が発出されたことを受けて、本改定に対する考えを改めて示した。

 松本会長はまず、今回の改定について、「医療・介護の就業者約900万人に対して、公定価格の引上げを通じた賃上げの実現や、過去30年間、類を見ない物価高騰への対応、日進月歩する医療を全ての国民に提供するための異次元の改定であったばかりでなく、「急激なインフレ下での診療報酬改定がどうあるべきかという、ターニング・ポイントとなる改定であった」との考えを述べた。

 また、改定率については、当初財務省から1%の引き下げを求められるという厳しい状況の中で、医療界が一体・一丸となって対応した結果、本体プラス0.88%を獲得することができたとした上で、「物価・賃金の動向を踏まえれば、十分に満足できるものとは言えない部分もあるが、多くの皆様のご支援・ご協力に改めて感謝申し上げたい」と謝意を示した。

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 引き続き、長島公之常任理事が、今回の改定のポイントについて解説を行った。

 同常任理事はまず、総論として、「今回改定は賃上げ、物価高騰への対応という極めて大きなテーマに加え、6年に1度のトリプル改定、更には医療DX、働き方改革、コロナ禍を踏まえた医療提供体制や新しい感染症対策など、大きな課題が非常に多く、大変難しい改定であった」と所感を述べた上で、安心・安全で質の高い地域医療を、安定的に継続して提供することが、国民にとって最大の幸福・利益であるという基本姿勢で改定に臨んできたことを説明。

 また、効率化・利便性は重要な視点であるものの、医学的な有効性と必要性、特に安全性が最優先であることを指摘し、「安心、安全で質が高く、すべての国民に対して必要な医療が提供できているという点で、世界に誇るべき日本の皆保険制度は、今後もしっかりと持続させる必要がある」と強調。財政は極めて重要である一方、医療の質や安全性、十分な医療の提供という、公的医療の最大の目的を見失ってはならないとした。

 次に、各論として、(1)医療従事者の賃上げと基本料の増点、(2)医療、介護、障害福祉サービスとのトリプル改定、(3)医療DXの更なる推進―について解説。

 (1)では、賃上げを行うための原資として、プラス0.61%の財源が確保され、初・再診時にベースアップ評価料として加算することで、看護職員のみならず、リハビリ職も含めた、医療関係職種の賃上げに充てられるとするとともに、「他の産業に人材が流出することのないように、できるだけ医療現場の役に立つよう活用することが重要」と述べ、多くの医療機関に届出を行って欲しいとの考えを示した。

 更に、初診料、再診料が増点されたことについては、当初、財政審において初・再診料を中心に引き下げるという主張があった中で、医療界が一体・一丸となって対応した結果であるとの見方を示した他、入院基本料も増点されていることから、若手医師の働き方改革にもつながり、医療現場全体の改善にも役立つものになると説明した。

 (2)では、「今回、コロナ禍の教訓を踏まえて、介護保険施設等における医療提供体制について、より強固な医療機関との連携によって対応するという方向性が示された」とした上で、対面での連携に加えて、地域医療ネットワークなどのICTの活用も評価することにより、医療と介護の情報共有が強化され、地域連携が更に促進されることに期待感を示した。

 また、連携促進の点から、かかりつけ医機能としての地域包括診療料・加算について、ケアマネジャーとの連携などが要件として追加される一方で、加算については3点増点されるとした他、障害者施設における高齢化に伴い、末期癌患者に対して訪問診療できるようになったことも、トリプル改定の意義を活かした対応の1つであるとの見方を示した。

 (3)では、まず、医療現場におけるマイナ保険証の普及に向けた協力に改めて謝意を示した上で、「医療DXは、安心・安全で質の高い医療提供に資するものであり、電子処方箋の導入や電子カルテ共有サービスなどは、その基盤となるオンライン資格確認システムと共に、着実に推進させる必要がある」と述べ、その際には医療現場の負担をなるべく小さくすることが重要と指摘した。

 また、今回新設された、医療DX推進体制整備加算と医療情報取得加算の2つの点数の組み合わせによって、医療DXにかかる負担が一定程度カバーされるとともに、患者が医療DXによる質や安全性が高まった医療を実感することに期待感を示した。

 更に、初診時に8点という評価の医療DX推進体制整備加算について、マイナ保険証の利用実績などが要件となるため、各医療機関において、無理のない範囲で、できるだけ早い時期からの対応することを呼び掛けた他、在宅医療DX情報活用加算も新設されたことにより、マイナ保険証による情報閲覧を用いた計画の立案で、質の高い在宅医療が提供されることに期待感を示した。

 次に、診療報酬改定DXの一環として、今回から施行時期が2カ月間後ろ倒しになったことに言及。医療現場にマイナスの影響が出ないか、今後の状況を注視しながら、必要な対応を行っていくべきとの考えを示すとともに、医療DXは医療機関の負担軽減が大きな目的であることから、改定時期の後ろ倒しによって、直接的な恩恵を受けるベンダが、保守費用やリース料を大幅に引き下げるなど、目に見える形で医療機関の負担を軽減する対応が必須とした。

 加えて、行政を含めた関係者がそうした対応に関する動向をしっかりと注視し、必要な対応を行っていくことを求めた上で、「医療DXは、診療側のみならず、保険者側、国、そして、理解を得た上で国民など関係者全員が協力し、推進していく必要がある」とした。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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