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令和2年(2020年)6月5日(金) / 南から北から / 日医ニュース

Let's study English!!

 3年ほど前から、LINEを利用して英語のレッスンを受けている。
 私はどちらかと言えば、「読む・書く」能力よりも、「聞く・話す」能力を伸ばしたいと常々思っており、主に「話す」練習をしている。
 最初の1年間は、週1回日本人の先生についてレッスンを受けた。先生が話す日本語の短文を即座に英語に訳すという、いわゆる「瞬間英作文トレーニング」である。
 1回のレッスンは40分なのだが、20分もすると頭は疲労困懲(こんぱい)する。しかも関係代名詞など複雑な構文になると、完全に混乱してしまう。
 「少し休憩を入れましょう」ということになり、半分を過ぎた頃に「最近印象に残ったことを、自由に英語で話してください」というお題を頂くようになった。しかし、自由に話すなんて余計につらいわと思ってしまう。
 幸い1年も過ぎると、日本語の冒頭を聞いた途端、英語が出てくるようになった。まるで百人一首の、かるた大会のごとくである。だんだん面白くなった頃に、「じゃあ、そろそろ外国人の先生を紹介します」と言われた。回数も週1回から週2回にした(理想的には週3回がいいと言われたのだが)。
 フィリピンとジャマイカの先生を紹介して頂き、教科書は日本文化を紹介したエッセイを使うことにした。テーマは「芸者」「神社と寺」「敬語」「武士」などである。
 住み慣れた自分の国のことを紹介するので一見簡単なように思えるが、やってみるとものすごく難しい。思ったように単語が出てこなくて、もどかしい思いをした。
 また、自分の国のことをきちんと外国の人に紹介できなくて、悔しい思いもした。
 何よりも「私は自分の国の文化や歴史をそれほど知らない」ということに改めて気づき、恥ずかしくなった。
 それでも回を重ねると、少しずつ楽しめるようになってきた。「私が教えてあげる」というのではなく、「一緒に日本の事を学ぶ」というスタンスで臨んでいる。語彙(ごい)を増やす良い機会にもなり、フィリピンやジャマイカの文化を学ぶこともできて、一石二鳥である。そんなこんなで、何とか今日までレッスンを継続している。
 語学の練習は頭の中で考えているだけでは上達しない、とはよく言われることである。英語の教科書では、練習問題はExerciseと表記されている。つまり、「英語の練習」は「運動の練習」と同じである。野球やテニスの素振りを繰り返すように、実際に頭と舌と喉を使ってExerciseすることが上達の秘訣だと思う。日本語を頭の中で英語に翻訳してから話すのではなく、英語で考えて英語で話すことが肝要である。
 私はいつも日本語を聞きながら、頭の中で絵を思い浮かべるようにしている。
 「メアリーの横に立っている、あの女の子は誰ですか?」という日本語を聞きながら、「メアリー」と「あの女の子」を頭に描き、「あの」で女の子を指さし、「誰ですか?」で尋ねる身振りをつけて、英語で話す。知らない人が見たら、私はまるで夢遊病者である。
 話すためには中学英語レベルの文法が必要、読むためには高校英語レベルの文法が必要と言われるが、本当にそうだと思う。文法は、自転車の補助輪のような存在である。
 これからも楽しみながら英語を学んでいきたいと思う。

富山県 富山市医師会報 第582号より

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