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令和8年(2026年)6月5日(金) / 日医ニュース

黄川田特命担当大臣に安心してこどもを産み育てることのできる社会の実現に向けた取り組みの推進を要望

黄川田特命担当大臣に安心してこどもを産み育てることのできる社会の実現に向けた取り組みの推進を要望

黄川田特命担当大臣に安心してこどもを産み育てることのできる社会の実現に向けた取り組みの推進を要望

 松本吉郎会長は5月18日、福田稠副会長と共に黄川田仁志内閣府特命担当大臣(少子化対策、地方創生)を訪ね、安心してこどもを産み育てることのできる社会の実現に向けた取り組みの推進を求める要望書を手交した。

 今回の要望書では、令和8年4月に日本医師会の母子保健検討委員会が取りまとめた答申「出産から育児までの健康管理(産後ケアと乳幼児健診の在り方)」を踏まえ、(1)妊娠から出産後に至る母体の心と体の健康、(2)乳幼児健診の充実―について要望している。
 (1)では、妊産婦健診から産後ケア支援事業に関して、産後うつや児童虐待、精神疾患合併妊娠への対応など、一定の成果を上げているものの、産後ケア事業の対象内容や給付が十分ではない上、母子は産後1カ月を過ぎると小児科を受診することになり、一般的な産科におけるフォローが無くなることを指摘。妊産婦支援事業における地域の関係者の連携体制構築並びに育児支援のため、産婦人科医と小児科医が産婦を心身両面から支える産後ケア事業などの充実と、補助金の対象内容拡大や増額を求めている。
 (2)では、妊娠から子育て期に係る切れ目のない支援を行うためには、産科から小児科、そして行政へと情報を確実に橋渡しする仕組みの定着が強く求められるとするとともに、乳幼児健診では一貫した記録の管理が行われていないことを踏まえて、全ての子どもが毎年1回以上の健診を受けられることや、産婦人科・小児科間の情報連携のための記録の一括保管・管理の実現を要請している。
 まず福田副会長は、日本の新生児死亡率や乳児死亡率、母体死亡率は低い一方、母親による児童虐待や、妊産婦の自殺が病死よりも多いこと等が問題になっていると説明。さらに、子育てに困難を抱える「特定妊婦」を支援するために産後ケアが始まったことを紹介した。
 乳幼児健診については、1歳6カ月と3歳の2回のみが法定化されているとした上で、「子どもの体の成長だけではなく、母親や家庭環境を見る機会でもある」と強調。全ての子どもが毎年1回以上の健診を受けられるよう、引き続きの支援を求めた。
 黄川田大臣は乳幼児健診について、市町村が地方財政措置に基づき1歳6カ月児と3歳児に対して行っている他、補助事業で1カ月児と5歳児の健診を実施していることを説明。「医師会の要望等も踏まえ、適切な健診時期を検討しながら取り組んでいる」と述べた。
 また、「産前・産後ケア事業も重要」だとして、健診以外の形で母子の相談に乗る取り組みを進めていることにも触れた。
 その上で、日本医師会の要望に対して「同じ問題意識を共有している」と語り、今後検討していきたいと応じた。
 さらに福田副会長は、「産後ケアは緒に就いたばかりで整備が十分でない上、現状の市町村単位での実施は使い勝手が悪い」と指摘。県単位や市町村を超えた取り組みへの理解を求めた。また、「5歳児健診は就学前の大切な健診である」とし、健診を実施する小児科医の減少について、熊本県の事例に触れた上で、「地方の小児科は少子化で経営難に陥っている」と訴えた。
 松本会長は「マタニティーブルーの問題は深刻である」として、日本は諸外国と比べて妊産婦の自殺が多いことを指摘。「産科と精神科の連携が重要」とした他、妊産婦と乳幼児の健診を一層充実させたいと話した。
 その他、黄川田大臣は「子どもの自殺対策に力を入れたい」と述べるとともに、「自殺対策基本法に基づいて設置される協議会で中心的役割を担うのは医師会である」として、協力を要請。また、日本の子どもの自死が病死より多い現状はG7の中でも突出していると指摘し、問題意識をあらわにした。
 これを受けて松本会長は、「子どもの自殺だけでなく、いじめや不登校も喫緊の課題だ」として、その対応を求めた。

医師会などを通じた産科、小児科の連携体制の構築等を提言―母子保健検討委員会

 今回の要望書の基となった母子保健検討委員会の答申は、松本会長からの諮問「出産から育児までの健康管理(産後ケアと乳幼児健診の在り方)」に対して、委員会の下に二つのワーキンググループ(産後ケアワーキンググループ、乳幼児健診ワーキンググループ)を設けて検討した結果を取りまとめたものとなっている。
 その内容は「はじめに」「Ⅰ妊産婦の心と体の健康 妊産婦健診から産後ケアまで」「Ⅱ妊産婦から乳幼児までの切れ目ない母子の健康管理体制」「おわりに」で構成されている。
 Ⅰでは、産後うつ等の精神疾患に伴う妊産婦の自殺や、児童虐待が深刻な社会課題となっていること、これを受け、産婦健診にメンタルヘルス評価が導入されていることなどに言及。妊産婦健診については母子の孤立を防ぎ、地域社会全体で安全を担保するための重要な起点であること、そして産科から小児科、さらには行政へと情報を確実に橋渡しする仕組みの定着が強く求められるとしている。
 産後ケアでの支援の在り方に関しては、山梨県・兵庫県における産後ケア事業を紹介するとともに、課題として、「施設数や助産師等の専門人材の不足」「事務・情報共有のDX化の推進」などを挙げている。
 産後ケア事業における産科と小児科の連携については、妊娠から子育て期に係る切れ目のない支援を行うために、日ごろから地域の医師会などを通じた連携体制を構築することが必要であると指摘している。
 Ⅱでは、産婦人科から小児科への情報の連携の在り方として、小児科医による出生前保健指導事業(プレネイタル・ビジット)を一つの方法として挙げ、医師の本来業務の多忙さや個人情報管理の難しさ、母親から得られる情報や母子健康手帳記載の限界があるとし、多職種間の関係性の構築は地域の事情に合わせるべきだとしている。
 また、5歳児健診の今後の方向性に関しては、乳幼児健診は小児保健の根幹であり、医療、保健、教育、福祉が連携することで地域の子育て力の向上が期待されるとしている。

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