勤務医のひろば
大分県では、2018年10月に大分大学医学部医師会が設立されて以降、医療に関するさまざまな課題に対し、大学病院と大分県医師会、そして大分県行政の「三位一体」で取り組んでいる。
以前より、医師会の先生方による医学生を対象としたクリニック・診療所実習「シャドウイング」や、大分県臨床研修医合同研修会などの大分県の医師へのリクルート活動における医師会の先生方による講演などでの連携は行われていた。
しかしながら、特に大学に勤務する医師と大分県医師会が連携する機会が少ないため、県医師会やその活動に対する大学勤務医の理解が進んでいなかったように思われる。
医学部医師会の設立以降は連携がより強化され、相互理解も進んでいる。その成果としては、(1)若手医師会員数の増加、(2)大学勤務医による『大分県医学会雑誌』への投稿を始めとする学術的連携の強化、(3)患者紹介・逆紹介を始めとする地域連携活動の推進―などが挙げられる。
現在の地方の大学病院は、高度先進医療の提供、質の高い医学研究、そして全人的な医学教育はもとより、地域医療の活性化、医療資源の集約化、そして地域における全医療人への教育も求められている。これらの機能を果たすためには、医師会や県自治体との緊密かつ強力な連携が必要不可欠である。
今後も、地域の郡市医師会とも連携した「地域医療ミーティング」の開催や、医師・看護師・薬剤師など全医療人を対象としたリカレント教育を含む教育環境の充実、更には大分県全体の医療人材配置調整会議の設置などの取り組みを大学病院・県医師会・大分県行政とが相互に補完しながら「三位一体」で推進していくことが、大分県の地域医療の活性化・向上につながるものと確信している。