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平成29年(2017年)3月20日(月) / 日医ニュース

今、勤務医部会に期待すること

勤務医のひろば

170320m.jpg 新たな専門医の仕組みの立ち上げは、最も重要な専門医の定義以外にも、研修を受ける医師の待遇が不安定なことや、保険医の認定に絡めて医師の配置をコントロールしようとする国の思惑が絡んで、複雑な様相を呈している。プログラムによっては、身分保証のない中で細切れの異動を求められる若手医師も少なくない。彼らの要望を取り上げる全国組織の団体が必要であり、私は勤務医部会にぜひその役を担って欲しいと考えている。
 在宅介護連携は地域包括ケア推進の中心にあるが、行政からの依頼で地域の医師会が主導するこの事業が、都市部ではなかなかうまく進まない。これをビジネスチャンスと考え、大学病院などの勤務医を集めて対応しようとする企業も現れつつある。町の診療所で診ていた患者の最後の看取りだけを、事情を知らない病院勤務医がアルバイトとして引き受けるという形がこのまま進めば、急性期病院は意図しない形で、在宅医療に関与することになる。
 地域包括ケアは、地域の患者が住み慣れた地域でシームレスに必要な医療を受けられることを目指している。そのためには、患者の診療に際して、その思いを尊重してベストを尽くすという価値観を、関係する全ての医師が共有しなければならないはずだ。
 新たな専門医の仕組み問題でにわかに注目されるようになった"プロフェッショナル"という言葉には、「医師は専門教育を受けて、組織化された団体に所属し、奉仕の心と共通の倫理観を持つべき」という意味も込められていると思う。
 地域医療構想策定の場で地域の医療者の話し合いをうまく進めるためにも、「"プロフェッショナル"という言葉で結び付く医師が全員加入する医師会」ができ上がることを期待している。

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