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令和4年(2022年)11月5日(土) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

新型コロナウイルス感染症の現況について

日本医師会定例記者会見 10月12・19日

新型コロナウイルス感染症の現況について

新型コロナウイルス感染症の現況について

 松本吉郎会長は、まず、新型コロナについて、感染の再拡大や季節性インフルエンザとの同時期の流行の懸念もある中、感染防止対策を継続していく必要があるとした上で、オミクロン株対応型の接種も開始されたワクチン接種については、季節性インフルエンザのワクチンも含め、全国の医療機関で接種体制の構築が進んでいることを説明。「ワクチンについて疑問がある方は、かかりつけ医にご相談頂きたい」と述べるとともに、日本医師会公式YouTubeチャンネルでも各種情報提供を行っているとして、その活用を呼び掛けた。
 次に、政府の「新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォース(以下、タスクフォース)」については、10月13日の第1回の会議において、「同時期の流行が起きた時、最も重要となるのは診療・検査医療機関である」と強調した上で、日本医師会としても、これまでも繰り返し、都道府県医師会や郡市区医師会の協力を得て診療・検査医療機関の拡充に努めてきたことや、発熱外来への財政支援の重要性なども主張したことを紹介した。
 また、第1回会議で厚生労働省より示された同時流行への対応案の中で、"重症化リスクが低い発熱患者でコロナの自己検査が陰性の場合には、特に電話・オンラインでインフルエンザの診療、処方をする"という旨の記載があったことに言及。18日の第2回会議において、「こうした取り扱いは、単に同時期の流行ということだけでなく、それぞれの地域の発熱患者数に対し、診療能力が不足する場合において、『地域の実情に応じて』判断されるべきである」と強調するとともに、同時期の流行などといった第7波を超えるような事態に至っていない場合には、地域の医療機関を受診することが基本であることを、加藤勝信厚労大臣を始め、政府に対して主張したことを説明した。
 第2回会議のテーマであった「国民への呼び掛け」に関しては、日本医師会が記者会見で説明を行っていることや、公式YouTubeチャンネル等を紹介した上で、国民の行動変容を求めるため、国としてもしっかりとした広報を行うことを要請したとした(別記事参照)
 松本会長は、こうした動きと関連して、最近の日本医師会の発熱外来診療体制の拡充への取り組みについて解説。10月14日に都道府県医師会並びに郡市区医師会に対し、同時期の流行を見据えた発熱外来の一層の拡充と、各都道府県における診療・検査医療機関の公表率を100%に近付けることを要請したことに加え、「現在、新型コロナウイルス感染症患者に対応していないが、従前は季節性インフルエンザ患者を診療してきた医療機関」にも、発熱外来診療体制に参加して頂くことや、自身の診療所ではコロナ対応ができない場合もあることから、地域医師会等による検査センターその他地域医師会と行政とで取り決めた医療機関の発熱外来への参加といった体制づくりを進めることも依頼したとした。
 また、第1回会議を踏まえ、10月17日付で厚労省から同時流行を想定したコロナの外来医療体制等の整備を進めることを要請する内容の事務連絡が発出されたことにも触れ、日本医師会としては、各都道府県医師会に対し、次の波やコロナとインフルエンザの同時期の流行に備えるため、行政と協議しながら、地域の実情に応じた体制づくりを講じて頂くよう求めていく姿勢を示した。

インフルの検査キットのOTC化は適切でない

 その他、規制改革推進会議の医療・介護・感染症対策ワーキング・グループで季節性インフルエンザの検査キットのOTC化を求める動きがあることにも触れ、「これまで季節性インフルエンザの治療に関しては、医師による検査並びにいくつもの診断結果から総合的に判断し、治療の適応を決めている」と強調。「新型コロナと季節性インフルエンザの検査結果が陰性で、かつ発熱している場合、さまざまな原因の可能性があり、慎重な対応が必要」と述べ、季節性インフルエンザの検査キットのOTC化は適切ではないとした。
 松本会長は最後に、「コロナ禍において、医療への適切なアクセスを堅持し、国民の生命を守っていくためには、発熱外来診療体制の更なる拡充が第一である」と述べ、日本医師会としても、全国の医師会、会員医療機関と共に、コロナ対応を強化していく方針を示した。

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 会見に同席した釜萢敏常任理事は、まず、新型コロナと季節性インフルエンザの国内及び海外における感染状況を概説。あくまで予想であるとした上で、今後の国内の見通しとして、新型コロナの感染者の拡大が先行し、その後に少し時期をずらしてインフルエンザの感染者数も増えてくる可能性があるとした。
 自身も参加したタスクフォースに関しては、会議で示された同時流行への対応案は感染拡大のどのパターンにも適用されるものではなく、あくまでも「両方の疾患がこれまで経験したことのないような急拡大をし、かつそれがほぼ同時期に見られる状況を想定したもの」であることを強調。誤解が生じないように国にその周知を求めた。
 また、実際にそうした事態になった場合の対応プロセスとして、国や都道府県が同時期の流行であるとの判断を明確に示し、それを受けて医療機関が対応を検討するという形になるのではないかとした他、「そのような状況に至るまでの間は、可能な限り患者を受け入れることができる医療機関を増やし、準備をしていくことが重要だ」と指摘。そのためにも、なるべく多くの人が新型コロナワクチンの追加接種を適切に受けることが求められると強調した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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