令和8年(2026年)10月5日(月) / 日医ニュース
若手指導医が専門分野で学び直した内容を発表し競い合う
令和8年度シンポジウム「未来ビジョン“若手医師の挑戦”の地方版を京都で初開催」
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| 令和8年度シンポジウム「未来ビジョン"若手医師の挑戦" in KYOTO」が8月29日、京都府医師会館で開催された。 当日は7名の若手指導医がそれぞれの専門分野で学び直した内容を発表し競い合う「Re-1グランプリ」など、京都発の若手医師の取り組みを会場やWEBによる参加者400名以上が見守った。 |
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日本医師会では、若手医師たちの取り組みにスポットを当て、医療の未来ビジョンについて考えることを趣旨として、令和5年度より毎年本シンポジウムを開催しているが、今回のシンポジウムは初の試みとなる地方版として行われた。
当日は笹本洋一常任理事の司会で開会。冒頭のあいさつで松本吉郎会長は、「地域によって抱える課題や実情が異なる中で、各地域における若手医師の取り組みが、地域医療の更なる発展に資する原動力になると考えた」と地方での開催とした理由を説明。その上で、「本日のシンポジウムを通じて、若手医師の先生方の熱意や志に触れながら、地域医療の未来について考える有意義な機会にしていただきたい」とその成果に期待を寄せた。
続いてあいさつした松井道宣京都府医師会長は「若手医師の先生方に企画から実行まで全て任せており、今回のシンポジウムは若手医師のみならず、京都府医師会の挑戦でもある」と強調した。
第1部 講演
第1部「京都府医師会における若手支援に向けた取り組み紹介」では、大阿久達郎京丹後市立弥栄病院内科部長/京都府医師会屋根瓦ワーキングチームが「普通の内科医、地域医療に沼る」と題して講演を行った。
大阿久内科部長は、地方の総合病院で働くに至った経緯や地域医療の魅力などを語るとともに、自身も参加した勉強会「臨床研修屋根瓦塾KYOTO」について紹介。
医局や病院の垣根を越えて行われる本勉強会は「特定の施設に偏らない医師会だからこそ成り立つ場だ」と述べるとともに、教わる側も教える側も勉強になる他、研修医として学んだ側が指導医として教える側に回るサイクルもできていると説明。その上で、「こうした取り組みに関わる中で、医師会という組織が一気に身近になった」と話した。
第2部「Re-1グランプリKYOTO」
第2部「Re-1グランプリKYOTO~京都府が誇るエース指導医がここにきて○○について学び直してみた~」では、松原慎京都府立医科大学総合医療・地域医療学講師と松村うつき京都府立医科大学京都府小児地域医療学講座助教を司会とした「Re-1グランプリ」が行われた。
本イベントは若手指導医が「学び直し」をテーマに7分間でレクチャーを行うという、京都府医師会が独自に毎年行っている取り組みである。当日は7名の指導医がそれぞれ発表を行い、その成果を競い合った。
杉本健医師(京都田辺中央病院循環器内科)は心不全患者について「運動をした方が良いが、FITT―VP(頻度、強度、時間、種類、運動量、漸増)に準じた運動を処方する必要がある」と説明。その際には患者本人の好みも踏まえた処方が大事になるとした。
一方、心不全の栄養療法については、減塩で患者のQOLは若干改善するものの、心血管疾患のリスク低下などに関して有意差は無いと指摘。さらに、減塩すると食事量が減り、ひいてはフレイルに陥るリスクがあることを指摘した。
山本健人医師(京都大学医学部附属病院消化管外科)は人体について、「生存に必須の構造は共通しているが、生存に影響を与えない範囲では遊びがある」と説明。また、ロボットの利用によって横行結腸に向かう動脈の位置関係に関する誤解が解けたことや、右側結腸がん手術の出血を抑える手技の発見・普及につながったことなどにも触れ、「モダリティの進歩によって、人は人体の真理に近付きつつある」と語った。
稲葉哲士医師(市立福知山市民病院総合内科)は成人用肺炎球菌ワクチンについて、血清型のカバー率や接種費用を踏まえると、定期接種では「プレベナー20」を、追加接種や任意接種では「キャップバックス」をそれぞれ使用することが望ましいと指摘。
さらに、肺炎球菌ワクチンの多価化が進んでいることにも触れ、「今後も常に学び続ける必要がある」と話した。
小椋史織医師(京都第二赤十字病院脳神経内科)は脳梗塞(こうそく)に関して、発症から4・5時間以内のtPAの投与は非常に有効な治療法だとした上で、発症時刻が不明でも、脳の組織の状態を評価することで、治療につなげられるようになっていることや、MRIやCTを用いたtPA療法や血栓回収療法などについても概説。他方、「どれだけ優れた治療法があっても、一人では脳梗塞の患者を救えない」として、医療従事者などのチームワークの必要性を強調するとともに、「Time・Tissue・Teamの"3T is Brain"をぜひ覚えてほしい」と呼び掛けた。
武部弘太郎医師(京都府立医科大学救急医療学)は呼吸困難について、「司令」「換気」「ガス交換」のどこで障害が生じているのかを考えて鑑別し、治療を進める必要があると説明。さらに、自身が経験した症例を踏まえ、「診療に当たっては、病態を考えて動くことが大切になる」と強調した。
渡辺杏里医師(京都府立医科大学精神機能病態学)は自身が眠れない場合に服用するであろう薬を、「単に眠れない」「不安で眠れない」「趣味も楽しめない上に眠れない」といったケースごとに説明。その上で、「患者に処方する際も同様に患者の立場を踏まえつつ、『薬の処方が本当に必要か』『睡眠衛生指導を行う余地は無いか』といった視点をもつことが大事になる」と語った。
加藤果林医師(京都大学医学部附属病院医療安全管理部)は医療安全について、医療法の改正により本年4月から体制強化が図られたとした上で、「医療安全はプロとして生きる医療者全員の共通言語。全診療科の専門医にとっても必須の共通科目となっている」とした。
また、医療現場では"To Err is Human"(人は誰でも間違える)という考え方が大前提としてあるが、医療安全を支える「Safety-I」(失敗を防ぐ考え方)と「Safety-II」(成功を最大化する考え方)という二つの概念はいずれも不可欠だと強調。その上で、「個人を責める精神論を捨て、エラーを前提に、命を守るシステムを皆で設計する。それこそが医療安全学の神髄だ」と語った。
7名の発表終了後には参加者によるオンライン投票が行われ、「Re:Education Award 日医」(優勝)に小椋医師が、「Re:Education Award 京都」(準優勝)に加藤医師がそれぞれ選ばれた。
池端副会長は「本日のような取り組みを全国にも広げ、若手医師の皆さんの情熱を全国に伝えていきたい」と総括。松井京都府医会長は「若手の医師の皆さんも指導医になれるよう学び、その学んだことを指導医として若手の医師に伝えていく。そうした積み重ねがこれからの京都の医療、日本の医療のためにもなる」と語り、本シンポジウムは終了となった。
当日のシンポジウムの模様は日本医師会公式YouTubeチャンネルで4本に分けて掲載しています。ぜひ、ご覧ください。![]() フルバージョン https://youtu.be/lEYR8W-sTcI |




