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令和4年(2022年)2月20日(日) / 南から北から / 日医ニュース

野良猫ミィーちゃん

 ゴールデンウィークの頃だったと思います。確か全国的に自粛、自粛と言われ、岐阜県も恵那市も外出自粛せよということで、子ども達も帰省せず、好きなゴルフもラウンド自粛で家にこもっていた頃です。庭に張ったゴルフネットで練習をしていたら、突然子猫が現れました。基本わが家では猫は天敵です。庭に排尿、排便し臭くなるし、子ども達も猫アレルギーがあるため、見つけたら棒を振り回して追っ払うものでした。
 しかしこの子猫はのっそり現れ、逃げる素振りもなくネットの横で練習を見学しているのです。こっちも可愛い子猫なので邪険にせず、「危ないから早く向こうに行きなさい」と言うのですが、ちょこんと座ったままこちらを見つめています。あまりにも可愛いので妻に煮干しを持ってくるよう頼み、エサやりチャレンジをしました。びっくりして逃げないように、しゃがみ込むような体勢で子猫に近付き煮干しをあげました。そうしたら何と子猫が煮干しを食べてくれたのです。こっちもうれしくなり、ミィーちゃん、ミィーちゃんと呼んで、いろいろお菓子みたいなものをあげようとしましたが、その日はじきにどこかに行ってしまいました。ミィーちゃんという名前はその時適当に思い付いた名前です。
 それ以降、時々昼休みに庭でゴルフ練習をしていると無音でひょっこり現れ練習を見学します。怖いもの知らずで、ネット真裏でこっちを見ています。これでは練習もできません。再びエサやりチャレンジです。しかしやはり野良猫なので決して触らせてくれません。子ども達にこの話を写メで撮った写真を見せながらすると、皆「ミィーちゃん可愛い。触りたい。エサやりたい」となりました。娘達はアレルギーがあったのですが、この前病院で抗原検査をしたらアレルギーじゃなかったと言い出しました。息子達も、家に帰ったらエサやりやってみたいと、皆やる気満々になりました。野良猫にエサやりするなんて何と非常識な、とヒンシュクを買いそうですが、近所の家まで100メートル以上離れた田舎なので許してもらうことにしました。
 その後ミィーちゃんは毎日エサを食べにくるようになりました。そして来るとミャーミャー鳴くようになり、自分を主張するようになりました。しかし、エサはもらうけど、触らせないよと、触ろうとすると逃げていきます。
 この状態がしばらく続き、10月になりました。そろそろ寒くなるし、くつろげる所を作ってあげようと段ボールに古いクッションを敷いた猫ベッドを作ってあげました。しばらくすると猫ベッドにくつろぐようになり、その時は触らせてくれるようになりました。そうして11月の今現在は、食事をもらった後は膝の上でくつろぐようになり、触ってなでるとゴロゴロ鳴きながら気持ち良さそうです。ここまでくるのに半年掛かりました。
 野良猫と信頼関係を築いた長いようで短い半年でしたが、これからも野良猫ミィーちゃんとの交流は続きます。

岐阜県 岐阜県医師会報 No.830より

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