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令和元年(2019年)9月20日(金) / 日医ニュース

「健康なまち・職場づくり宣言2020」達成に向けた更なる促進を目指して

「健康なまち・職場づくり宣言2020」達成に向けた更なる促進を目指して

「健康なまち・職場づくり宣言2020」達成に向けた更なる促進を目指して

 「日本健康会議2019」が8月23日、都内で開催された。
 会議は、共同代表の三村明夫日本商工会議所会頭のあいさつで開会。来賓あいさつでは、根本匠厚生労働大臣(当時)が「先進的な取り組み事例が各地域にも広がるよう、国としてもしっかり支援していきたい」とした。
 世耕弘成経済産業大臣(当時)は、「健康寿命の延伸は社会保障の担い手を増やす意味でも大事なことだ」とした上で、明るい社会保障改革の実現に向けて引き続き取り組んでいく決意を示した。
 また、加藤勝信自由民主党総務会長(当時)は、当初の目標を上回る成果を出している日本健康会議の取り組みを称えるとともに、「予算上でも各地域の取り組みをしっかりサポートしていきたい」と述べた。
 引き続き行われた第1部の「保険者の取組状況の報告~4年目を迎えた『宣言』達成状況の概要~」では、まず、渡辺俊介同会議事務局長が、(1)「健康なまち・職場づくり宣言2020」の八つの宣言のうち、六つの宣言が目標を達成した、(2)同会議として、事業所と保険者の情報共有、介護予防、上手な医療のかかり方の推進などにも取り組んでいる―ことなどを報告した。
 また、安藤伸樹全国健康保険協会理事長、河本滋史健康保険組合連合会常務理事、原勝則国民健康保険中央会理事長からは、保険者の取り組み状況についてそれぞれの立場から説明がなされた。
 更に、蒲島郁夫熊本県知事並びに鈴木英敬三重県知事からは、それぞれ「地域での健康寿命延伸・健康づくりの推進 先進県の取組み」について報告が行われた。

都道府県版日本健康会議開催の意義を強調―横倉会長

190920b2.jpg これらの報告を受けて横倉義武会長は、「2015年に日本健康会議で採択した宣言に基づく取り組みが、順調に全国に広がりを見せていることを改めて実感することができた」と述べるとともに、「これらのことは、本日お集まりの各界のリーダーの皆様に、業界や職種の垣根を越えて、精力的に活動を推進して頂いた結果である」として感謝の意を表明。健康寿命の延伸や、医療費の適正化に向けて、医療関係団体、経済団体、医療保険者、自治体等のステークホルダーが手を携え、オールジャパンで予防・健康づくりを推進している「日本健康会議」の取り組みの重要性を改めて強調するとともに、全国にもその流れを広げていく決意を示した。
 日医の取り組みとしては、質の高い糖尿病対策を全国で推進していくためには何らかのアクションを起こす必要があると考え、昨年12月に開催した日本糖尿病対策推進会議の総会に、初めて各自治体の担当者を招き、多くの方々に出席頂いたことを報告。「こうした活動により、地域や各団体の取り組みを共有すること、地域において顔の見える連携体制の構築を図ること、更には地域における取り組みの質の向上につなげていくことが大切であり、引き続きその活動を継続していきたい」とした。
 更に、日医の「健康スポーツ医学委員会」が患者の健康状態に応じた運動指導の実施に向けて提唱した「運動療法連携パス」について、スポーツ庁が2019年度の運動・スポーツ習慣化促進事業の中で新たに事業化していることを紹介。「日医が養成する認定健康スポーツ医、また地域の健康増進施設などといった既存のリソースを有効に活用してもらうためにも、地域医師会等との連携をより深めて欲しい」と述べた。
 その上で、横倉会長は、予防・健康づくりの機運を全国に浸透させていく上で、日本健康会議の地域開催は非常に有効な取り組みだと指摘。都道府県版日本健康会議の開催を契機として、地域における継続的な取り組みにつながっていくことに期待感を示すとともに、「日本全国で、医療関係者、行政担当者、商工会議所や商工会を始めとした経済界等の幅広い関係者が一堂に会して、共通の目標の下、予防・健康づくりに前向きに取り組んでいる、そうした姿を見せることが明るい長寿社会にもつながっていく」として、引き続きの協力を求めた。

 

国民皆保険制度の持続のため、全ての関係者の協力を求める―今村副会長

190920b3.jpg 午後からの第2部では、「上手な医療のかかり方を推進していくために」と題して、今村聡副会長が講演を行った。
 今村副会長は、「国民皆保険制度」など、日本の医療の良さを紹介するとともに、日本では高いパフォーマンスで医療が提供されているとする一方、医療関係者は過酷な状況で勤務に当たっていると指摘。医療を安全に受けるためには、医療従事者も健康に働くことができる環境をつくらなければならないとして、参加者に対して、①かかりつけ医をもつ②適切な受診を心掛ける③国民自身でも健康管理に努める―等の実践を求めた。
 また、かかりつけ医に関しては、その見つけ方として、健診や予防接種の機会などを利用して身近な医療機関を受診し、医師と直接話してみることを提案した。
 その上で、同副会長は、既に取り組みを進めている協会けんぽや福島県いわき市などの事例を紹介し、「日本のすばらしい国民皆保険制度を持続可能なものとして守っていくためには、全ての関係者による協力が必要になる」と強調し、理解を求めた。
 引き続き、吉田学厚労省医政局長が登壇。医療のかかり方の改善に資する優れた取り組みの奨励・普及を図ることを目的として、「いのちをまもり、医療をまもる! アワード(仮称)」を創設することを報告した。
 その他、「通いの場等の活用による介護予防の推進」「糖尿病性腎症重症化予防対策~さらなる展開とその評価~」「健康スコアリングレポートの今後の展開」などの講演が行われ、会議は盛会裏に終了となった。

 
キーワード:日本健康会議とは
181105e2.jpg 「日本健康会議」は、少子高齢化が急速に進展する日本において、国民一人ひとりの健康寿命の延伸と適正な医療について、民間組織が連携し、行政の全面的な支援の下、実効的な活動を行うために平成27年7月に発足した活動体である。実行委員として医療関係団体、経済団体、医療保険者等の民間組織や自治体を含めた32団体が名を連ねており、横倉義武会長が共同代表を務めている。

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