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令和2年(2020年)10月20日(火) / 日医ニュース

救急病院における医師勤務環境改善の取り組み

勤務医のひろば

救急病院における医師勤務環境改善の取り組み

救急病院における医師勤務環境改善の取り組み

 当院は三次救命救急センターを併設した急性期病院で、年間5000台以上の救急車を受け入れている。
 2017年からは本格的に医師の働き方改革に着手し、2024年からの医師の時間外労働規制に向けて、A水準を目指した取り組みを行っている。
 最初の取り組みは当直業務の見直しで、10人の当直医のうち、病棟当直医以外は宿直ではなく、勤務+時間外労働とする「二連続勤務制」を導入した。
 平日であれば、当直業務に就く午後5時半から午前0時までの6時間半を時間外労働とし、午前0時から9時までを夜間勤務(休憩1時間)とした。朝にはその日の勤務は終了しているので、原則は帰宅を強く勧めることとし、それ以降に業務を行った場合は時間外労働とした。
 この制度の導入に伴い、時間外労働時間はいったん2倍以上に増加したが、その後、これを削減すべく各種取り組みを行っている。
 長時間の時間外労働を早期に把握するために、残業管理システムを作成し、時間外労働が長くなりそうな医師には上長が早めに注意を促す方針とした。
 カンファレンスや各種委員会はできるだけ勤務時間内に行うようにし、通常診療を行っていた第1・3・5土曜を休診として書類作成やカンファレンス・委員会に充てた。また、緊急時を除く時間外の病状説明の取り止めや各種ICTの導入(WEB会議、AI問診、Join等)を行った。
 現在、時間外労働が年間960時間を超える医師は5~6人となっており、少しずつ改善傾向にはあるが、更なる意識改革・タスクシェア・タスクシフトが必要と考えられる。
 ただし、拙速(せっそく)な労働時間規制は医療の質の低下や地域医療の崩壊を招きかねず、当院に与えられた使命を果たしつつ慎重に変革を行っていく必要があると考える。

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