令和7年(2025年)11月20日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース
重度の痙性麻痺に使用される抗痙縮剤ギャバロン髄注の安定供給を求める
宮川政昭常任理事
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日本医師会定例記者会見 10月22日


宮川政昭常任理事は、重度の痙性麻痺に対する希少疾病医薬品であるバクロフェン髄注(商品名:ギャバロン髄注)について、国内では第一三共株式会社が販売しているのみだが、製造委託していたネオクリティケア製薬株式会社が破産手続きを開始したことから、従来から処方している医療機関への安定供給を優先するため、限定出荷を行っている状況であり、今後の安定供給に支障を来す可能性が生じているとして、早急な継続的供給対策を求めた。
同常任理事は、脳脊髄疾患に由来する重度の痙性麻痺に対し、下腹部に小さなポンプを植え込み、脊髄の周り(髄液)へ薬を少量ずつ直接届けるバクロフェン髄注療法について、「こわばり・けいれん・痛みを和らげ、姿勢や動き、睡眠を改善し、着替え・清拭・リハビリなど、日常生活や介護のしやすさを高めて生活の質を上げることを目指すもので、約3000名の重度痙性麻痺患者さんにとって欠くことのできない治療法である」と強調。
加えて、(1)バクロフェン髄注療法は広範な手足のつっぱり(痙縮)に対して効果を示す唯一無二の治療法である、(2)投与を中断してしまうと高熱、精神状態の変化、強いリバウンド症状など重篤な離脱症状が発現する、(3)治療再開後に中断前と同程度の身体レベルまで回復できるか懸念がある―ことを指摘した。
また、日本医学会の一つでもある日本リハビリテーション医学会からも、福岡資麿厚生労働大臣(当時)に対して「ギャバロン髄注の継続的供給に関する要望書」が提出されていることにも触れ、「本剤の欠品は患者さんにとって重大かつ極めて深刻な事態であり、医療現場における大きな混乱が生じることは避けなければならない」として、第一三共に継続的供給対策の早急な構築を求めるとともに、厚労省には、製造先が変更になる場合の迅速な事務手続き処理を要望した。
更に、現場の混乱を避けるため、在庫数の確認など、第一三共や厚労省への問い合わせは控えるよう配慮も求めた。
問い合わせ先
日本医師会医療技術課 TEL:03-3946-2121(代)



