

令和8年度診療報酬改定の改定率が、昨年12月19日に行われた高市早苗内閣総理大臣、片山さつき財務大臣、上野賢一郎厚生労働大臣による協議を経て、24日の片山財務大臣と上野厚労大臣による大臣折衝の結果、本体プラス3・09%とすることが正式に決定された。
配分は今後、中医協で議論されることになる。
改定率決定までに行われた折衝の中では、当初、財務省から前回の改定率を下回る低い数値が示されるなど、厳しい状況が続いた。
そんな中で、日本医師会では松本吉郎会長を中心に執行部が一丸となって政府与党の多くの関係者に対して、(1)病院ばかりではなく、診療所も厳しい経営状況にある、(2)令和8年度診療報酬改定では、補正予算の土台を発射台として、インフレ下における賃金上昇・物価高騰への対応として、純粋に財源を上乗せする更なる対応が必要である―こと等を繰り返し主張してきた。
更に、都道府県医師会に対しても、地元選出の国会議員に対して、医療界の窮状とその支援の必要性を理解してもらうための協力を要請。それらの努力の成果が実を結び、今回3%を超える本体のプラス改定につながった。
医療界の窮状を理解いただいたことに感謝の意を表明―松本会長
この結果を受けて、昨年12月24日に記者会見を行った松本会長はまず、高市総理、木原稔官房長官、片山財務大臣、上野厚労大臣、城内実内閣府特命担当大臣、松本洋平文部科学大臣、尾﨑正直・佐藤啓両官房副長官を始め、自由民主党の麻生太郎副総裁、鈴木俊一幹事長、有村治子総務会長、小林鷹之政務調査会長、田村憲久社会保障制度調査会長、加藤勝信・後藤茂之・木原誠二各衆議院議員、福岡資麿参議院議員など、政府与党の多くの関係者の名前を挙げ、「医療界の窮状をご理解頂けたものと実感しており、深く感謝申し上げる」と述べるとともに、今回の改定はインフレ下での「今後の道しるべ」となる極めて重要な診療報酬改定となったとの考えを示した。
更に、日本医師会は、令和8年度診療報酬改定に向けて、インフレ下における賃金・物価上昇への対応として、純粋に財源を上乗せする、いわゆる"真水"での対応が必要だと強く主張してきたことに言及。「公定価格で運営されている医療・介護分野は、賃金上昇・物価高騰を価格に転嫁することができず、経営状況が著しく逼迫(ひっぱく)しているが、今回、通常の改定とは別枠で賃上げ、物価対応のための財源を一定程度確保頂いた」として、改めて感謝の意を示した。
また、今後については「厚労省社会保障審議会医療部会及び医療保険部会での議論を踏まえて決定した『改定の基本的視点と具体的方向性』に基づいて、中医協で具体的な配分の議論が行われることになるが、診療報酬だけではなく、税制、補助金、支援金、更には文科省からの大学病院への運営費交付金及び私学助成金など、あらゆる手段もフル活用して、国民の生命と健康を守るため、日本医師会は総力を挙げて取り組んでいく」とした。
OTC類似薬の保険給付の見直しに当たり配慮が必要な人達への慎重な対応を求める
その他、松本会長は、19日の自民党と日本維新の会の政調会長間で合意され、24日の片山財務大臣と上野厚労大臣の大臣折衝事項にも盛り込まれたOTC類似薬の保険給付の見直し、すなわち患者自己負担増についても言及。OTC医薬品の対応する症状の適応がある処方箋(せん)医薬品以外の医療用医薬品のうち77成分、約1100品目を対象に、薬剤費の4分の1を「特別の料金」として求めるものだと説明した上で、「日本医師会として強く反対していた保険適用除外は行われなかったものの、保険適用内とはいえ、一定の自己負担増が発生することは間違いない」と指摘。今後、子どもや難病患者などの配慮が必要な人達へは慎重な対応が必要であるとの考えを示した。



