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令和2年(2020年)5月5日(火) / 日医ニュース

「緊急事態宣言」の発令を受け日医の見解を示す

 横倉義武会長は、4月7日に安倍晋三内閣総理大臣が7都府県を対象とした「緊急事態宣言」を発令(4月16日には、対象地域を全国に拡大)したことを受けて、同日に緊急記者会見を行い、今後の医療提供体制の整備に向けた課題等について、日医の見解を述べた。

 横倉会長はまず、安倍総理が当日の会見の中で、医師を始めとした医療従事者への感謝の意を示したことに触れ、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向け、思いを更に強くした」とした上で、これまでの日医の取り組みとして、(1)4月1日に「医療危機的状況宣言」を公表した、(2)4月3日には「医療危機的状況宣言」の内容を自ら安倍総理に説明するとともに、医療現場の現状について意見交換を行った、(3)4日には加藤勝信厚生労働大臣に要望書を提出するとともに、6日に同大臣と医療が危機的状況にある現状について意見交換を行った―ことなどを説明。
 今回の「緊急事態宣言」の発令に関しては、「これまで日医が新型コロナウイルス感染症から国民の生命と健康を守るため、関係各所に対して主張してきたことが実を結んだもの」との見解を示した上で、本発令に基づく今後の医療機関に対する支援の内容を概説した。
 支援は、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(以下、緊急包括支援交付金)」「地域医療確保支援」「診療報酬」の3本立てとなっているとした上で、特に「緊急包括支援交付金」は、地域の実情に応じて、都道府県が活用計画を作成するものであることから、地域からのボトムアップが重要だと指摘。全国知事会に対して、都道府県医師会と十分連携を取るよう求めていくとした。
 医療への対策に関しては、地域の実情に応じて、日常診療と新型コロナウイルス感染症を診る医療機関との役割分担が必要だと強調。補正予算で対応するとされている「新型コロナウイルス感染症に関する相談窓口の設置、広報の充実」については、コールセンターの設置や国民等に分かりやすい広報の充実を図ることが求められるとして、現在、地域の医師会に対して協力を求めていることを明らかにした。
 一方、国民に対しては、「自分の健康に不安がある場合は、電話等の情報通信機器を用いて、まずは受診歴のあるかかりつけの医療機関に電話等で相談し、かかりつけ医の指示に従って欲しい」と述べた。
 外来については、既存の帰国者・接触者相談外来や新型コロナ相談外来等の支援のため、「緊急包括支援交付金」から防護具やPCR検査機器等の整備が、「地域医療確保支援」からマスクや消毒用エタノール等の物資の確保が、それぞれ盛り込まれたことを評価。
 入院に関しては、地域の実情に応じて新型コロナウイルス感染症患者を診る医療機関を、「無症状者」「軽症者・中等症者」「重症者、重篤者」に分けて受け入れる医療体制に移行する必要性を指摘。また、「無症状者・軽症者」を受け入れるホテルや健康管理を行う医師等医療従事者の確保に向けて、「緊急包括支援交付金」の活用の他、「地域医療確保支援」として、外来と同様に物資の確保などがそれぞれ盛り込まれていることを説明した。
 患者の重症化対策については、重症患者の増大に向けた備えとして、人工呼吸器・体外式膜型人工肺(ECMO)の確保とその治療が必要な患者を受け入れる医療機関の要員確保が重要になるとし、「医療器材の整備とともに、人材の育成に向けても、『緊急包括支援交付金』を活用して欲しい」と述べた。
 その他、診断キット、ワクチン、治療薬の早期開発を後押しするため、「ワクチン・治療法の開発促進等」と明記されていること、また、風評被害等を含めた支援として、「緊急包括支援交付金」から「新型コロナウイルス感染症対応に伴う救急医療等地域医療体制の継続支援、休業等となった医療機関の再開等支援」が盛り込まれていることを紹介。新型コロナウイルス感染症患者が出た医療機関や医療従事者、その家族等に対する風評被害があることにも触れ、風評被害により医療機能が失われてしまえば、地域の医療提供体制の崩壊を招く恐れがあることに理解を求めた。
 最後に、横倉会長は「新型コロナウイルス感染症に勝つためには、全ての医療従事者が協力していかなくてはならない」と強調。国民に対しては、行動変容への協力を求めるとともに、指定公共機関でもある日医としても、都道府県医師会や郡市区医師会と連携し、各地域の医療提供体制の構築・確保に向け、「新型インフルエンザ等対策業務計画」(2014年5月策定)に沿って引き続き、その責務を果たしていくとした。

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