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平成28年(2016年)12月20日(火) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

医学研究等における倫理指針の見直しの方向性を評価

 「医学研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議」(以下、合同会議)における議論において、平成29年の改正個人情報保護法の施行に向けた医学研究等における倫理指針の見直しの方向性が固まってきたことを受けて、横倉義武会長は11月30日、髙久史麿日本医学会長、合同会議の委員でもある石川広己常任理事と共に記者会見を行い、その方向性を評価する旨の日医・日本医学会共同の見解を公表した。
 改正された個人情報保護法においては、「個人識別符号」「要配慮個人情報」の概念が導入され、病歴を含む個人情報は取り扱いに特に配慮を要する「要配慮個人情報」と位置づけられた。これらのことを踏まえて合同会議では医学研究等における倫理指針についても見直しの議論が開始されたが、議論の中では取り扱いの不透明感が否めないとして、医学研究の現場からは強い懸念が示されていた。
 石川常任理事は、合同会議の議論において、今般の改正個人情報保護法の趣旨に基づいた上で、これらの懸念に関してその配慮を求めるとともに、国民(患者)が安心して医療を受けることができ、かつ患者の個人情報が漏えいすることなく、医学研究に安全に利活用できるようになることを強く求めていた。
 今回公表した共同の見解(全文は日医ホームページ参照)では、それらの主張が受け入れられ、「医療・医学の進歩に向けた学問分野での研究が滞ることなく、その研究成果が国民の健康及び福祉の発展に寄与することを改正個人情報保護法が妨げない」旨の方向性が示されたことを高く評価した上で、個人情報保護法改正に伴う倫理指針の見直しに関する議論は、これで全てが解決するというものではなく、時代の進展に従ってさまざまな対応が求められると指摘。更に、医師の倫理に基づく学問研究の環境整備に対しては、国民(患者)に向けた更なる医療・医学の進歩に直結することから、今回のような議論は大変重要であるとして、今後も継続的に議論を行う場を設けることを求めるものとなっている。
 記者会見では、石川常任理事が今回の見解の全文を朗読。
 横倉会長は、これまでの経緯を説明した上で、今回の方向性が打ち出されたことを評価するとともに、「今後も、国民の個人情報を守る立場を堅持し、日本の医学研究の発展を促していくことを肝に銘じて対応していく」との意向を示した。
 また、髙久医学会長は、「個人情報を守りながら医学研究を進めていくことについて、現在の方向は間違いないと考えている。個人情報保護の問題は変化していくことから、適宜改正をしていかなくてはならない」と述べた。

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