勤務医のひろば
2024年4月の医師の働き方改革施行から、1年が経過しようとしている。当院では2023年度中から、各診療科の責任者と人事部で、現在の勤務形態として採用している「1カ月単位変形労働時間制」について調整を行ってきた。簡単な概要は、(1)1日7・5時間、週37・5時間換算で、月の労働時間を算出し、日勤も当直(夜勤)も全てを勤務時間とカウントして、月の決まった労働時間を満たすように個人ごとにシフトを組む、(2)当直明けは休み扱いとし、明けに外来や検査がある場合は、時間外勤務として申請する―というものである。
正直、医師の仕事とは思えなかったが、循環器内科という時間外勤務が多くなりがちな科であるため、「労働時間が短くなると給与が減るのではないか」という懸念があったこともあり、それなりに真剣に取り組み、上手くいく見込みで新年度を迎えることができた。結果としては、循環器内科スタッフの時間外労働の平均が30時間未満で、給与水準も横ばいを維持し、スタッフからもおおむね好評で、順調な改革だと判断している。
とはいえ、当科のように働き方改革が順調な循環器内科ばかりではないようである。先日、CCU研究会という、東京都内の心臓救急に関わる医療機関の会で、各病院の働き方改革の現状についてのシンポジウムがあった。各病院へのアンケートでは、働き方改革施行前後で、労働環境が全くあるいはほとんど変わらない病院が半分くらいあったことに驚いた。医師の働き方改革の影響により、大学病院で循環器内科へ入局する医師が減っているという現状もあり、循環器領域で改革が推進されるかは不透明と言わざるを得ないと考えている。