第26回東アジア医学生会議
EAMSC(East Asian Medical Students' Conference)
2012年12月26日~30日の5日間にかけ、約20の国と地域から400人もの医学生が一堂に会し、第26回東アジア医学生会議を開催しました。
今回の会議のテーマは「災害医療:緊急医療支援から日常・長期医療支援への道のり」でした。災害医療においては、緊急支援だけではなく災害後のケアも重要になるため、今回の会議では自然災害の被災者に対する長期支援に主眼を置きました。
基調講演では著名な先生方にご講演頂き、各国の参加者は、論文やポスター発表で自国の災害医療の現状を審査員の方々に熱く訴えていました。また、防災館や都内9か所の病院の見学では災害を疑似体験し、災害医療の現場を見ることができ、参加者は身をもって災害医療の必要性を実感していました。
地域還元活動では一般学生を募集し、トリアージセミナーを実施しました。この他にも国際・専門機関の方々によるセミナーやグループディスカッションを行い、自分の知らない他国の現状を知り、より幅広い視点から物事を見つめる良い機会となりました。
今回の会議ではさらに2つのプロジェクトを実施しました。東日本大震災の際、各国支部が協力を申し出てくれたなか、準備と経験不足ゆえに何もできなかった反省から、今後どこかの国で大きな災害が発生した際に迅速に支援や協力ができるシステムの構築を目指し、1年前から各国で話し合いを重ね、閉会式に「東京宣言」として締結しました。
災害が起こらない国からの参加者も多く、「少しでも被災地を思う気持ちを育んでほしい」と感じた運営委員会は、当初被災地見学を計画していました。しかし参加者が大変多く、海外参加者の放射線や地震へのリスクの目も厳しく、断念せざるを得ませんでした。
そこで、被災地見学はできなくても、何か被災地の方々を思いやり、被災することの気持ちを考える機会となるプロジェクトはできないかと考え、参加者全員で千羽鶴を製作し、閉会式にて福島県にお贈りしました。参加者からは、日頃の絆の大切さを感じることができたという声を多く聞くことができました。
幅広い知識。世界中に広がるHuman Network。数百人の前での発表や施設見学などの体験。そして、一生残る最高の思い出。この会議を通して築かれた広大な国内外のつながりが、今後のさらなる活動の力となり、必ずや各人の将来と未来の国際医療の向上に生きてくると信じています。
救命処置をより身近に
九州大学KLSA(Kyushu univ. Life Support Association)
私達のサークルKLSAは2008年に九州大学で発足しました。救急について興味のある学生達が、BLS(一次救命処置)、ALS(二次救命処置)について学び合うサークルです。同じ目的を持つ全国のサークルと、大学の垣根を越えて協力しながら学びを深めています。
私達の活動は主に2つあります。
①BLSの普及
②ALSの勉強
です。今回この場をお借りし、BLSの普及活動について紹介したいと思います。
BLSは医療従事者でなくとも誰でも行うことのできる救命処置のことで、胸骨圧迫や人工呼吸、AEDを用いた除細動、異物による気道閉塞に対する異物除去があります。倒れた人を見つけた人が救急車到着までの間迅速にBLSを行うことで生存率や社会復帰率が高まります。多くの市民が自信を持ってBLSを行えることはとても重要なことです。
これまで、低学年の医学生や一般の方を対象としたBLS講習会を開いてきました。実際に人形を用いて胸骨圧迫やAEDの使い方などを身につけてもらっています。学生ならではの楽しく分かりやすい講習会にしようと、講義やテキスト、手技練習の仕方にも工夫を凝らしています。
一般の方向けとしては、2010年から3年間九州大学の学祭に出展し、BLS体験コーナーを設けました。学祭に遊びにきた他学部の学生、地元の方々がたくさんBLSを学んで帰ってくださいました。また2012年は福岡中央高校に協力いただき、春休みには高校生向けに、夏休みは保護者向けにBLS講習会を開きました。
「家族に病気の人がいるから前から気になっていた。今日学べてよかった」などと言ってくださるのを聞くと、この活動をしていて本当によかったと思えます。
私達がBLSを教えた人が、誰かの命を救い、また周囲の人にBLSの大切さを伝えることで、自信を持って救命処置を行うことのできる人がどんどん増えていってほしい。それが私達の活動の目標でもあります。
学生である私達にはまだ医療行為はできません。医療従事者を志す4年間あるいは6年間、間接的にでも何か人の命を助ける役に立てればという思いでこの活動をしています。九州大学の先生方にもBLS・ALSに関して多くの助言、協力をいただきこれまで活動を続けることができました。また他大学の熱意あふれる活動にも沢山の刺激をいただいています。
多くの人に感謝し、これからさらに多くの方にBLSを学べる場を提供できるように頑張っていきます。
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