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令和8年(2026年)6月10日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース

産業保健委員会答申について

 松岡かおり常任理事は6月10日の定例記者会見で、去る5月15日に、相澤好治産業保健委員会委員長(北里大学名誉教授)から松本会長に答申が手交されたことを報告するとともに、同委員会が平成31年に作成した『産業医契約書の手引き』を大幅に刷新し、『嘱託産業医の心得と契約の手引き』を新たに作成したとして、その内容を紹介した。

 本答申は、会長諮問「産業医部会活性化の具体的方策~行動する産業医の養成と更なる活躍を目指して~」を受け、計11回の議論を経て取りまとめられたもので、5部構成となっている。

 まず、同常任理事は、諮問にある「行動する産業医」の定義や答申の目的に言及した上で、同答申内容について概説した。

 「1社目の壁」については、事業場を見つけることが困難、契約交渉への苦手意識等の心理的・実務的なハードルを指しているとした上で、事業場を見つけることが困難というハードルに対して、産業医のマッチング等支援の動向を基にその解決策が示されているとした。

 産業医の契約形態に関しては「直接契約」「間接契約」の2通りあり、「直接契約」は産業医と事業場が直接交渉を行い、業務内容や報酬などの契約内容を決定するものであるため、自身のペースで交渉できる一方、条件のすり合わせや事務的な調整も自身で行う必要があると指摘。他方、「間接契約」は、産業医と事業場の間に産業医サポート事業者が入り、個別に業務委託契約を締結する方式で、契約時の交渉の他、実務においても継続的な支援を受けられ、適正なサポート事業者であれば、産業医は事務作業の負担が大幅に軽減され、安心して専門業務に専念できる環境が整うというメリットがあると強調。その上で、「間接契約」の留意点として、「産業保健に習熟した専門性をもっているか」「実務面での支援体制が充分か」「報酬水準が納得できるものになっているか」の3点の条件を満たす適正な事業者を選ぶことが極めて重要と指摘しているとした。

 また、今回の答申では具体的な方策として、(1)平成31年に作成した『産業医契約書の手引き』を大幅に刷新し、契約のみでなく、嘱託産業医を行うに当たっての心得と1年間の職務を追加した『嘱託産業医の心得と契約の手引き』を作成、(2)「1社目の壁」を越えるための懇談会の実施と全国展開―が提言されていることを紹介。

 (1)の本手引きは、1)産業医の心得2)嘱託産業医の1年間の職務3)嘱託産業医の業務委託契約書(参考例)4)契約の留意点―の4章構成となっており、企業と交わす契約書を参考例として示すとともに、産業医が知っておくと実務上役立つ参考資料も掲載していることを説明した。

 松岡常任理事は、「有効な日本医師会認定産業医は約7万6,000人(2026年3月末時点)いるが、その半数が活動しておらず、産業医においても地域により不足感があり、地域偏在が指摘されるようになっている」と指摘。一方で、産業医への役割も大きくなっており、多くの産業医に活動してもらう必要性があるとした上で、今後については、1)各地で「1社目の壁を越えるための懇談会」が開催され、産業医のネットワークを構築してもらう2)『嘱託産業医の心得と契約の手引き』を活用することで、多数の先生方が安心して産業医活動の一歩を踏み出してもらう3)行動する産業医が、働き続けることのできる社会をつくることの一端を担ってもらう―ことに期待感を示した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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