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令和8年(2026年)7月20日(月) / 日医ニュース

会長あいさつ

会長あいさつ

会長あいさつ

1.はじめに

260705_20b2.jpg 本日は、第163回日本医師会臨時代議員会にご出席いただき、誠にありがとうございます。
 昨日開催の定例代議員会におきましては、3期目となります日本医師会会長職に選任・選定いただきました。今回全てのブロック医師会からご推薦いただいたことに心より感謝申し上げます。また、26年ぶりに全ての役職が定数内の立候補となりました。私のみならず執行部全体への信頼の表れだと考えており、その信頼に応えるべく執行部一丸となって会務に当たってまいります。
 また、日頃より日本医師会の会務運営に特段のご理解とご支援をいただいておりますことに対し、この場をお借りいたしまして、重ねて御礼申し上げます。
 本日は議題として、「令和9年度日本医師会会費賦課徴収の件」を上程しております。代議員の先生方におかれましては、慎重にご審議いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

2.組織強化の更なる取り組みと関係団体との連携強化

 組織強化の取り組みを継続してきた結果、全体の会員数は過去最高となる一方で、高齢化等により、A①会員の割合は減少傾向にあります。日本医師会、都道府県医師会、郡市区等医師会が一体となって、医師会員であることが実感できる取り組みを、積極的に進めてまいります。
 医師会活動においては、情報共有、相互理解、コミュニケーションが重要であり、引き続き地域医師会と緊密な連携を維持・強化してまいります。また、四師会や、四病院団体協議会、全国医学部長病院長会議、全国有床診療所協議会を始めとした医療関係団体、全国知事会等とも力を合わせて、医療を取り巻く難局に立ち向かう覚悟です。
 さらに、昨日の理事会において、今期より、国立大学協会と、日本私立医科大学協会からご推薦いただいたお二人を新たに参与にお迎えすることとし、大学との連携を一層強化して課題に取り組んでまいります。
 また、政治とは、特に普段からのコミュニケーションを大事にしており、これまで築き上げてきた「顔の見える関係」を更に発展させてまいります。

3.国民皆保険制度の堅持

 今後、社会保障を取り巻く環境はますます厳しくなるものと予想されますが、必要かつ適切な医療は保険診療により確保しなければなりません。これまで、「税金による公助」「保険料による共助」「患者さんの自己負担による自助」の三つのバランスを取りながら進め、特に自己負担のみを上げないこと、併せて、低所得者等への配慮が極めて重要であることを強調してまいりました。引き続き、国民の目線に立って主張してまいります。
 物価高騰や賃金上昇も喫緊の課題であり、診療報酬のみならず、補助金や税制措置など、あらゆる選択肢を含め、今後も医療政策の提言と実現を図ってまいります。
 また、医療界や国民の不安を招いている医薬品等の安定供給に関する課題解決に向けて、確実に取り組んでまいります。

4.広報戦略の充実

 医療環境の向上のためには、会員各位のみならず国民の理解が欠かせません。また、国民の支持が得られてこそ、より良い医療提供体制が維持・改善でき、国民皆保険制度の堅持がより現実的なものになります。
 「国民の生命と健康を守る使命」を果たすため、より一層国民の理解と協働を得ることができるよう、「国民と共に歩む、信頼される医師会」を目指してまいります。
 そのため、会内並びに会外に向けた実効性のある広報戦略を拡充させるとともに、国の検討会や記者会見等、あらゆる機会や手段を活用して、機を逸せず本会の提言を主張できるよう、広報活動を活性化してまいります。

5.中長期的な展望への対応

 将来の方向性を意識しつつ、足元の重要課題を一つ一つ丁寧に根気よく解決してこそ、将来へとつながり、展望が更に開けてまいります。地域医療や産業保健、学校保健等の地域保健・公衆衛生活動におけるかかりつけ医機能の推進や、医療DX、専門医制度、災害対策におけるJMAT機能の強化など、目の前には喫緊の課題が山積しております。
 地域の実情をよく知る都道府県医師会役員を中心とした会内委員会こそが、まさに日本医師会のシンクタンクです。日本医師会には約50の会内委員会があり、社会保険診療や地域医療構想の在り方などについて、地域の実情を踏まえた課題や提言に関する真摯(しんし)な議論を行っていただいています。委員会の中には、短期的な視点としての実務委員会や、中長期的な将来の検討を行う委員会があり、それぞれ成果を発揮しています。地域から挙げられた情報を踏まえ、将来に向けた分析・検討をいくつかの会内委員会に諮問し、中長期的な方向性を取りまとめていただきたいと考えております。
 一方、3月の代議員会の質疑でもご説明いたしましたが、日医総研におきましても、社会保障を始めとした医療の将来に向けた検討を鋭意行っており、大きな方向性を示せるよう、進めていきたいと考えております。
 会内委員会での議論、そしてまた日医総研の検討等をフル活用し、2040年以降における医療環境の変化を見据え、幅広く議論しながら、将来に向けて着実に医療政策を推進してまいります。

6.医療法等の施行

 医療法等の一部を改正する法律が令和7年12月に公布され、本年4月からその一部が施行されております。法改正は、新たな地域医療構想、医師偏在対策、医療DX等の将来の地域における医療提供体制に向けたものです。
 日本医師会は、医療法等の改正を見据え、議論に先立ち、日本医師会案として「医師偏在に対する日本医師会の考え方」を令和6年8月に提言いたしました。併せて、美容医療等の自由診療についても、必要な規制を主張しました。それらを踏まえて、厚生労働省からは「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」が示されましたが、都道府県医師会、郡市区等医師会が行政や大学等と連携して対策を推進する仕組みとされるなど、多くの日本医師会の主張が反映されたものとなっております。
 オンライン診療については、安易な拡大ではなく、医療へのアクセスが困難な患者さんのための公益的なオンライン診療を提案し、四師会、自治医大、日本郵便等と連携しています。
 医療DXについては、国民と現場の不安を払拭(ふっしょく)しながら、混乱と支障がないように丁寧に進めるべきと主張してまいりました。今後も変わることはありません。
 新たな地域医療構想は、医療と介護の連携を重視し、「地域医療介護構想」を提唱するものです。その際には、構想区域単位、都道府県単位の協議がますます重要となってまいります。
 日本医師会といたしましては、良質かつ適切な医療提供体制の構築には、法改正だけでなく、医師の広域マッチングなどの新たな事業や、その財政的な支援が重要であると考えており、各地の実情に応じた取り組みがなされるよう、引き続き制度の運用に関わってまいります。

7.健康保険法等の改正

 健康保険法等の一部を改正する法律が本年5月29日に成立しました。
 平成16年の大臣合意により、「必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保する」とされており、これが公的保険の考え方です。財務省等を中心とする、「大きなリスクは共助中心、小さなリスクは自助中心」という民間保険の考え方が一部にはございますが、やはり必要かつ適切な医療は公的保険により確保されなければなりません。
 医療費の財源は、「税金・保険料・自己負担」の三つであり、このバランスを考え、病に苦しむ患者さんの自己負担のみを上げないことや、低所得者等に配慮することが不可欠です。バランス点はどこにあるのかという、まさに負担と給付の議論において、現時点での一定の決着が図られたものが、今回の法律です。
 OTC類似薬の保険給付見直しについては、子ども、がん患者や難病患者、低所得者、入院患者、医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える患者さんなどへの配慮が必要であり、今後もそれらの点を強力に主張してまいります。
 妊娠・出産に対する支援の強化については、具体的な給付水準に関して、法改正を踏まえ、今後議論が本格化すると思いますが、十分な財源を確保する必要があると考えています。

8.将来の日本医師会館についての中長期的な検討

 日本医師会は、平成2年2月にこの駒込に移転いたしました。旧会館は当時の写真等を見ますと非常にしゃれた建物だったと思います。代議員の先生方の中には実際に行かれた方もおられるかもしれません。
 現在の日本医師会館はその移転の際に新築されたもので、約36年が経過しており、修繕費・維持費が掛かっております。これらの費用は年月の経過に伴い、更に増加する見込みです。また、建替や改修に備えた積立を行っておりますが、長く続いたデフレから脱却し、インフレへと転じた状況にあることから、将来に向けての懸念もございます。
 まだ先の話にはなりますが、将来の日本医師会館についての中長期的な検討は今から進めていかなければなりません。新執行部において検討を始めていきたいと考えております。

9.おわりに

 令和7年度補正予算は、厚労省予算で医療・介護合わせて約1・4兆円、医療だけで1兆円超の大規模な補正となりました。
 そして、それを「発射台」とした令和8年度診療報酬改定では、本体プラス3・09%と約30年ぶりに3%を超えたプラス改定を実現いたしました。
 また、医療法及び健康保険法の改正に関する国会審議においては、いずれも参考人として日本医師会の意見を主張いたしております。
 繰り返しになりますが、特に医師偏在対策については、令和6年8月に公表した「医師偏在に対する日本医師会の考え方」が法改正につながっています。
 これらは執行部が中心となり、全医師会が一丸となって「攻めた」結果に他なりません。
 今後も全国の医師会から寄せられるご意見をお聞きしながら、攻めるところは攻め、守るところは守るなど、攻守共にバランスの取れた執行部を目指し、引き続き攻防一体となった活動をしてまいります。
 結びに当たり、本会の新たな執行部に対し、皆様からの絶大なるご支援を賜りますよう切にお願い申し上げまして、私からのあいさつとさせていただきます。今後の2年間もどうぞよろしくお願いいたします。

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