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令和3年(2021年)4月20日(火) / 南から北から / 日医ニュース

おっさん四十半ばにしてブラジリアン柔術道場に入門する

 開業5年目に入りました。勤務医時代は手術、外来、当直、学会、講演会と息つく暇もない16年でしたが、一息つくと趣味がないことに気付きました。
 私は性格的にも飽き性で、いろいろ試してみるものの長続きはしたことがありません。妻にも「あんたは年々頑固になって嫌な老人になることは間違いない。そのうち私にも子どもにも見捨てられるので、何か趣味を持った方がいい」と言われるので、何か楽しみを見つけないと老後が地獄です。
 私のこれまでの趣味探しの一部を列記してみると、ゴルフは性に合わず、サーフィン、ジェットスキー、ダイビングをするもそもそも海が怖い、一眼レフを買ったもののあまりに重く結局スマホ、ロードバイクにも手を出し郡山―天理間の通勤を1年半続けましたが、引っ越しを機にやめてしまいました。子どもが小さい時は子どもと遊ぶことが楽しみでしたが、子どもも大きくなり遊んでもらえなくなりました。
 その中で唯一続いているのがブラジリアン柔術です。聞き慣れない方も多いと思いますが、元々は日本人柔道家前田光世氏が約100年前に治安の悪いブラジルで護身術として広めた格闘技で、グレイシー一族によって有名になりました。柔道の寝技に特化したような格闘技で「制圧する」「極める」ことを目標とします。打撃はないのでそこまで危なくはないですが、なかなかハードな格闘技です。
 私と柔術との出会いは5年前で「子どもがいじめられないように」と、その時小1の次男、幼稚園の三男と新大宮にあるジムに見学に行ったことがきっかけです。そこで私も軽く運動でもしようかと齢43で人生初の格闘技挑戦となりました。しかし、やってはみるものの体は硬く、持久力は皆無で、なかなか上達しません。準備運動で気持ち悪くなる始末で、今までの運動不足や老化にため息が出る毎日です。
 私の才能は開花する様子はありませんが、子どもは練習するほどに強くなり、次男三男とも2年目には全日本大会準優勝、3年目には三男が全日本キッズチャンピオンになり、アメリカで行われたキッズ世界大会に出場するほどに上達しました。子どもと共に月に何度か週末に泊りで東京や名古屋に遠征に行った日々はかけがえのない思い出になりました。先日、学業に専念すると宣言(笑)、中断となりましたがいつか再開してもらいたいものです。
 なんやかんやで私は才能がない中、コツコツやって5年になりました。道場には小学生から同年代、最年長68歳の方までおられ、先生方や会員さんは常識のある方ばかりです。皆さん普段は穏やかですが、日頃のストレス発散とばかりにスパーリングはガチンコです。私は相変わらずで中学生や高校生にもボコボコにやられます。時には顔に青あざを作り、スタッフや患者さんに「嫁にしばかれたか、子どもがグレたか」と心配されます。それでも柔術を通じて医者以外の友人がたくさんでき、毎日のストレス発散になっており、気付けば趣味と言えるようになりました。
 最近のコロナ禍で密になる格闘技は自粛せざるを得ないところがあり、フラストレーションがたまっていますが、コロナウイルスが落ち着いたらまた頑張っていこうと思います。

(一部省略)

奈良県 奈良県医師新報 vol.825より

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