

松本吉郎会長は、10月21日の臨時国会で高市早苗自由民主党総裁が第104代内閣総理大臣に就任したことを受け、翌22日の定例記者会見で医療機関の窮状に理解を得られているとして新政権へ期待を寄せた。
同会長は、まず高市総理へ祝意を示すとともに、「女性初の自民党総裁かつ日本初の女性首相であり、今回の就任は憲政史上極めて大きな出来事と言える。わが国で最も分厚いと思われていたガラスの天井の一つを打破するという偉業を達成した人物として、歴史に名を残すことになる」と述べた。
また、高市総理が自民党総裁選における愛知県での演説会の中で、地域の医療機関の窮状に理解を示した上で、「過去2年分の人件費や物価高を反映して、早めに改定する」と述べ、秋の臨時国会で補正予算を組み、診療報酬を引き上げる考えを示したことに言及。
21日に行われた就任後初の記者会見でも、医療機関の7割が大きな赤字を抱えていること等を指摘した上で、「私たちの安心・安全に関わる大切なインフラが失われるかも知れない」と述べ、経済対策最優先で取り組む方針を示した他、診療報酬と介護報酬について、改定時期を待たずに経営改善や従事者の処遇改善につながる補助金を前倒しして措置する考えも明らかにするなど、医療や社会保障の重要性に理解のある発言がなされているとして、「このことからも現状認識や危機感ともに共有できていることがはっきりと分かり、大変心強い思いである」とした。
更に、今回の極めて政治状況が難しい中での連立政権に関する動きにも触れ、「迅速な判断力と非常に強い行動力をおもちになった人物であることは間違いない」と強調。「現在の医療機関等の窮状を理解した上で、スピード感をもった対応で医療をしっかりと支えて頂ける新首相であると確信している」との考えを示した。
一方、首班指名に先立ち20日に公表された、自由民主党と日本維新の会の連立政権合意書に関しては、「非常に厳しい項目が並んでおり、特に患者さんにとっては負担が増すつらいものになっている。早いものではすぐにでも具体的な検討が行われていくことになるかも知れないが、しっかりと注視しながら、適切なタイミングで時機を失することのないよう意見を述べていく」との姿勢を示した。
また、新内閣については、「厚生労働大臣には、上野賢一郎衆議院議員が就任されたが、自民党副幹事長や衆議院内閣委員長等の要職を歴任され、衆議院厚生労働委員会の筆頭理事を務めるなど、社会保障へのご理解が非常に深い」と評価。
内閣府の全世代型社会保障改革担当、賃上げ環境整備担当の大臣となった城内実衆議院議員については、「賃上げは医療機関にとっても喫緊の課題である。公定価格で運営されている医療機関等において賃上げが可能となる環境を整えることが不可欠であり、実現に向けた行動力に期待したい」と述べるとともに、今後、今まで苦しんできた医療機関に対して速やかに財政支援等が行われるよう、高市総理を始め、上野厚労大臣、城内全世代型社会保障改革担当大臣、医師である松本尚デジタル大臣などと連携を深めながら活動していくとした。
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