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令和6年(2024年)4月20日(土) / 日医ニュース

画像診断をテーマに放射線科の現状と展望について5名の講師が講演

画像診断をテーマに放射線科の現状と展望について5名の講師が講演

画像診断をテーマに放射線科の現状と展望について5名の講師が講演

 2023年度日本医師会生涯教育シンポジウムが3月20日、日本医師会館でWEB会議で開催された。
 同シンポジウムは、医師の生涯教育に役立ててもらうことを目的に初めて開催したもので、今年度のメインテーマは「画像診断、最前線!―放射線科医の不足はこの様にして生じた。そしてAIはその助けになりえるのか?」であった。
 シンポジウムは釜萢敏常任理事の司会で開会。冒頭あいさつした松本吉郎会長は、シンポジウムの監修を務めた山田惠京都府立医科大学大学院放射線診断治療学教授を始めとする5名の演者に謝意を伝えた上で、画像診断について「患者の体外から体内の状況を低侵襲かつ効率的に可視化し、医療の質や患者の予後に大きな影響を与える技術であり、治療方針の決定や低侵襲の治療の実施に当たって、欠かせないものとなっている」と指摘。今回のシンポジウムがその発展につながる有意義なものとなることに期待感を示した。
 引き続き、五島聡浜松医科大学医学部附属病院放射線診断科教授が、「画像診断、最前線!MRIの技術進歩と多核種イメージング」と題して、(1)画像診断学の成熟、(2)Magnetic resonance imaging―について講演。
 (1)では、日本の医療現場にCT検査が導入されて約50年が経過し、画像診断学は成熟期を迎えているとの認識を示すとともに、「パターン化された病変画像の診断においてはAIが利用できるものの、医師に代わって最終診断を下せるものではない」と指摘した。
 また、(2)では、MRI画像による見た目の診断に加え、ここ10年ほどの間で、組織の脂肪含有量等を数値化し、定量的な指標で判断していく方向にシフトしていることを紹介。更に、AI技術を取り込み、より早く鮮明な画像を再構成することによって、患者の負担を軽減する取り組みも進んでいるとした。
 稲岡努東邦大学佐倉病院放射線科准教授は、「整形領域の画像診断」と題し、2010年と比較して、画像診断医が見なければならない画像枚数が2倍近くまで増えていることを報告。その対応のため、診断支援にAIを用いる取り組みが進められているが、AI診断の問題点としては、(1)判断根拠が不明瞭、(2)複数の疾患を同時に判断するのが難しい、(3)取り込まれている学習データ量に診断精度が左右される―等があるとする一方、AIには主観や疲労がないという長所もあり、スクリーニング的に利用するのは有用との認識を示した。
 大野和子京都医療科学大学放射線技術科教授は、「日常診療の安全に活かすAI技術」と題して、放射線科における日常診療の安全性について概説。患者の被ばく量を極力小さくするため求められる対応方法を紹介し、その重要性を強調した他、変化していく法制度等への対応や職員研修の効果的な方法、働き方改革への対応の一環として、日本医学放射線学会等で『診療放射線技師へのタスク・シフト/シェアに関するガイドライン』を作成したことを報告した。
 また、講演の冒頭には、ChatGPTに放射線防護等について質問した場合の回答を紹介し、「間違ってはいないものの援用程度にとどめる必要性がある」との認識を示した。
 城戸輝仁愛媛大学大学院医学系研究科放射線医学教授は、「循環器画像診断の最前線」と題して、簡便かつ非侵襲的に患者像を明示化できるツールとして、ヨーロッパやアメリカにおいては冠動脈CT・心臓CTの実施が第一選択とされる一方、日本では、心臓カテーテル検査以上の結果を得られる等の理由から、冠動脈CTの実施数のみが2004年から右肩上がりに増え続けていることを報告した。
 また、ハイリスクプラーク(脂質)の発見と予後予測については、放射線科医にとって煩雑で負担の大きな作業であったが、日本ではAIを活用することにより、プラークの状態や予後を正確かつ迅速に判定する技術として、世界に先駆け進展していること等を紹介した。
 山田京都府立大大学院教授は、「画像診断、最前線!―放射線科医の不足はこの様にして生じた。そしてAIはその助けになりえるのか?」と題して、放射線科医の不足が世界的な現象となっているが、特に日本では深刻な問題となっており、対人口比で見るとCT及びMR機器の数は多いが、放射線科医数が不足している状況にあることを報告した。
 また、放射線科領域におけるAIについて、現状では臨床現場で使用できるものはほとんどなく、日本の医療における問題点としては、(1)医療が高度化しているにもかかわらず、診療科間の分業体制が不十分である、(2)AIと非専門医の組み合わせや、非専門医による読影等の問題が起きている、(3)診療科を自由に選択することができるために放射線科医が選ばれない―ことを説明。いずれ専門医数をコントロールする必要が出てくるのではないかとの認識を示した。
 講演終了後、山田教授の司会の下に総合討論が行われた。
 その中では、(1)年々読影を要する画像が増えているものの、放射線科医の数は増えていない上に、働き方改革の推進が求められる中で困難な対応を迫られている、(2)AIは画像再構成や診断補助には有用だが、診断ツールとして用いるには克服すべき問題が数多くある、(3)AIの医療利用は今後も進んでいくが、どこかで歯止めを掛ける必要がある、(4)日本ではAYA世代にも放射線検査が特に制限なく行われているので、放射線科医を加えたガイドラインの整備を検討する必要がある―といった意見が出された。
 総括した釜萢常任理事は、「職業選択の自由との整合性を取りながら、いかに各診療科に必要な医師数を確保、養成するかという問題は喫緊の課題」との認識を示した上で、「どのような仕組みであればわが国に導入することが可能で、関係者の賛同を得ることができるのか、早急に検討していかなければならない」と強調し、シンポジウムは終了となった。

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