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令和8年(2026年)8月12日(水) / 「日医君」だより

令和8年熊本地震の被災地を視察

 松本吉郎会長は8月9日、福田稠 前熊本県医師会長や水足秀一郎 熊本県医師会長らの案内の下、令和8年熊本地震の被災地を訪問すると共に、県庁内に設置した熊本県JMAT調整本部、さらに現地に設けたJMAT調整地域本部を視察した。

 松本会長は同日午前、熊本駅に到着後、福田前熊本県医師会長と合流して地震で大きな被害を受けた宇城市に向けて出発。現地に到着後、水足熊本県医師会長や江上寛 下益城郡医師会長の案内でJMAT調整宇城地域本部を視察した。

 同本部では、JMATとして被災地支援に当たっている小林邦生愛知県医師会副会長らと面会。松本会長は、酷暑の中、日々献身的に支援活動を展開していることに謝意を示した上で、診療所の被災状況などについて、ヒアリングを行った。現場の医師からは「トイレが足りていなかったが、ポータブルトイレが徐々に入り出している」「飲み水はあるが、内視鏡を洗う水などが不足しているため、その対応を行っている」「夜間に看護師が足りていないところがある」といった声が寄せられた。

 その後、下益城郡医師会に移動。江上下益城郡医師会長より同医師会館の被害状況と共に、同医師会管下の宇城市並びに下益城郡美里町で開業している病院・診療所の被害状況について、(1)一部損壊が多発している、(2)各医療機関の努力で制限付きの診療を継続しているものの、かかりつけ患者への処方箋発行が精一杯、(3)ライフラインについては断水の影響が深刻―等の説明を受けた。その上で、江上下益城郡医師会長からは「断水が解消されれば、多くの医療機関は通常診療に戻れるのではないか」との見解が示された。

 なお、断水への応急的な対応としては、井戸水の利用や自衛隊による給水を受けるなどしている他、大量の水を要する透析患者のうち、重症者は速やかに熊本市に移送するなどの対応を行っているとのことであった。

 避難所の状況等については、1.管内14の避難所に3,000名弱が避難中である2.定員オーバーとなっている避難所では感染症の発生が懸念される3.現在、DMATによる医療援助が行われているが、DMAT撤収後はJMATによる切れ目のない医療援助が必要となる―とのことであった。

 これらの説明を受け、松本会長は、江上下益城郡医師会長を始め、地域の医療提供体制を維持するために奮闘している医師に謝意を示した上で、災害関連死の発生状況等についても確認。その上で、「医療機関の被害状況や、避難所及び断水の状況について、責任をもって国に伝える」とした。また、会談終了後、松本会長から水足熊本県医師会長に見舞金の目録を手交した。

 続いて、被災した「まつばせレディースクリニック」を訪問し、田中博明院長から発災当時の状況などを聞き取った。同院長は、入院していた患者は無事で、関連施設の福田病院(熊本市内)に移送するなど、患者の安全を第一に避難対応を行っていることや、地震の影響でクリニックの外壁と施設内の設備などが大きな被害を受けたものの、少しずつ診療を再開していることなどを報告。「一日も早く通常の分娩体制に戻せるよう、全力で復旧作業に取り組んでいる」と話した。

 さらに、産業医科大学の平田敬治副学長並びに立石清一郎教授から、被災地支援に当たる医療従事者支援について、1.時間の経過とともに心身の疲労がたまっていくため、今後の援助が重要になっていく2.被災地の労働者は孤立感が募ることもあるので、援助機能の一つとしてのセーフティーネットが必要―などの説明を受け、現役の産業医でもある松本会長は理解を示した。

 視察を終えた松本会長は、今回の震災について、「断水からの早期復旧が地域医療提供体制回復の鍵になる」と強調するとともに、日本医師会として、被害のあった地域に必要な援助が行き渡るよう、国への情報提供と援助要請を引き続き行っていく考えを改めて示した。

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