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令和元年(2019年)12月20日(金) / 日医ニュース

医療の今日的課題に立ち向かうための理念を共有

医療の今日的課題に立ち向かうための理念を共有

医療の今日的課題に立ち向かうための理念を共有

 全国医師会・医師連盟 医療政策研究大会が11月24日、都内で開催された。
 本大会は、会内に設置された前期の「医師会将来ビジョン委員会」からの提言に基づき、日医役員、都道府県医師会長及び郡市区等医師会長らが一堂に会し、医療の今日的課題に立ち向かうための理念を共有することを目的として開かれたもので、今回が2回目の開催となる。参加者は約600名であった。
 小玉弘之常任理事の司会の下、中川俊男副会長の発声により開会。冒頭、あいさつに立った横倉義武会長は、始めに、本年の度重なる大雨・台風による水害等の被害に遭われた方々にお見舞いの言葉を述べ、日医として必要な支援を継続していく姿勢を示した。
 横倉会長は次に、「地域医療構想の実現」「医師の働き方改革」等に対する日医の考えを説明。これらの医療政策について、「中央で決めたものを一律に地方に押しつけるのではなく、地域の実情に応じて、地域主体で取り組むことを求めている点が特徴」とした。
 また、自身が初めて会長職に就任した際に、会務運営に臨む基本姿勢の一つとして掲げた"地域から国へ"という理念について、「ようやく仕組みとして整ってきた。今後は、これをいかに有機的・効果的に運用していくかが問われてくる」と述べ、都道府県及び郡市区等医師会の理解と協力を求めた。
 その後、2題の講演が行われた。
 横倉会長は、「日本医師会の医療政策」と題して講演。政府の「全世代型社会保障検討会議」で行われた医療関連団体等へのヒアリングに、日本歯科医師会並びに日本薬剤師会と共に出席し、医療界を代表して意見を述べたことを紹介。併せて、主張した項目〔(1)人生100年時代の患者・国民の安心につながる丁寧な議論、(2)疾病予防、健康づくりの推進、(3)国民皆保険の理念の堅持〕等について解説を行った。
 ヒアリングでは、「財政論に偏って議論を進め、結論を急ぐべきではない」と主張したことを説明。(1)では、地域医療構想、医師の働き方改革の推進、医師の偏在対策を三位一体で進めていく国の方針に対し、個別に丁寧に進めていく必要性を指摘。外来機能の分化と連携にも触れ、将来的な方向性として、紹介状なしの大病院の受診時の定額負担の対象等の拡大などを挙げる一方、定率負担に加えて更に負担を患者に求める外来受診時定額負担は、「容認できるものではない」と強く反対した。
 (2)では、"国による医療・介護に対する支出の抑制"を主眼とした社会保障改革では、後期高齢者医療制度導入の時と同様に国民の理解は得られないとした他、予防・健康づくりについて、「重要性がクローズアップされている一方、エビデンスの不足が指摘されている」と述べ、エビデンスの確立に向けた国の事業等への医師会の積極的な関与が必要とした。
 (3)では、①後期高齢者の患者負担の引き上げ②外来受診時定額負担③薬剤自己負担の引き上げについて幅広い観点からの検討―に関し、それぞれ問題点を説明。「これらは、国民皆保険を守るという社会保障の根幹に関わる」と危機感を示した。
 更に、令和2年度の予算編成についても言及。「他産業に比べて医療分野の賃金の伸びが低いことも踏まえ、令和2年度診療報酬改定では、更に働き方改革が実現できるような前回を大幅に上回る改定率の確保を求めていく」と述べた。
 横倉会長は最後に、「人生100年時代の患者・国民の安心につながる社会とするために、医師会の総力を結集して立ち向かっていかなくてはならない。そのためにはまず、医師会員が思いを共有することが重要」と強調。ボトムアップ型の政策実現に向けて、理解と協力を求めた。
 続いて、武田俊彦前厚生労働省医政局長が、高齢化に対応した医療提供体制の再構築について、「世界が、我が国が育て、守るべきもの」をテーマに講演。これからの医療について、「病院があるだけで良いというわけではなく、地域の医療提供体制こそが重要になってくる」と述べた上で、①社会の基盤としての社会保障と医療②我が国の医療制度③我が国の医療政策の推移④地域包括ケア・支える医療とは⑤地域包括ケア実現のための施策―について概説した。
 ①では、社会保険について、「サービスがあって初めて保険の意味がある」と強調。社会の共通基盤として、行政、医療者、患者の3者で「しっかり育て、守る」という意識の重要性を指摘した。
 ②では、わが国の国民皆保険制度の特徴であるフリーアクセスや安価な医療費で高度な医療を提供していることについて、結果的に大病院への患者の集中や若手医師の過重労働につながっている面もあるとして、「このままでいいのか、大いに議論が必要」と強調。
 ③では、地域包括ケアの重要性を強調した上で、「医療のあり方の変化に合わせ、提供体制も変えていくことに対する理解を得る必要がある」とした。
 ④では、「生涯にわたって寄り添う医療が必要であり、そのためには地域に医師を確保することが大事」と述べ、⑤では、国民皆保険の限界が生じている部分について、いかに皆で再構築していけるかが重要とした。

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