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令和4年(2022年)5月5日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

ウクライナ避難民支援及び令和2年・3年度外国人医療対策委員会報告書について

日本医師会定例記者会見 4月6日

ウクライナ避難民支援及び令和2年・3年度外国人医療対策委員会報告書について

ウクライナ避難民支援及び令和2年・3年度外国人医療対策委員会報告書について

ウクライナ避難民支援のための日本医師会医療通訳サービスの拡充

 松本常任理事は、日本医師会におけるウクライナ支援策について説明を行った。
 同常任理事は、まず、ウクライナ支援の取り組みの一環として、日本医師会員向けに令和2年4月から実施している医療通訳サービスに、4月6日より新たにウクライナ語を追加し、ロシア語を含む19言語対応としたことを報告。
 同サービスは当初、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、訪日・在留外国人の増加が見込まれる中、医療機関を受診する外国人患者数の増大も予測されることから、医師の負担を増やさずに多くの方が利用できるよう、医賠責保険の付帯サービスとして導入したものであったことや、利用対象等の詳細を解説した。
 その上で、「医師と患者のコミュニケーションの欠如から生じる医療事故や、未収金等を未然に防ぐために、本サービスが良質なコミュニケーションツールとして役立つことに期待して今に至る」と述べるとともに、この度の「ウクライナから避難された患者やその親族」における医療通訳サービスについては、対象言語にかかわらず、年間の回数制限等を撤廃して柔軟に対応することを明らかにした。

令和2年・3年度外国人医療対策委員会報告書

 同常任理事は引き続き、外国人医療対策委員会が会長諮問「今後の外国人医療対策の具体的な取組について―新型コロナウイルス感染症対策も踏まえて―」に対する検討結果を、3月28日に稲野秀孝同委員会委員長(栃木県医師会長)より中川俊男会長宛てに提出したこと(写真)を報告し、その概要を説明した。
 答申は、(1)はじめに、(2)外国人医療を取り巻く現状と取組について、(3)新型コロナウイルス感染症の影響について、(4)外国人医療が直面する課題について、(5)医療通訳に関する各地域の取組事例について、(6)まとめと提言、(7)おわりに―で構成されている。
 (6)では日本医師会に求められる役割や要望等がまとめられており、「ワンストップ窓口」について、厚労省が平成30年より都道府県に設置の推進を行っているものの、未だ8府県にとどまっており、地域の実情を踏まえると都道府県ごとでの設置は困難と思われることから、委員会は日本医師会に、「引き続き、厚労省に対し、電話医療通訳等が無料で24時間・365日利用できる体制を全国で1~2カ所設置し、平日と休日・夜間で体制が異なるような現行体制の見直し」を行うことを求めている。
 「医療通訳」については、その費用は、患者へ請求できることになっているものの、現状は「差別になりかねない」「クレームになりかねない」等の理由から、多くの医療機関が自己負担をしていることを踏まえ、対策の一環として、日本医師会が、令和2年より会員向けに「医療通訳サービス」を開始したことが紹介されている。
 一方で、医療通訳者の誤訳が起因となって生じる損害賠償事案が散見されることから、委員会は日本医師会に医療通訳サービスの周知に向けた取り組みを、厚労省には、医療通訳者の質の向上に向けた取り組みと、医療機関が通訳費用等を自己負担することが無いよう手厚い支援をそれぞれ求めている。
 「未収金等の補塡(ほてん)事業」については、厚労省が未収金を未然に防止するための取り組みとして、医療機関向けのマニュアル等の作成や不払い患者の登録制度等を行っているものの、未収金問題はいまだに解決していないことや、一部の都道府県では未収金等の補塡事業を行っているが、その内容や補塡額が十分ではないことに言及。
 その上で、委員会として日本医師会に、厚労省に対して、医療機関が未収金による損害の全てを負担することがないよう、都道府県における補塡事業の創設及び更なる拡充と、国として新たな補塡事業の創設の検討を行うよう要望している。
 同常任理事は最後に、「あるべき外国人医療対策を実現するには、言葉や文化の壁を乗り越えるために、個別医療機関が自助努力するだけでなく、国・自治体・医師会等の支援・連携が極めて重要になる」と強調。新型コロナウイルス感染症収束後は、政府が再び「観光大国ニッポン」に向けた取り組みへ舵を切ると思われることから、本報告書を踏まえて、日本医師会としても今からできることを着実に進めていく姿勢を示した。

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