日本医科学生総合体育大会 西医体
医学生が部活に入る意義 ~西医体理事長にきく~
第65回 西医体理事長 田口 智章先生(九州大学小児外科教授)
取材:西医体運営委員会 広報賞品委員長 深水 倫子
今回は、今年の西医体の理事長を務める九州大学教授の田口先生に、医学部生の部活動が今後にどうつながるのか、お話を伺いました。
部活を通じて診療科を越えた人脈ができ、それがチャンスにつながる
深水(以下、深):まずは先生ご自身の部活のお話を聞かせていただけますか?
田口(以下、田):そうですね。僕は中学から大学までずっとバスケットボール部でした。運動部というのは、だいたいチームプレイですよね。選手だけじゃなくて、彼らを支える人たちがチームになって活動している。試合に出られる人もいれば出られない人もいて、彼らをサポートしている人もたくさんいて、全体のチーム力があってはじめて選手は活躍できますよね。医療も同じで、看護師やソーシャルワーカーなど、いろいろな役割の人たちがチームプレイをしていて、医師はそれをまとめてチームを構築していく必要があります。運動部の経験者はそうやってチームで動くことが体に染み込んでいるところがあって、自分の立場をはっきりさせるとか、支えてくれたチームメイトに感謝するといったことが自然にできるんです。運動部以外でもそういうことを身につける機会はもちろんありますが、医学生にとっては部活が身近ですよね。
深:大学時代の部活の仲間とは、今でも交流はあるんですか?
田:僕くらいの年齢になると、部活の同級生も普段はばらばらなんです。いろんな大学で仕事をしていたり、開業していたり。それでも、同窓会やOB戦では大勢の仲間が集まります。OB戦は年に2~3回あって、昼間は現役の学生と試合をして、夜は宴会です。お互いの近況をやりとりするいい機会になっています。
深:卒業後も濃いつながりが続いていくんですね。
田:続きますし、研究の場でもそのつながりは活きてきます。たとえば僕は今、乳歯の中の幹細胞を分化させて、肝移植に代わる治療方法を考えるようなプロジェクトを進めています。OB会でそんな話をしていたら、整形外科出身でロボットを使った技術の特許を持っている後輩がいて、その技術を肝臓に応用してみようという話になりました。診療面でも、自分たちの科だけではできることが限られてきますが、他の科に同じ部活の仲間がいれば、ちょっと頼んで手伝ってもらうことができる。運動部は合宿で同じ釜の飯を食う経験をしたりもしているので、やっぱりつながりが強くて話が早いんですね。所属に関係なく気心の知れた者同士で集まれるのは、とても大きいです。
深:先生ご自身は、部活に所属する学生と関わりはありますか?
田:僕たち顧問にとっては、部活は後輩を確保するための手がかりにもなるんです。顔を知っている学生には声をかけやすいので、アルバイトとして学会を手伝ってもらったり、医局にリクルートしたり。裏を返せば、部活に所属している学生は、新しいことに挑戦する機会を多く得られるということになりますよね。そういう活動の中で、先生や年長の先輩との関わり方を学んでいくこともできます。若い時から人とのつながりがたくさんあると、いろいろなチャンスが回ってきますよ。
深:人間関係の幅が広がるきっかけにもなるんですね。
田:そうですね。今も、元バスケ部ということで、初対面の人と話が盛り上がることがあります。共通項があるから、いろいろな領域の人とつながることができる。その手段の一つとして運動部があるんじゃないかと思います。
運営委員会活動風景
西医体を実行するには、様々な方の協力が欠かせません。この記事を作った3月は、運営委員会で各地の自治体や教育委員会に協賛依頼の真っ最中でした。競技を円滑に進めるために、こんな仕事もしてるんですよ。 左の写真のような部屋で、パソコンに囲まれながら運営委員も頑張っているんです!
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