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令和元年(2019年)10月20日(日) / 日医ニュース

敬老の日に考えたこと

 私の住む地域は、高齢化率の先進地で、2019年8月現在で総人口8万9238人の37・48%、3万3442人が高齢者で、うち後期高齢者が55%を占めています。日本全体の高齢化率が37・7%になると予想されているのが2050年です。その頃には、総人口は2400万人減少し1億192万人となり、この地域は人口5万人、高齢化率52%と予想されています。高齢化と同時に過疎化もますます進んでおり、2007年の大合併により、地域は東京23区より広くなり、人口密度は125人と東京23区1万5364人の1%以下です。
 医師数やベッド数は、人口当たり全国平均を少し下回る程度ですが、内実はこの15年で大きく変わりました。2004年の新医師臨床研修制度で、研修医がマッチングにより自由に研修先を選べるようになってから、大学の医局員数の減少に伴い、医局から派遣される中核病院の常勤医は減り続け、研修医の数も減っています。
 都会に住む方からは想像できないかも知れませんが、中核病院に10年以上、常勤麻酔科医が1人もおらず、緊急手術はもちろん、予定手術もままならない実態があります。
 また、地域の外来患者や、在宅患者も半数以上を開業医が診療しなければならない状態で、病診連携どころではありません。中核病院の機能が年々失われ、地域医療が崩壊寸前なのです。
 私達開業医の高齢化も顕著です。日々の外来診療、訪問診療に明け暮れ、入院が必要な患者をどうするか悩みながら、体力勝負で地域医療に携わっています。世代交代も迫られていますが、ますます高齢化と過疎化が進むと予測されている現在、若い医師達に地域医療を担って欲しいと願うのは酷な話です。
 まずは、中核病院を再構築し、開業医がかかりつけ医の役割を担えるよう、国が早く対策を取ることが急務と思います。

(かまくら)

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