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令和3年(2021年)1月20日(水) / 南から北から / 日医ニュース

熱帯魚との生活

 もともと子どもの頃は犬が好きで、小学生の時は犬を飼っていましたが、好きな割にお世話は苦手で、散歩も不定期、あまり良い飼い主ではなかったと反省しています。その反省を生かし、大学生の時には弟の飼っていたチワワを一緒に可愛がっていましたが、何と犬アレルギーを発症し、以後犬には近寄れない体になってしまいました。
 それ以降は動物を飼育するチャンスはなかったのですが、長女が幼稚園の時に、僕の父が長女にグッピーと水槽を買ってくれたのがきっかけで、わが家に初めての水槽が来ました。
 水と餌とブクブクがあれば大丈夫だろうと、これまたいい加減な感じで飼育がスタートしましたが、1週間後には買ってもらったグッピーが全滅。これでは父に申し訳ないと、再度自分でもグッピーを買ってみましたが、今度も1~2週間で全滅。「何ですぐに死んじゃうんだろう」と、そこから魚の勉強が始まり、水質管理が非常に大事であること、水質維持には生物濾過(ろか)と物理濾過が大切であること、などを学びました。何度かの失敗を繰り返しながら、何だかんだ2年くらいはグッピーを飼育し、アクアライフを楽しんでいました。
 あれは忘れもしません。特に魚を買いに行ったわけでもないのですが、米子のホームセンターをフラフラしていたところ、熱帯魚コーナーでふと15センチくらいのシルバーアロワナが目に留まりました。それまでアロワナなんて名前くらいしか知らなかったのですが、さすがドラゴンフィッシュと呼ばれる魚です。小さいながらも優雅に泳ぐ姿がとてもカッコよく、どんな魚かもよく知らないまま、帰る時にはアロワナを手に持っていました。
 でも、やはり気軽に手を出してはいけない魚でした。まさか水槽内でも1メートルに成長する魚だとは。
 ただ飼ってみて、グッピーの飼育とは違った楽しさがあることに気付きました。グッピーは水槽内にたくさん泳いでいたので、魚を集団としか見ていませんでしたが、1匹を可愛がるという感覚はとても新鮮で、犬を可愛がる感覚に似ており、そこからどんどん大型魚の魅力にはまっていきました。
 まずは60センチ水槽で飼ってみました。シルバーアロワナは体が柔らかいので、しばらくは60センチ水槽でも問題なく飼育できました。しばらくして、アロワナにはシルバーアロワナ以外に、アジアアロワナという種類がいることを知りました。アジアアロワナは、シルバーアロワナほどは大きくなりませんが、50~70センチになる魚で、黄金や真紅に染まる、とてもありがたい感じのする魚です。
 当然、アジアアロワナにもだんだん興味が出てきて、ある日またやってしまうのです、今度はポチッと。
 これも後で知ったことですが、アロワナは縄張り意識が強く、複数匹を同じ水槽で飼育する場合は、縄張りが作れないくらい密な環境で飼育をするか、単独飼育にするかのどちらかが一般的です。当然ですが、縄張りが作れないくらいのアロワナを買うにはかなりの資金が必要になるため、おのずと単独飼育にするしかないのですが、これが水槽地獄への第一歩でした。水槽が一つ増え、また一つ増え、気付けば60センチ水槽が4個くらいになっていました。
 "アクアあるある"なんですが、大型魚に手を出すと、必ずその時期がやってきます。そうです、水槽のサイズアップです。60センチ水槽の次の水槽規格は90センチ、120センチとなっていきます。アロワナを終生飼育しようと思ったら、金龍であれば最低でも横120センチ、奥行60センチ、高さ45センチの水槽が必要になりますが、紅龍の場合は横150センチは必要になります。
 水槽の金額は、横120センチくらいまでは値段の上昇も直線的ですが、その先は水槽代の桁が違ってきます。これは大変なことになりそうだな、と当時途方にくれたのを覚えています。特に当時は2LDKのアパートに住んでいたので、そんな水槽を置くスペースもなく、日々痛い視線を送られながらの生活でした。
 そんなある日、転機が訪れます。父が購入した古い一戸建てに住んでも良いとの許可が出たのです。その家は昔ながらの家で、とても広い土間があったので、僕にとっては天国のような場所でした。そのタイミングで、一気に120センチの水槽を2本購入し、引っ越してからもちょこちょこ水槽を増やし、最終的には120センチ3本、180センチ1本となりました。まさか、自分がこんな大型水槽を所持することになるとは。
 今は3年前に建てた家に引っ越していますが、建てる際に水槽用の土間を作り、水槽の1個がリビングからも見えるようにして、観賞もしやすくしました。調子に乗って、水槽は180センチが2本、150センチが1本、120センチが4本と、スケールもアップして、アロワナ以外の魚も飼育しています。
 また、去年のクリニックリフォームの時に、水槽のあるクリニックにしたかったので、試しに水槽を設置してみたところ患者さんの反応も良かったため、更に調子に乗って、現在は自宅、クリニック合わせて20本以上の水槽を管理しています。特に、クリニックではディスカスやエンゼルフィッシュなどの可愛い中型の熱帯魚を飼育しており、魚の繁殖も楽しんでいます。
 後には引けないところまで来てしまったので、子ども達に迷惑を掛けないように最後を迎えることができればいいのですが。と、言いつつ、現在自宅でとっておきの魚を飼育しています。もう少し大きくなったらクリニックに連れて行こうと思っていますが、とても愛らしい表情を見せてくれる、古代魚界のゆるキャラです。
 ただ、うわさでは寿命が100年とか150年とか......。

(一部省略)

鳥取県 鳥取県西部医師会報 No.203より

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