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令和4年(2022年)5月5日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

新型コロナウイルス感染症の現況について

日本医師会定例記者会見 4月6日

 中川会長は、新型コロナウイルス感染症の感染状況、3回目のワクチン接種、感染症分類における新型コロナウイルス感染症の位置付けについて、日本医師会の見解を説明した。

新型コロナウイルス感染症の感染状況

 中川会長は、まず、3月21日でまん延防止等重点措置が全面解除された後、感染が再び拡大していることに触れ、その背景として、(1)まん延防止等重点措置の解除と人の移動や交流の機会が増える季節が重なった、(2)オミクロン株のBA.1の減少速度が緩やかであることに加え、感染力の高いBA.2への感染者が増加している―ことを挙げるとともに、年代別で見ると若い世代が多くの割合を占めていることを説明。「新年度に入り、さまざまな行事が予定されていることと思うが、ここで第7波を招かないためには、引き続き緊張感をもって感染対策を続けることが大切だ」と強調した。

ワクチン接種

 次に、3回目のワクチン追加接種について、接種率が4月5日時点で65歳以上の高齢者が約83%、全体で約43%であることを紹介した上で、「政府は追加接種を更に加速する方針だが、接種が進まない年代については課題の分析を含め、きめ細やかな対応をお願いしたい」とした。
 また、具体的な課題として、高齢者では、在宅医療を含め接種場所へのアクセスの問題がある方に対する支援を挙げるとともに、若い年代では副反応に対する心配への対応や、接種・副反応では仕事を休めない方もいるとして、政府から事業者への働き掛けを求めた。
 中川会長は、「若い方の中には、新型コロナウイルスにかかっても重症化しないから大丈夫なのではないかと考える方もいるようだが、ワクチン接種は本人だけではなく、社会全体を守るということを認識して欲しい」と述べた他、罹患後症状(後遺症)で長期間苦しんでいる患者の存在も忘れてはならないとした。
 小児のワクチン接種については、日本医師会が改めて会員に説明用の文書を送付したことを明らかにし、保護者の説明への活用をお願いするとともに、政府にも学校等を通じての呼び掛けを要請。最近のデータでは、オミクロン株の拡大以降、追加接種に一定の有効性が示されているとして、「ワクチンは接種してから抗体ができるまでに1~2週間掛かる。ゴールデンウィークには更なる人の移動が予想されるため、それまでに積極的にワクチンを接種することを考えて欲しい」と呼び掛けた。

感染症分類における新型コロナウイルス感染症の位置付け

 中川会長は、「新型コロナウイルス感染症を第5類にすべき」という意見に対する日本医師会の考え方についても説明を行った。
 まず、背景として、日本では諸外国のようにロックダウンなどの強制力を伴う措置は取ってこなかったものの、人口100万人当たりの死亡者数は、4月3日現在でアメリカ2951人、イタリア2646人、イギリス2429人、フランス2114人、ドイツ1550人、カナダ991人であるのに対し、日本は224人とG7諸国の中でかなり低い水準であることや、新規感染者が最大になった時に、新規感染者数に対してどれだけ入院できるかという指標から見ても、日本はイギリスやフランスの約3倍、アメリカの1・5倍となっており、日本は(病床が)逼迫(ひっぱく)しつつも、しっかりと患者さんを守ってきたことを紹介。
 その一方で、オミクロン株が重症化しにくくても、感染者の増加が重症者の増加につながることや、海外では依然として新型コロナウイルス感染症の収束が近付いているとは言えないこと、新型コロナウイルスは新たな変異株の出現と流行を繰り返していることに触れ、5類にした際の具体的な問題点として、(1)保健所の負担は軽減されるものの、感染状況の正確な把握がしにくくなる、(2)感染者の健康状態の報告や、感染拡大時の外出自粛等の要請・入院措置、検疫の隔離措置ができなくなる、(3)医療費の公費負担の根拠が無くなり、医療費の自己負担が生じるため、医療機関に受診せず、感染が更に拡大してしまう懸念がある―ことを説明。「日本医師会は、政府のウィズコロナに大きく舵を切る方向性は理解するが、感染症分類については、感染爆発を未然に防ぐという国家としての危機管理の観点からも、一気に5類にするのではなく、現状の分類のまま状況の変化に応じて運用や対応を見直すべき」との考えを示し、扱いを緩和する議論は慎重に行うことを求めた。

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