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令和8年(2026年)1月5日(月) / 日医ニュース

予防接種事務のデジタル化後も紙の予診票で対応可能であることを確認

予防接種事務のデジタル化後も紙の予診票で対応可能であることを確認

予防接種事務のデジタル化後も紙の予診票で対応可能であることを確認

 令和7年度都道府県医師会予防接種担当理事連絡協議会が昨年12月1日、WEB会議で開催された。今年6月に施行される予防接種事務のデジタル化について、厚生労働省より、紙の予診票での接種・請求が可能な仕組みを保ったままデジタル化を進めていくことが説明された。
 笹本洋一常任理事の司会で開会。冒頭のあいさつで松本吉郎会長は、デジタル化は時代の流れであるとする一方、予防接種の事務手続きが煩雑になることで国民が接種を控えたり、医療機関の実施継続が困難になったりしては本末転倒だとして、現場の負担にならない形で医師会が適切に関わっていける仕組みとなるよう国に働き掛けてきたことを強調。その仕組みが整ってきたことから、本連絡協議会の開催に至ったことを説明した。
 議事では、まず、前田彰久厚労省健康・生活衛生局感染症対策部予防接種課長が、予防接種事務のデジタル化について、性急に進めることなく、本年6月から令和10年4月に掛けて段階的に導入する準備を進めていることを概説。ただし、自治体のデジタル化移行後も、従来の紙の予診票による接種・請求ができ、デジタル予診票を紙に打ち出して利用することも可能であるとした。
 続いて、倉吉紘子同課予防接種対策推進官が、予防接種事務のデジタル化の内容について、住民がマイナポータル上で入力した予診票(デジタル予診票)を医療機関内のタブレットやパソコンなどの端末で確認して予防接種を行い、医療機関が端末に接種記録の入力を行うことで、そのままオンラインで費用請求することができる仕組みであることを説明。デジタル化により、(1)自治体・医師会等協力団体・医療機関の業務効率化、(2)住民の利便性向上、(3)データ利活用によるワクチンの有効性・安全性の向上―が期待できるとし、令和8年度から開始する予定となっている23自治体の円滑な実施に向けて協力を求めた。
 また、医療機関には、タブレットまたはパソコンを用いる「医療機関アプリ」と、電子カルテ端末やレセコン端末等を用いる「予防接種サイト」のどちらかを選択してもらい、医療機関アプリではインターネット、予防接種サイトではオンライン請求(オンライン資格確認)ネットワークを使用することを解説。人口の少ない自治体の医療機関や予防接種の機会の少ない医療機関では、予防接種サイトを利用するなど、接種対象者数や医療機関の体制に合わせて選べるとした。
 その上で、「全てをデジタルに移行するには一定の時間を要すると考えている。地域の実情に応じて、従来どおり、紙の予診票を医師会や自治体に送付することも可能なので、自治体に相談頂きたい」と改めて述べた。
 また、デジタル予診票を紙に出力する場合は、接種完了後に予防接種サイトから接種記録の登録が必要となるが、その入力が難しい医療機関においては、出力した紙の予診票を医師会に送付し、入力を委託することもできるようシステムを開発中であるとした。
 一方、被接種者には、マイナポータルからスマートフォンへ勧奨通知が届き、ログインして予診票に入力するとともに、医療機関の受付でマイナンバーカードと顔認証付きカードリーダー等による本人確認を経て接種する流れであることを紹介。更に接種記録をデジタルで登録した場合は、システム内で窓口支払額が自動計算されるとした。
 その後の質疑応答では、事前に都道府県医師会から寄せられていた質問の他、WEBで寄せられた質問や懸念に厚労省が回答。その中では、「紙とデジタルの併存により医療機関の事務負担の増大が懸念される」「メールによる接種勧奨ではリマインド効果が弱く、接種率が低下してしまうのではないか」「セキュリティ面についても十分な整備が必要である」「医療機関の規模も考慮しつつ、新たな機器の購入費用を補助して欲しい」「定期接種だけではなく、任意接種の記録も保存していくことが重要である」などの意見が出され、厚労省は現場に混乱が起きないよう鋭意検討し、詳細が整理でき次第、改めて説明する姿勢を示した。
 総括を行った福田稠副会長は、紙と電子が混在することで医療機関の作業負担が増加する懸念があるとして、「今後も十分な準備を行った上で実施に移していくことが重要だ」と述べた。

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