令和8年(2026年)9月20日(日) / 日医ニュース
医療機関に法令上の義務はなく、接種記録の登録のデジタル化に可能であれば協力するとの認識を共有
予防接種事務のデジタル化に係る説明会
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予防接種事務のデジタル化に係る説明会が8月25日にWEB形式で開催され、(1)予防接種事務のデジタル化に対する法令上の義務は医療機関にない、(2)接種記録の登録のデジタル化について、医療機関は可能であれば協力する立場である―といった認識を共有した。
説明会は、笹本洋一常任理事の司会で開会。冒頭あいさつした松本吉郎会長は、今年6月に改正予防接種法が施行されたことを踏まえ、一部の自治体では予防接種事務のデジタル化が開始されていることに言及。今年度、来年度は実証的な運用が行われ、大半の自治体は令和10年度からデジタル化を行う予定である一方で、医療機関では事務負担の増加などが懸念されている点を指摘した。
その上で、「事務手続きが煩雑(はんざつ)になり、接種を受ける方や医療機関に負担が生じ、予防接種を受けるべき方々が接種を控えてしまう、あるいは医療機関が予防接種の実施を継続することが困難になってしまうことは絶対に避けなければならない」と強調。地域の予防接種体制が安定的に継続されるためには、医療機関や医師会の協力が不可欠だとした。
日本医師会としては、現場の負担にならないと同時に、医師会が適切に関わっていく仕組みとなるよう、繰り返し国に働き掛けてきたとした上で、「これを受けて法令の建て付けが明確化され、デジタル化の方針の再整理が行われたため、説明会を開催することとなった」と説明した。
続いて、笹本常任理事が今回の説明会の趣旨を説明。今回のデジタル化で法令上の義務が生じるのは国と自治体であり、医療機関に義務は生じない点に言及。一方で、医療機関もデジタル化が義務になるとの誤解が一部で広がっているとし、自治体で正しい認識を持つことの重要性を指摘するとともに、医療機関や医師会においても留意するよう求めた。
さらに、国におけるデジタル化の方針の再整理を巡っては、紙予診票による事務は変更せず、接種記録の登録の事務のみデジタル化することが基本となったとした上で、「医療機関は可能であればデジタル化に協力する立場にあり、登録義務はないが、自治体からの依頼があった場合には可能な範囲で協力を検討してほしい」と呼び掛けた。
その後は、前田彰久厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部予防接種課長らが、予防接種事務のデジタル化に係る法令の建て付けや、デジタル化の方針の再整理について解説した。
質疑応答では、長島公之常任理事が日本医師会としての意見を改めて表明。医療機関はデジタル化に可能であれば協力するという点の解釈について、「可能性がなければ協力できないので、予防接種のデジタル化を一切しなくても、今までどおりに医療機関が予防接種を続けられることが最も重要なポイントだ」と指摘した。
最後に総括を行った池端幸彦副会長は、デジタル化された場合でも、地域の予防接種体制が安定的に継続できることが重要との認識を示した上で、「その際には、地域医師会が予防接種で果たしている調整、情報共有、支援といった様々な役割もしっかりと認識してもらい、評価していく必要がある」と指摘。
日本医師会としては、今回の説明会での議論を踏まえ、引き続き現場に混乱を来さないよう国との折衝に努めていく姿勢を強調した。



