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令和3年(2021年)4月5日(月) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

新型コロナウイルス感染症に関する最近の動向について

日医定例記者会見 3月10・17日

新型コロナウイルス感染症に関する最近の動向について

 中川俊男会長は、新型コロナウイルス感染症に関する最近の動向として、(1)最近の感染の状況、(2)ワクチン接種、(3)副反応―について見解を発表した。
 (1)では、まず、1都3県の緊急事態宣言について、「3月21日で解除される方向で調整中と認識している」とした上で、直近の感染状況を冷静に理解する必要性を強調。具体的なデータを示しながら、東京都や先行して解除された近畿3府県、東北地方(特に宮城県)、北海道における直近の感染状況に危機感を示し、「いわゆるリバウンドの危険性が高まっている地域が広がっている」とした。
 また、日本医師会が「新型コロナウイルス感染症患者受入病床確保対策会議」を設置し、病床確保に努めていることに改めて触れ、「コロナ病床を拡充し退院基準の周知に努め、回復した方の受入病床の拡充も行った。新型コロナウイルス感染症と通常医療の両方を守る活動を着実に進めている」と説明した。

「下りまん防」の適用などを提言

 その上で中川会長は、改正特措法で創設された「まん延防止等重点措置」について、①緊急事態宣言が解除された場合には、リバウンドによる第4波を防ぐ「下りのまん延防止等重点措置」を適用する②上りと下りのまん延防止等重点措置を、どのような基準で適用するのか、解除するのかのルールを明確に定める③事業者の時短要請や営業上の注意に具体性を持たせる(例:アクリル板の設置を必須とする等)―ことを提案。併せて、高齢者施設や繁華街等における見えにくいクラスターを見つけるため、無料PCR検査の拡大も必要とした。
 病床占有率については、改善傾向の地域が多いものの、感染性が高いとされる変異株ウイルスが国内各地で確認されていることなどに触れ、「新規感染者数の増加は病床占有率の上昇に直結する」と説明。「医療従事者を始めとして、限られた医療資源をやり繰りし、なんとか新型コロナの診療と日常診療を両立させている状態である中で、"とにかく病床を確保すればよい"というだけでは不十分だということを理解して欲しい」と述べた。
 更に、「これらは医療提供体制だけの問題だけでなく、国民全体の健康問題である」として、自分自身のみならず、大切な人を守るためにも、感染防止対策の徹底や感染リスクの高まるような行事を行わないことを要請した。
 (2)では、4月12日以降、高齢者より順次住民への接種が開始されることを踏まえ、3月16日に河野太郎新型コロナウイルスワクチン接種担当大臣らと接種の円滑化に向けた会談を行ったことを報告(詳細は別記事参照)。河野大臣からは、医師会の接種体制構築への協力に対して感謝の意が示された上で、5月の連休明け頃には医療従事者に対するワクチン供給体制も整う見通しであることやワクチン接種のさまざまな諸課題について、「現場の意見を受け止め、安心して接種が行えるように分かりやすく迅速な情報提供に努め、見直せるところは見直していきたい」との発言があったことを明かした。
 また、接種体制に関連して、医療機関の負担軽減のために「地域の実情に応じた基本型接種施設の柔軟な運用」「ワクチン接種記録システムの入力作業の簡素化やV―SYSとG―MISのIDとパスワードを同じにすることによる使い勝手の向上」等が進められているとの報告を受けたことを説明した。

日本の副反応 多いとは言えない

 (3)では、連日、副反応について報道等で大きく取り上げられている中で、厚生労働省の検討会では、「各国が同じ基準で報告しているわけではないことを理解した上で、データを比較すべき」とされたことに触れ、日本医師会も同様の見解であるとした。
 また、実際にこれまで公表されているデータ上も日本の副反応が多いとは言えないことや、「アナフィラキシー」と「アナフィラキシーショック」は別のものであることを説明し、区別して考え、その因果関係を慎重に調査する必要があると強調。「日本医師会としても、国民が副反応の種類や頻度などをよく知った上で接種を受ける判断の材料としてもらえるよう、迅速な情報収集と情報発信に努めていく」と述べるとともに、報道関係者に対しても正確で冷静な情報発信を求めた。

キーワード:まん延防止等重点措置とは
181105e2.jpg 2月13日に施行された「新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律」で新設されたもの。これにより、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼす恐れがある際には、政府が指定した都道府県の知事は緊急事態宣言時と同等の対策を行うことが可能となる。略して「まん防」と呼ばれることがある。

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