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令和5年(2023年)7月5日(水) / 南から北から / 日医ニュース

人の顔が覚えられません。

 私は人の顔を覚えるのがどうも苦手です。街で患者さんに声を掛けられ名乗られても、"あ、○○さんだけどこんな顔だったかな?"と思い出せなかった経験が何回かあります。
 数年前ある研究会の懇親会で、某大学の教授にお声掛け頂いたので、「初めまして」とごあいさつしたところ、「先生とお会いするのは、今回が初めてではないですよ」と笑いながら言われ、バツが悪い思いをしたこともあります。
 今ちょっと困っているのは、新年度になって新たに配属されてきた方々の顔が覚えられないことです。特に病棟に配属されてきた若い女性看護師の顔が覚えられません。皆さん痩せてスラっとした同じような背格好であり、コロナ対策のマスク越しから見える目はアイメイクがばっちりで、私には皆同じに見えてしまいます。近くにいる時は名札を見ればいいのですが、遠くにいると誰が誰だかよく分かりません。じっくり観察すると、髪の色や髪形に個性があり区別できるのでしょうが、ジロジロ見すぎてセクハラ行為と取られてはたまりません。
 以前あるお笑い芸人が、「映画やドラマの登場人物が着替えてくると、誰が誰だか分からなくなり、話のストーリーがつながらなくなる」とテレビ番組で告白していたのを見た時、"あ、俺と同じだ"と子どもの頃の体験を思い出しました。
 小学生の時、近所に一卵性双生児の兄弟が引っ越してきて、一緒に通学することになったのですが、最初の数日間、私はその兄弟の区別が付きませんでした。初めて会った日に"茶色のズボンをはいているのが兄、弟は緑色"と覚えたのですが、翌日は服装が変わっていて区別できませんでした。弟の声が少し高いため、声の調子で区別できましたが、黙っていたら分かりません。
 他の友人も同じように区別できないのだろうと思っていたのですが、ある日、兄弟が一人でやって来たのを見るなり、友人の一人が、「今日弟は欠席か?」と言ったので、私は驚いて、どうして区別できたのか尋ねたところ、口元のほくろで区別できるとのことでした。"そうか、何らかの特徴を見つけて覚えるのがポイントだな"と学習し、初めて会う人の特徴を見付けようと、一生懸命顔のあちこちを見ていたところ、目が泳いでいたのか、不審がられたためやめることにしました。
 よって、年に1回程度会うか会わないか、という人の顔はやはり覚えられません。頻繁に会う人でも、違う場所で出会ったら確実に区別できるか自信がありません。よく会っている人でも、会う場所が変わったり、服装が違ったりすると区別がつかなくなるという疾患に、相貌失認(そうぼうしつにん)(失顔貌症)というのがあるそうで、インターネットでその簡易診断テストをしてみたところ、その可能性は低いと診断され少しホッとしました。
 細かいところまでじっくり観察する訓練をしてみたらいいのでは?と考え、「間違い探し」の本を買ってやってみましたが、すぐに飽きてしまい結局何の対策にもなっていません。
 仕事柄、患者さんを取り違えると大変なことになりますので、名前をしっかり確認して、ダブルチェックもしてもらって、間違えないように人一倍気を付けていくしかないのでしょうか? 良い解決策がありましたら教えて欲しいです。

(一部省略)

愛媛県 新居浜市医師会報 790号より

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